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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅡ
40/67

02

「と言うわけで、マンションのお隣にマーナとピスカの姉弟がいたのよ!」


ラピス――早川瑠璃(はやかわるり)が興奮しながら捲くし立てる。今は昼休みで、ケイジロウと瑠璃、タクと瑞樹の四人で屋上にきて昼食を食べている。なぜ屋上で、この四人なのか。

転校生、それも美少女ともなれば好奇心に駆られた生徒が、とくに男子生徒が学年問わず休み時間になるたびに見学にきて好奇の視線に晒されるからである。

昨日から延々と続くその状態に瑠璃の我慢の限度も限界に達していた。そこでクラス委員長である瑞樹が気を使って知り合いであるケイジロウと、副委員長であるタクを伴って、瑠璃を誘い昼休みは屋上へと避難してきたのだ。

流石に屋上まで着いてくる者は少なく(それでも居るのだが)、屋上の扉を放置してあったモップで開かないようにしてようやく落ち着けるようになったのだ。


ケイジロウのお弁当はどうやら昨日の残り物のようで、コロッケに一口カツ、プチトマトとレタスと野菜も入っておりバランスがよさそうな物になっている。

タクは焼きそばパンとコーヒー牛乳。瑞樹は手作りのサンドイッチに紅茶が入った魔法瓶。

そして瑠璃はというと……カップラーメンを食べていた。わざわざ熱湯がはいった魔法瓶を持参して……


「なぁ、早川……もしかして料理が出来ないと言うオチか?」


つい我慢しきれずケイジロウが疑問? に思った事を聞いてみる。すると、


「人間料理が出来なくても生きていけるわよ?」


開き直った人特有の物言いが帰ってきた。確かに現代では料理はできなくても生きてはいけるだろう、だが今この場での質問の趣旨が違う。


「それでもカップラーメンはないだろ!」

「なっなによ、あんたカップラーメンの素晴らしさを分かってないわけ? 日本が誇るアイデア商品なのよ!?」

「わざわざ学校の昼飯にもってくるなっていってんだよっ!」

「まっまぁまぁケイも早川さんも落ち着いて、ね?」


瑞樹の仲裁で興奮しそうになった頭を落ち着かせるケイジロウ。

美味しいのに、とぶつぶつと呟く瑠璃。


「んーでもさ、確かに凄い偶然だけどそこまで驚くほどでもないかなー」

「ええ!? だって日本中でたった一万人弱しかプレイヤーがいないのよ? それなのに知り合い全員が鈴波市にいて、学校も同じで家もお隣って凄くない?」


タクの言葉に瑠璃は憤然と抗議する。確かになんの理由もなければ物凄い偶然だろう、運命によって集められた聖戦士なのでは? と痛い勘違いをしてしまいそうになるかもしれない。


「あのね、早川さん。BMOのというか鈴波市の場合だけは少し事情が違うの。BMOの開発元であるPIXSYは出雲グループの子会社で、そして鈴波市の七割は出雲グループ関連の企業で占められているの」


瑞樹が少し困った感じの表情をして、鈴波市の少し特殊な事情を瑠璃に説明をしだす。

その瑞樹の言葉をタクが受け継ぐ。


「そうそう、それでさ、鈴波市に住んでいる五割以上の人が出雲グループの特にPIXSYの関係者で、実はBMOのテストプレイヤーって三割が関係者に配られてるんだよ、何でも身近な人の意見が聞きたいとか?」


タクの病気も瑞樹がそばにいると何故か発動する事もなく、自然な態度で話をする事ができるようだ。

最後にケイジロウが止め? を刺す。


「だからさ、PIXSY社員マンションに住んでいる人がBMOのテストプレイヤーだったてのはそんなに驚く事じゃないんだよ。まぁマーナ達だったのはかなりの偶然だったけどな」

