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Keizirou―――
「先ずは皆どれぐらい動けるか試してみない?」
ラピスがミッションより先に、どこかに行こうと提案する。
「はい、私もそうしたほうがいいと思います」
「じゃー僕もさんせーい」
女性陣が同じ意見になるとピスカは自然とそっちに流れるので多数決にならない。とりあえず殴っておいた。
「いて」
痛くないくせにノリのいい奴だ。
「それで? 何処に行くんだ?」
「んー、ここらで何処かいい所ってないかな?」
「そうですね、首都近隣にはパラサイトが居ませんし、南東の森林区域まで行かないといないと思います」
「そこって雑魚がめちゃくちゃ硬いんだよー、ねーちゃんすぐ死んじゃうから全然先に進めなかった」
「あうっ」
「へー、そんな所があるんだ?」
「はい、確かID扱いになっていてまだ誰もクリアしていない場所だったはずです」
ほほー、まだ誰もクリアしていないのか。
俺はラピスを横目で見てみると、向こうも同じようにこちらを見ていた。同じ事を考えているみたいだ。
「「そこに行こう」」
Lapis―――
首都から森林区域IDに着くまで約二十分、私の機体【ビャーレン】は機動力Eなので最高時速百キロが限界。
ケイジロウは別格として、マーナとピスカ二人が乗っている機体にすら追いつけない。
私の速度に合わせているから時間が掛り申し訳なく思ってしまう。
「皆ごめんね」
「気にするなよ、いままでのんびりと周りを見ることもなかったから丁度いいぜ? 見ろよゲームの中でしかお目にかかれない景色だ」
「そうですね、全長三十メートルの巨大樹木の森だなんて現実では見れませんね」
二人のフォローに何とか気お持ちなおす……が、
「えー暇だよー」
なんて事を言うお子様……後でしっかりと教育しなきゃね。
マーナとピスカ二人の乗っている機体は私たちと同じCランクの【ランセドル】という名前の機体で、機体性能は【フィンリス】では珍しい平均的な能力の機体ね。
【ランセドル】 機動力C 命中補佐C 耐久力D 特殊兵装D 武装D
と可もなく不可もなく、しかし、扱いやすいので白の約七割がCクラスだと【ランセドル】を選んでるみたい。
そうこうしていると、ようやく森林区域とやらに到着。ゲームだから乗り物に乗っていてもお尻が痛くならないのが救いね。
「それじゃ先にお互いのステータスを確認しましょうか」
先ずはお互い何ができそうなのかの確認、機体を降りてステータスを見せ合うことにした。
「はい」「はーい」「りょーかい」
「「「「ステータスオープン」」」」
ケイジロウに変わりはなし、私は今回武器を【シェブロSR】に変えてみた。ケイジロウみたいにスピードバカがいなければ、サイ・ボウよりもこちらのほうがよさそう。
「えっラピスさんユニーク武器を持っているんですか?」
「ラピスねーちゃんすげー、なーなーケイジロウにーちゃんは武器はどう……なんだコモンじゃん」
ポカッとケイジロウがピスカの頭を殴る。規定に引っ掛からない程度だから痛くはないけどピスカは大げさに痛がる。
そういうところは気が合うみたい。
「たまたまシェブロを倒した時に拾ったの」
「たしかユニーク武器の出る確率は0.1%ですよ?」
「うへーまじか【シェブロ】を千回か、やってられないな」
マーナとピスカ、二人のステータスは中距離で200付近、そのほか近距離と遠距離が100付近で近接と特殊は一桁台、おそらく二人がスタンダートなあげ方なんでしょうね。
「うわーにーちゃんすげー、近接戦が300超えてる!」
「うそっ……近接戦が300越えてる人って初めて見ました。ネットの掲示板でも200をやっと越えた人しか居ないのに」
「あーこいつは一言で言えばバカだから気にしないようにね」
「せめてバカの前に近接戦ぐらいつけてくれ……」
どっと皆で笑う、んーこういうのもいいかも。
「それで、陣形とかどうする?」
「そうね、私とケイジロウはいつもと同じでいい、というより同じ事しかできないわね」
エネルギーサーベルのみとスナイパーライフルのみの一点装備だし。
「マーナとスピカが中衛でフォローをして貰おうかしら」
「はっはい、がんばります」
「はーい、まかせてー」
うん、二人ともいい返事。
「それじゃ行きましょうか」
それぞれの機体に乗り込み森林区域IDに入るためのポータルに次々と入り込む。
まだ誰もクリアしていないIDか、クリアできるかどうかは分からないけど狙ってみましょう。




