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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅠ
27/67

26

「「「いただきます」」」


午後六時ぴったりに晩御飯を食べ始める。

今日のおかずは肉じゃがにナス焼き、レタスとキュウリ、トマトのサラダだ。

醤油をベースとして砂糖、味醂、味の素を加え、じっくりと煮込んだ新ジャガに糸コンニャク、玉ねぎのスライスが甘辛くて美味い! そして肉! 久々の牛だった!

ナス焼きは熱々のうちにガワをはいで醤油で食べる。サラダには大量のマヨネーズを、俺はドレッシングよりマヨネーズのほうが好きだ。


「慶次郎、最近BMOに嵌ったみたいだが今は何処まで進んだんだ?」


「昨日やっと宇宙に行けた。父さんの勤めている会社ってすごいな、宇宙とか滅茶苦茶綺麗だったぜ?」


「わはははっそうだろうそうだろう、確か宇宙はPIXYの親会社出雲グループが資金をだして打ち上げた人工衛星、アサツユやヒメジとか何台かのカメラから捉えた映像を使っているって聞いたな」


「へー」


「その映像を解析、再構築がうんたらかんたら、何言ってるかちんぷんかんぷんだったぞ? わははははっ」


「父さんらしいなっ、あはははははっ」


カッカッ、とテーブルに突き刺さる爪楊枝、え? 爪楊枝ってテーブルに突き刺さる物だったっけ?


「貴方たち、喋るのはいいけれどご飯やおかずを飛ばさないでと毎回いってるでしょう? 誰が片付けると思っているの?」


キラリと光る瞳に睨みつけられ、「「ご馳走様でした」」とご飯をかきこみ逃げ出す男二匹。


「まったく……今日は忍者DEフェスティバルね、色はピンクがいいかしら」



        ◆ ◆ ◆ ◆



―――【Loading】―――


すぅと落ちる感覚をへてBMOの世界に、今日もまた第三暗礁宙域でパラサイトを退治する。

第三宙域は、どうやらバランス調整の失敗により、【スワーロゥP】のスピードが速くなりすぎて、プレイヤーの宇宙進出からたった三日で誰も訪れない無人の宙域と化した様だ。


そんな事になっているとは考えにも浮かばず、誰もこなくて静かでいいぐらいにしか思っていなかった。

【スワーロゥP】のクラスは【ナイト】クラスで一対一で戦うなら勝てるかどうかギリギリのラインとして調整されている。

めんどくさい、の一言で情報集めを怠っている俺はそんな事もしらず、今四機の【スワーロゥP】と激しい攻防を繰り広げていた。


「四機もいっぺんにきやがって、そこっ!」


近距離と近接の二つしかない俺と敵機は自然とドッグファイトを繰り広げる形になる。

漂うデブリを避け、物理法則を無視したような機動を描き限界ギリギリまで動き回る。

一機がデブリに衝突しバランスを崩す、そこを見逃さずエネルギーサーベルで切り払う。右手側からもう一機がヒートロッドを振り上げ迫ってくる。


「うらぁぁ!」


振り下ろされるロッドをすり抜け、コクピットに抜き胴を決める。これで二機、残り半分!

左に回って襲い掛かる一機をついさっき覚えたスキル【クイックドロウ】で腰に固定されているショットガンを素早く取り外し、俺の目線の先を撃つ!

ガオンと宇宙でも響く銃声のあと、散弾を全身に食らい機能を停止する。残り一機。

一対一なら俺の方がスピードで圧倒しているのであっさりと倒す事ができた。


「ふぃー、四機ならどうにか一度に相手をしても勝てるようになったな。今八時か、もうすこし粘るかな」


パラサイト討伐のミッションは撃破数をAIが記録してくれるので、いちいち要塞に帰らなくてもいいというメリットがある。

今日一日の撃破数は三十五機、ソロだから一機で一ポイントなので三十五ポイント、トッププレイヤーでも一日三十ポイントだからかなりいいペースじゃないか?


「あと五機ほど倒したら帰るかな」


一人でいると独り言が多くなるなーと、意味の無い事を考えつつ敵機を探す。探索関係のスキルはないし、機体にも最低限のレーダーしかないからこういう時、特化型の機体は少し辛い物がある。

パラサイトを探しに暗礁宙域の中心へ中心へと進んでいくと、ぽっかりとあいた穴のようにデブリがない広い空間にでた。


「なんだここ? 物凄く怪しいんだが……」


空間のさらに中心近くまで来たとき、レーダーに赤いマーカー、敵だ……こんなところにたった一機で佇む機体、もしかしてボスクラスか?

俺は抑えきれない好奇心に従い、中心へと進んでいく。

俺の存在に気づいたんだろう、五00メートルまで近づくとこちらに体の向きを変えてきた。

そいつは怪物だった、ベースは【スワーロゥ】の機体だろう、しかし今までの【スワーロゥP】と違いその色は全身がどす黒い、クリスタルらしい突起がいたるところから機体を内から突き破っている。

アームはクリスタルに覆われた部分がカギ爪のように変形し、丸いはずの頭部には何本ものクリスタルが角のように生えていた。

そしてその下半身はまるで魚のような形をしていた。


【ウェパル】


恐るべき海の支配者の名前を冠する第三宙域の主。

ゲームとは思えない異様なプレッシャーが襲い掛かる。


「なんだ……こいつは」


ゆらり、と尾が動いたと認識した瞬間目の前から消えた。いや消えたように見えた!

やばい、そう本能が訴えるままに機体を後ろに滑らせる。

機体の頭があった場所に【ウェパル】のカギ爪が振りぬかれていた。


「うおぉぉ!」


吼えながら【クイックドロウ】でショットガンを抜き撃つ、激しい銃撃音と共に散弾を発砲。

しかし、そこには【ウェパル】の姿はすでに無い。


「どこに!」


激しい衝撃が機体を襲い、第三者の目線で真後ろからコクピットを突き破るクリスタルのカギ爪が見え、そこで俺の機体は爆発し、拠点登録をした【アリウム】のロビーに転移していた。








 

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