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BMOでは規格化され交換可能な部品などを外装パーツと交換する事で、BMの性能や見た目などを個性化させることができる。
外装パーツとは、機体のアームやレッグ、ヘッドの他、スラスターや機体武装(機体自体についている武器)、一部の特殊兵装の事を指す。
Keizirou―――
「二人とも本当にいらないのか?」
「はい、そのショットガンはレア物ですけど、威力、射程のどちらもコモンと変わりませんから。武装重量がコモンよりも少ないのでケイジロウさんかラピスさんが使ってください」
「んー私は射程百五十メートルに近づかれるっていうのはすでに負けに等しいからパス」
「俺も射撃武器は使わないんだがな……」
森林区域IDをクリアーした俺たちは元々の目的であるメインミッションを進める為に、セイフリッドに戻ってきている。
そして最後のボス戦で手に入れた戦利品を分け合っていた。
俺がスラスターを貰うことになり、ならば二人にクリスタルやショットガンを渡そうとしたが、今のところ武器を増やす事も無いので俺に使ってくれと受け取りを拒否された。
「でもさ、近距離でにーちゃんが好きそうなスキルがあるよ?」
「ん? たしか熟練度100で【クイックドロー】だったよな、てことは熟練度200にいったのか?」
「そうそう、んで覚えたのが【瞬速移動】だよっ!」
「なにぃぃっ! どんな効果があるんだ!?」
「えーとね、二00メートルの距離をSPを使って機体の最高速度の一・五倍で進む。だって」
「おおっ、外に出て実戦しようぜ」
「りょーかーい」
俺とピスカがきゃいきゃい言いながらがらフィールドに出ようとすると、ラピスから待ったがかかる。
「二人とも待ちなさい! どうせミッションを進めに外に出るんだからその時にすればいいでしょう? 今は減ったポーションの補充と、ケイジロウはスラスターの交換に行ってきなさい!」
「「はい!」」
両手を腰に当てて俺たちを一喝するラピス。いろんな意味で迫力のあるやつだからな、ピスカなんてダッシュでショップを回り始めた。
まぁ、俺も特殊部隊のハンガーにダッシュしてるんだけどな。
ハンガーの中にいる整備長に話しかけるとリストが出てくる。
【機体整備】
【機体乗り換え】
【機体搬入】
【機体カスタム】
の四つだ。基地にはなかった機体カスタムが外装パーツの取り付けをできるようになっている。
機体カスタムを選ぶと、更に三つリストが出てきた。
【外装パーツ】
【電子カートリッジ】
【機体設計】
外装パーツは規格の合うパーツを付け替える事が出来る。今回は【スラスターエンジン】を【カブラカンスラスター】と交換だ。
あと、電子カートリッジは機体のAI関係の変更又は効率化ができ、機体設計は元となる機体を自分好みの外見や性能にする事ができるらしい。
ただ、どこまで変えれるかは謎だし、まだ実装もされていないのでこの二つは選んでもクリックができなかった。
さて、外装パーツの換装が終わり、性能がどうなったか見てみると。
なんと最高速度が時速四百キロに、すでにFIより早くなっちまった……
いかにゲームのサポートがあっても普通の高校生がこんなスピードを認識できるはずがない。
しかし、それもゲームのスキルがある程度解消してくれている。
先ずは【高速機動】。今までは鋭角に曲がったり曲芸じみた動きができるだけだと思っていたんだが、【高速機動Ⅱ】になって思考が加速されている事に気がついた。
おそらく【高速機動】のときもされていたんだろうけど、【高速機動Ⅱ】を使っている時と普段では明らかに違う。
俺の感覚では一・五倍速ぐらいじゃないかと睨んでいる。
そしてドラゴニュートの種族スキル【クイックアップ】、これの効果が判明した。
BMO関係の大手の攻略サイトに実証されたみたいだ。
こちらも戦闘中に限り、思考加速がされていたらしい。効果は【クイックアップ】で一・二秒。
【クイックアップⅡ】で一・三秒に加速するだとか。
実証実験ご苦労様でした。
俺は今【クイックアップⅡ】だから一・三秒。【高速機動Ⅱ】を使うと一・五倍速になると考えて。
えーとつまり、計算がめんどくせー……一・九五秒? もう二秒でいいよ。
何がいいたいかと言うと、時速四百キロも俺からすると時速二百キロにまで下がるということだ。
それでも速過ぎるけどな……
換装を終えて三人と合流。ピスカから減ったSTポーションを分けてもらい、ミッション専用IDがあるセイフリッドから西に百キロの場所にあるポータル目指して移動する。
今回は移動用のBM移送車をレンタルする事にした。
移動する事三十分。どうも移動時間がかかりすぎるとプレイヤーから苦情がでていて、最初のVUでそこら辺をどうにかするみたいだ。
「にーちゃん見ててよ、いくよー!」
機動力Cの【ランセドル】の最高時速は百六十キロ、一・五倍だと時速二百四十キロか。
ピスカの機体が淡い黄色の粒子を漂わせた瞬間二00メートルの距離をゼロからいきなり最高速度で駆け抜けた。
「おおっすげー!」
俺の機体でつかえたらもしかして最高速度六百か? いや【機動速度アップ】で5%上がるから四百二十の一・五倍で六百三十か!
決めた! おれはスピードマスターになってみせる!