「つまり、お隣さんがマーナたちだったのも、学校にケイジロウがいたのも偶然ではあるけど必然でもあったってこと?」


狐につままれたようなどこか釈然としない様子だが、興奮しきっていた頭を沈静化することには成功することが出来た様だ。


「そういうこと、私立出雲高等学校も出雲グループ傘下だしな。多分生徒の一割はプレイヤーかもしれないぜ?」


え~と新たな事実にしかめっ面をする瑠璃。


「だね、どうも鈴波市にいるテストプレイヤーは全員十代前半から後半に絞られて配られたらしいし」

「なーんだ、私マーナ達にあって凄い偶然だーって昨日は興奮して殆ど寝れなかったのになー」


そう受け答えをしながらずるずるとカップラーメンを啜る。

学校の屋上で昼飯にカップラーメンを啜る美少女……なかなかシュールな光景だ。


「でも早川さんもBMOやっていたんだねー、だからケイと知り合いだったわけなんだ」

「瑞樹さんもBMOやっているの?」

「うん、私とタクはカラー青なんだけどね」

「そうなんだよ! どうして僕は白を選ばなかったんだぁぁぁぁ!」


本気の涙を流すタクをしらけた目で見る三人、そんなバカなやり取りをしていたらチャイムがなる。

昨日に続き、今日の学園も少々騒がしく過ぎて行く様だった。



        ◆ ◆ ◆ ◆




午後四時。今日からBMOがVU(バージョンアップ)を終わり、また電子の世界へとフルダイブする生活が始まる。

ラピスがマーナ達と連絡を取り合って今日は人工衛星【アリウム】のシミュレーションルームに集まることになった。

シミュレーションルームに入るとそこには人で溢れかえって凄い熱気が渦巻いていた。

見渡す限りの人、人、人の集団でどうもあいているシミュレーターは一つもなく、それどころか常時二、三人のプレイヤーがシミュレーターを順番待ちしている事態に陥っているようだ。


「なんだこりゃ……」

「あっにーちゃん、遅いよ」


ケイジロウを目ざとく見つけたピスカが少し遅れてきた事に非難の言葉を投げかける。


「ああ、悪い悪い。それで? なんでこんなに人がいるんだ?」

「あんたバカねー、皆【シックスセンス】を取る為に決まってるじゃない」


ラピスがそんなことも分からないの? とばかりに言ってくる。なぜかラピスはケイジロウ相手だと口が悪くなるようだ。

他の人にはそんな事はないのだが、おそらく最初の出会いがそういう関係を作り上げてしまったのだろう。


「ああ、そうか確か公式で知らせたんだっけ? 【シックスセンス】の習得条件と効果を」

「はい、それで【アリウム】だけじゃなくて地上のシミュレーションルームも同じような状態になっているみたいです」


俺とピスカの会話にラピスとマーナも加わる。そこで俺はマーナに違和感を感じた。

耳がないのだ、いやちゃんと顔の左右にあるのだが頭の上にあった猫耳がなくなっていて、左右についている耳が細長くなっているのだ、まるでラピスみたいに。


「あれ? もしかしてエルフィンにした?」

「あっはい。VUで新しく増えたた武器がサイ・ウェポンが多くて、それにあまり運動が得意でない私にも使い勝手のいい武器がありましたので思い切ってキャラを作り直してみました」


ケイジロウの言葉に少し照れくさそうにして何故変えたのか説明をしてくれる。しかしそれだけではないようだ。おそらくラピスとお揃いになったのがマーナ的には嬉しいらしい。

今回のVUアップで色々な変更点があり、種族を変えるプレイヤーが出てくるだろうと思ったのか、運営が今日一度だけキャラクターを作り変えても階級やアイテムなどを持ち越す事ができるようになっていた。

