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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅠ
33/67

32

Keizirou―――


『GO! GO! GO!』


ラピスの合図が聞こえた瞬間俺は【ジュピター】NPCオペレーターに叫んでいた。


「第二カタパルト、Keizirou少尉出る!」


『第二カタパルト射出します。ご武運を!』


物凄い勢いで火花を散らしカタパルトで射出される。

STバーがガリガリと勢いよく減っていき、俺は戦場へと飛び出した!

狙うは十一時の方向、チームS・J。

フットペダルを踏み込み、機動力A+の【スワーロゥ】が漆黒の宇宙を駆け抜ける。


遠距離の平均射程距離二〇〇〇メートルまで近づいてもまだ迎撃してこない、どうやらラピスの射撃に気をとられ、俺への対応がおろそかになっている。

ようやく気づいたときには残り一〇〇〇メートルまで近づいていた。敵機三機によるビームライフルの迎撃を左右に機体を振って、次々とかわしていく。

【シックスセンス】で気配を読み、持ち前のスピードと【高速機動Ⅱ】のサポートで機体をクルリクルリと回転させ的を絞らせない。

残り二〇〇メートル。黄色でカラーリングされた【グレムリン】に見定め一気に加速する。


「【瞬速移動】!」


右のアームを前に突き出し【ウェパルジャマダハル】で【グレムリン】を貫く!

【ダリス】の機体の中でも平均的な能力をしている【グレムリン】は角ばったヘッドにモノ・アイといわれている真っ赤な一つ目をしていて、ビームライフル以外に背中にスナイパーライフルを背負っている。

その【グレムリン】がスパークを撒き散らしながら爆発する。


「一!」


左にいるグレーのカラーリングをした【グレムリン】、スネークの機体に自機を突っ込ませる。

ゾクリと、コクピットに当たる鳩尾に嫌な気配が。咄嗟に左へ避ける、スピードが乗り過ぎて一〇〇メートルも機体が流された。

目で認識できないほどの【クイックドロウ】、少し遅れていれば食らっていた。

こいつは落とせる時に落とさないとダメだ!


「【オーバークロス】!」


最高速度の倍速でスネークの機体をX字に斬る、一撃でスパークを撒き散らし爆発する【グレムリン】


「二!」


ラピスの援護射撃が他のメンバーを萎縮させ、こちらの狙いが甘くなっている。

一番近い右にいた敵機をスピードに物を言わせ、反応される前にレーザーブレードでコクピットを貫き、後ろに回ろうとしていた敵機にスラスター全開のスピードで回し蹴りを食らわし【クイックドロウ】でショットガンの散弾を至近距離で全弾命中させる。

残り二機も懐にもぐりこんだ時点で勝負は決している。両手のビームブレードを振り払い撃破した。


「これで六!」


俺はここから約二〇〇〇メートル先の敵集団を睨む、まだこちらに気づこうともしない。

まさにラピスの予想どおりだ。

STバーを全快まで回復させ、集団の下から一気に突撃を開始だ!


数機が俺に気づき迎撃を開始する。

しかし、ラピスの援護射撃が敵に降り注ぎ意識分散させる。

降り注ぐビームをまるで紙一重で避けるように右に左に機体を振り相手を幻惑して突っ込む!


「七!」


狙いも何も無い無茶苦茶に撃っただけでは今俺が出しているスピードの機体には絣すらしない。

動力のクリスタルエンジン部分をブレードで貫き、蹴り飛ばす!


「【オーバークロス】!」


ラピスの何処から打たれたか分からない射撃に混乱している敵機めがけて【オーバークロス】を発動させる。二倍速の斬撃が敵機を粉砕する。


「八!」


さらに敵が密集している場所に突っ込む!


「【瞬速移動】!」


俺のスピードを捕らえきれず同士討を恐れて、弾幕が薄くなる。

カラー赤の機体は、中距離、遠距離主体の、機体や武器は種類も豊富で威力もあるが逆に近接、近距離の武器はほぼ皆無といってもいい。

つまり懐にもぐりこめれば、同士討ちになるので強力な武器が使えず、近距離武器を装備すらしていないのであとは俺の好きにし放題だということだ。


「九!」


それでも、無理やり撃ってくる敵も居る。同士討ちをしたとしても相手が死ぬわけではないからだ。

ただ、それは自分達の被害を多くすることにしかならなかった。


「十!」


【瞬速移動】で一瞬にして懐にもぐりこみブレードを突き刺す、STポーションを三十秒毎のCT(クールタイム)ごとに使い少しでも長く速く動く。


「十一!」


一機、また一機ブレードで刺し貫き、斬り払う。

一つ落とすたびに意識が研ぎ澄まされる。【ウェパル】と()りあっていた時と同じ、いやそれよりもずっと深く何かと感覚が繋がっていく。


「十三!」


いつの間にかラピスの援護が途切れ、そして反応が消えていた。

最後の最後まで俺の援護を優先してくれたんだろう。だからこんなとこで終わるわけには行かない。


【シックスセンス】は攻撃を受ける場所がなんとなく気配として分かる使い勝手のいいスキルだ。

しかしその攻撃がどの方角から来るかまでは分からない。

だから囲まれる事だけは阻止しないといけないのだ。今まではラピス援護射撃のおかげで後ろを取られることだけは避けてこれたが、これからはそうも行かない。

さぁ、ここからが正念場だ!


「うらああぁぁぁぁああ!」


わざと敵の多い場所に踏み込むが、同士討ちをしようがお構いなしにビームが襲いかかる!

ズドンッという音が振動と共に響き左のアームが吹き飛ばされた。

これでショットガンと【オーバークロス】が使えなくなる。さらに右のレッグにあたり、衝撃で機体ごと吹き飛ばされる。そのおかげで不規則な動きになり、包囲の外へと逃げ切れる事ができた。


「はぁはぁはぁ、【瞬速移動】!」


まだだ! まだ動く! まだ武器はある!


「十四!」


ハイスピードで背後を取り、後ろからブレード突き刺す。


「うおおぉぉぉ!」


迫り来る熱線を右に、左に避け、激しく動き続ける。STバーもSPバーもギリギリだ。

それでも攻撃を避け、敵機を突き刺す。そして混濁しかける俺の意識は、何か大きなものと繋がり、広大な仮想世界の宇宙へと、拡散し始めた!









『プレイヤーNO.2846、ハンドルネームKeizirou のシンクロ率が95%を越えました』

『特殊条件下での実験を開始します』

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