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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅠ
30/67

29

Keizirou―――


第三暗礁宙域。


俺は今昨日拾った【ウェパルジャマダハル】を装備して【スワーロゥP】相手に使い勝手を調べている。

ジャマダハルの形は刀身とは垂直に、(ツバ)とは平衡になっており、手に持つと拳の先に刀身が来る様な作りになっている。

拳を前に出せばそのまま突き刺さるような形だ。ゲームの中ではカタールという名前で出ている物も多い。

BMOでは手甲に小さなシールドを突けそこからブレードが突き出ているような見た目になっている。

刃渡りは短く大体四メートルほどだが、【ウェパルジャマダハル】はクリスタルでできたブレードから刃渡り十メートルほどのレーザーブレードが伸びる仕様になっていた。


ランクはC、クラスはユニークで二対で一つの扱いになっている。

威力はコモンのエネルギーサーベルとほぼ変わらないがウェポンスキルなるものが付いていた。


【オーバークロス】


【ウェパルジャマダハル】を目の前でクロスし、最大速度の二倍速で三00メートル先までの敵機めがけて突き進みクロス状に切り裂く。

俺のためにあるようなスキルだ、ただ問題はCTが二分と長く乱戦には向かない一撃必殺系のスキル。

手甲型の装着武器なので両手が自由になるのが大きいか? 剣を持って斬るのではなく、振り回して斬る感じが近いかもしれない。


大分となれてきた、だけど昨日【ウェパル】と対峙していた時の、まるで宇宙と一体化したような感覚がわいてこない。

もう一度あの感覚を味わいたいんだけどな……

そうやって熱中しているうちに約束の時間が、午後七時が過ぎようとしていた。


「やべっ、七時過ぎちまう!」


俺は慌てて約束の場所へと向かう事にした。これは……遅刻は免れないな。




        ◆ ◆ ◆ ◆



人口衛星【アリウム】のロビーにたどり着くと、約束の場所にラピスと三人ほどの男が少しもめているようだった。


「おーい、どうしたんだ?」


「それでは、弟がきたので私はこれで失礼しますね」


そういって俺のほうに歩いてくる、その顔は私怒ってるわよ? と物凄く自己主張している表情だった。


「遅い!」


「悪い悪い、つい……」


「言い訳にもなってない! あんたが遅いから変なのに絡まれたでしょ」


えー、それは俺のせいか? というか見たことあるような……あっ、たしかKarisuって奴だ。


「あいつって確か前に基地であったプレイヤーだよな?」


「そうよ、なんだか白銀騎士団とかいうギルドを立ち上げたので私もギルドに入らないかって、しつこかったのよ」


ふーん、美人ってのもある意味大変だな。


「それにしても人で一杯だな」


【アリウム】のロビーには千人近くのプレイヤーが思い思いの場所でイベントが始まるのを待っている。


『白銀騎士団に栄光あれ!』

『勝つぞー赤なんてぶっ飛ばせ!!』

『キャットレディース、ファイッオー!』

『あと一人PTあいてまーす、ヒュームかワイルディー募集!』

『ドラゴニュート特攻隊募集、ただ今十七名、【スワーロゥ】で赤本陣に神風を吹かせませんかー!』


特攻隊って、まぁ中にはそういう遊び方もあり……か?


「それでどうするの? 出遅れたからイベントの受付が今凄い事になってるわよ」


「だなー」


イベント参加の為の受付NPCの周りに人だかりの山ができている。今は午後七時五分、もうすでに戦争は始まっていた。

戦争といっても、今回は千人単位の一斉行動でサーバーがキチンと作動するかどうかの耐久テストであって、特別なルールも無く、ただどれだけ相手を倒せるかを競う形になっている。


両陣営大型宇宙戦闘艦が一隻、戦艦が十隻、駆逐艦が二十隻、護衛艦が五十隻配置されていて、赤と白の人数差はNPCのBMが埋め合わして数を補っている。

イベントに参加し移動ポータルに入ると大型戦闘艦のハンガーに移動してそこから出撃する事になっていた。


「簡単にはいけそうにないし時間をずらすか?」


「そうね、それじゃ七時三十分にする?」


「OKだ、それじゃ三十分まで仮眠室で寝とく」


「分かったわ、今度は遅刻しないようにタイマーしなさいよ?」


「りょーかいっ」


ゲームの中で仮眠するというのもおかしな話だが、ちゃんとリフレッシュできるし、タイマーさえかけていれば一瞬で覚醒する事ができるので、仮想世界の中で就寝する人も今では珍しくもない。



        ◆ ◆ ◆ ◆



ピピピピッというタイマーの音で目が覚める。たった二十分でも随分すっきりとした。

俺は自分のステータスを確認しつつロビーへと向かう。


【Keizirou】【少尉】

【ドラゴニュート】♂

【近接戦】412

【近距離】221

【中距離】0

【遠距離】0

【特殊】0


種族スキル

【STアップⅡ】23

【クイックアップⅡ】32


近接戦

【高速機動Ⅱ】65

【高速飛行】98

【ST回復率アップ】67

【機体速度アップ】56

【機体敏捷アップ】14


近距離

【クイックドロウ】45

【瞬速移動】23


スペシャル

【シックスセンス】100


ウエッポンスキル

【オーバークロス】――


よくもまあここまで偏ったよな、きっと中距離ゼロなんて殆どいないだろう。

【近接戦】が400を超えて覚えた【機体敏捷アップ】は格段に小回りが効く様になった。

機体速度がダッシュなら機体敏捷は反復横跳びが早くなるようなものだな。


自分の使えるスキルをどう組み合わせればいいかを考えつつロビーに入ると、そこはまるでお通夜でもしているような辛気臭い雰囲気が漂っていた。

あれ? あれほど騒がしかったのにどうなってるんだ?



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