表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅠ
19/67

18

Lapis―――


「マーナ、左から来る【エボニースネーク】の足止めお願い!」


「はっはいっ」


マーナの【ランセドル】が【エボニースネーク】めがけてエネルギーライフル乱射する。

スネーク自体のスピードは遅く、ゲームのサポートを受けているのでマーナも難なく当てる事ができるのだが、物凄く硬い。

ケイジロウのエネルギーサーベルでも三回ほど斬り付けてやっと倒せるほどで、これがエネルギーライフルだと二十発は当てないと倒す事ができない。

ふざけた硬さにてこずりなかなか先に進めない状態が続いている、


「ピスカ、ケイジロウが囲まれるわ、援護して!」


「わっわかったー」


森林区域IDは道が狭く(それでも五十メートルはある)ケイジロウのスピードがここでは生かせない。そうなると何時までも避けることも出来なく、


「くそっ、右足をやられた!」


「このっこのっおにーちゃんから離れろ!」


奮闘むなしく、後から後から沸いて出てくるパラサイトを捌ききれずにあえなく大破した。


「「うわぁぁ!!」」


男性陣二人が仲良く同時に爆発して空へと飛んでいく。

今日気づいたんだけど、プレイヤーが大破するとコクピットからパイロットが空に射出されるという無駄に凝った演出が見れるのだ。


「あー、飛んでいっちゃった……」


「らっラピスさ~ん」


あーごめんねマーナ現実逃避しちゃって、でも前衛がいない後衛なんてどうにもならないわよー。

そして私とマーナの機体もパラサイトの群れに囲まれ大破してしまったのである。



        ◆ ◆ ◆ ◆



「くそー、これで三回目の全滅かー」


「悔しいわね、あと少しでボスまでたどり着くのに」


私とケイジロウが次はどうするかと話し合っているとマーナが恐る恐ると私たちに聞いてくる。


「あっあのー、あそこのIDであれだけ戦えればミッションのボスは直ぐに倒せると思うんですけど、まだ挑戦するんですか?」


「当然ね、このまま負けっぱなしで引き下がれないわ」


「だな、せめてボスを一目でも見なきゃ収まりが付かないな」


「付かないな」


ケイジロウが腰に手を当てて、ふんっとばかりに胸をそらすとピスカも同じようにして胸をそらす。

ピスカはどうもケイジロウの戦闘スタイルが気に入ったようで、ケイジロウの真似をしては喜んでいる。


「あぅ……ピスカまで~」


ごめんねマーナ、でも悔しいじゃない? まるで運営に負けたような気がして。


「明日、明日もダメだったら諦めるから、ね?」


「本当ですか?」


「うん、明日クリアできなければ今回は諦めるわ」


「分かりました、あの、今日はもう時間がないので私たちは落ちます」


「えー、あと一時間できるのにー」


今は午後八時、マーナはともかくピスカはこれ以上ゲームを続けているとご両親に怒られるみたい。


「だめよ、それではここで落ちさせてもらいます。明日の四時にログインでよろしいですか?」


「ええ、お願いね」


「ちぇー、にーちゃん明日僕にも近接戦のやり方教えてねー、ばいばいーい」


マーナがぺこりとお辞儀をしてピスカが元気に両手を振る。

ログアウトは機体から降りないとできない代わりに、ほぼタイムラグなしで落ちることができる。


「さて、あんたはこれからどうする?」


「俺は少し試したいことがあるから一度ソロで潜ってみる」


「分かったわ、私もスナイパーライフルの扱いを練習しときたいしここで分かれましょ」


二人とも今のままだと次も無理だなーとは薄々分かっているので、あと一時間だけでもできることをしておきたいのだ。

PTを解散しケイジロウはIDの中に、私はこの【シェブロSR】の取り回しをどうすればいいか考えてみる。


【ビャーレン】の全高は十三・八メートル、そして【シェブロSR】の大きさは頭一つ分ほど長い十四・五メートル。

戦艦の小型砲に似た銃身になっていて、威力、命中精度ともにCクラス最高を誇る。

現実と違って実弾ではなくエネルギー弾扱いなので弾切れを起こす事が殆どない(エネルギー切れはあるらしい)、コモンのスナイパーライフルに比べると、エネルギー伝達率(撃てる早さ)、威力、精度全てが七割り増しになっていた。


「うーん、一々姿勢を整えないと撃てないのが使い勝手の悪さになってるのよね」


どうしてもイメージがねっころがった撃ち方になるのよねー、いっそイメージをキャンセルしてみようかしら。

重さ百キロを越えるスナイパーライフルだけれども実際に扱うのは機体だ、疲労や筋力不足で動けないということもない。

システムのサポートを使わないと命中精度は落ちるけど、小回りが少しでもできる方法を探ってみる。

結果、銃床をキチンと肩に当てていれば一発撃つたびの反動は大きくなったけど、走りながらでも撃てる事が分かった。

もしかするとこれは大発見かもしれない。(後で分かった事だけど突スナというすでに開拓された技術だった)

ふっふっふっ、明日は私のムーブスナイパー略してMSでクリアーを目指すわ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