ただし、前キャラクターのスキル適性率より低いスキルは一段階に着き50ほど熟練度は下げられたようだ。


「へーなるほどねー」

「今回のVUでエルフィンにする人がかなり多いみたいよ」


ラピスの言葉にケイジロウは今回のVUで変わった事を頭の中で反芻してみる。

VUで大きく変わったものの一つがサイ・ウェポンの種類だ。

色々と増えたのだが特に人気があるのがサテライト・パペットという特殊兵装の中でも特にキワモノと呼べる物だ。

パペットといっても人形ではなく操るという意味のパペットで、サテライト(本体から離れて)・パペット(操る)・ウェポン(武器)となる。

SP(スピリット)を使ってサイ(超能力)で動かすというわけだ。

動かすには主に思考する必要があるのだが、ある程度はゲームがアシストしてくれるので、機体を操りながら二つ、三つのサテライト・パペットを同時に操る事が出来るらしい。

サテライト・パペットは大きさ二・五メートルほどで長細い円錐形の形をしていて、武器自体に推進剤が搭載されている。

最高持続時間十五分は連続して動かす事が出来、回収する事が出来れば機体から推進剤を補充する事もできる仕組みになっているようだ。

大体五百メートルほど先まで動かす事ができ、カメラも内蔵しているので岩などに隠れている敵にそっと近づいて撃つ事も出来る。

問題はそれなりに人を選ぶ武器だという事だ。ケイジロウも後ほど少し試してみたけれども全く旨く使えなかった。

あとは積載重量(武装)が重く、サテライト・ウェポンを選ぶなら他の武器を犠牲にしなてはいけないようだ。

使い道は多くショットはビームライフル、ソードはビームソード、シールドがビームシールドと三つのモードを使い分けれる。ただ威力などは従来の武器と比べれば低いと言わざるを得ない。


次に人気があるサイ・ウェポンはサイ・ドール。これもサテライト・パペットと同じ遠隔操作系の兵器で、こちらは無人の人型機動兵器をサイで操作する事が出来る。

と言ってもドール一機自体の戦闘力は低い。

しかし、ある程度のアクションがパターンとして決められていて、そのパターンを組み合わせることで色々複雑な動きをさせることが出来る。

簡単なところで言えばたとえばダッシュで前進しつつ、ショットで武器を撃つ。

ステップで左右に機体を振り、スラッシュでヒートロッドを横になぎ払う。

ほかにも色々な動きがあって、使いこなす事で数機の機体を一度に運用する事すら出来るのだ。

パペットと違いこちらは積載重量などの問題はない、がより多くのSPを使い思考操作ではなくパターンの組み合わせを旨く使って動かさなければいけない。

なので数十、多ければ百ものパターンを覚えなければ旨く操作する事が出来ないのだった。

これに旨く嵌ったのがマーナだ、なんとたった二時間で三機のドールを一度に動かし、しかもかなり動きが早く正確なのだ。

シミュレーションルームがなかなか空く状態では無いので、先に今自分たちが配給される新しい武器を試す事にし、今は第二暗礁宙域でサイ・ドールを使っている最中だ。


「凄いじゃないマーナ!」


ラピスがそういってマーナをわが事のように嬉しそうに褒める。

マーナもラピスに褒められるのがよほど嬉しいらしく、通信用ディスプレイに移る顔を真っ赤にして照れ笑いを浮かべている。


「えっえへへ、私自分で動く事は苦手ですけど、こういう何かを組み合わせて動かすのは昔から得意だったんです」

「ねーちゃんは落ちゲーが得意だもんねー。強すぎて誰も一緒にしなくなったぐらいだし」

「へー、すごいな。俺なんてそういうの苦手だからな」

「あんたは八割本能で動いてるからでしょ」

「うっせー」


ケイジロウとラピスのやり取りに、マーナとピスカの二人も小さな笑い声を上げた。

マーナがキャラを作り直したのに中尉のままだったというミスをしていました。

のでキャラクターを作り直しても階級が下がらない理由を急遽付け足しました。

少し違和感があるかもしれません。

申し訳ありませんでした。

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