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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅠ
16/67

15

Keizirou―――


「ほっほっほっ、遠路はるばるご苦労様です。貴方がKeizirou准尉ですね? 私がセイフリッド防衛軍司令官のアンスガー・オーディントです」


俺の目の前には白髪の六十代後半といった、好々爺然とした老司令官がいる。

なぜこうなったかというと、階級が准尉へと上がり、セイフリッド防衛軍司令官所属特殊部隊へと組み込まれたからだ。


「ほっほっほっ、いきなり首都に呼び出され特殊部隊へと組み込まれたので困惑するでしょうが、わが軍は慢性的な人手不足、有能な人材を遊ばせる余裕はないのですよ」


活躍したので引き抜かれたという事か。


「先ずは部隊長のジェナ・サウスオール中佐の執務室に行きなさい」


ここで俺の体は勝手に外へと歩き出す。外にでてもそのままイベントムービーは続き、


「閣下、あの者で本当に宜しいのですか?」


アンスガー少将と横に立っていた副官らしき人物との会話が続く。


「報告を見る限り腕は確かでしょう、民間人上がりなのでオージアスの息もかかってはいないでしょうしね」


「味方を先ず警戒しなければ何もできないとは……」


歯痒いとばかりに首を振る副官。


「仕方ないのかもしれません、【フィンリス】が王国制となり六百年、一つの文明が腐りだすには十分な年月なのでしょう」


ここでムービーが終わり俺は通路に立っていた。ここはセイフリッド防衛軍基地司令官室前だ。


「うーん、やっぱり権力争いとかそういうものかしら?」


「ぽいな、こっちがいい者だとは思うけど」


「悪者だったら逆に面白いかも」


「そうかー?」


「ほら、ダークヒーローとか言うじゃない」


「たぶんまったく違うと思うぞ」


俺とラピスは益体もないことを喋りつつジェナ中佐とやらを探す。

メインミッションに居場所が書かれているので、執務室へと移動していると入り口前で五人のプレイヤーが言い争っていた。


「お前ら下手糞すぎ、もっとプレイヤースキル上げてこい」


「そうそう、流石に自滅した上巻き込まれたら迷惑だよ」


「まぁそういうことだ、悪いけどPTは解散という事で」


「そっそんな……」


どうやらPT内でごたごたがあったみたいだ。MMO、特にVRMMOは個人のプレイヤースキル(PS)はそれなりに必要で、BMOは激しく動く事が前提になっているから運動が苦手な人はかなり辛いらしい。

小学生か中学生ぐらいの二人組みが他の三人からダメだしを食らったみたいだな。生態データーをそのまま使った容姿をしているので、実年齢もそれぐらいだろう。


他の三人が何処かへ行った後、しょんぼりと落ち込み佇むお子様二人。

俺がどうする? とラピスに顔を向けると、すでに二人組みのほうに歩み寄っていた。


「ねぇ君達。さっきの人たちに怒られていたけどどうしたのかな? お姉さんに話してみない?」


「え……」


いきなり綺麗なお姉さんに声を掛けられ、ポカーンとして固まる二人。俺は苦笑しながら気持ちは分からんでもないな、と思いフォローをしに行く事にした。





「つまり、マーナとピスカの二人はさっきの三人組の連携に入れず、焦って無茶をしちゃってパラサイトにやられちゃったと?」


「はい、それで私たちが相手をしなければいけなかったパラサイトに皆さん襲われて、全滅してしまったんです」


「うーん? 話をきくとその三人組が自分達だけで動いてるような感じだな」


「いえ、私たちがちゃんとできていれば問題は無かったんです」


「違うよ! あいつら僕とねーちゃんが子供だからって、めんどくさい事は全部やらせて、アイテムは先ずリーダーが集めてから後で分配するとかいいだして滅茶苦茶だったんだもん!」


「なんだそれ、最低だな」


「本当ね、ネットでアバターを使っていたら何処の誰だかわからないからって、平気でそういう事をする人がいるわね」


俺たちは先ほどの場所から少し離れたリラックスルームで飲み物を飲みながら話を聞いている。

ちなみに俺はコーヒーを角砂糖三個にミルクタップり、ラピスはブラック、マーナとピスカはオレンジジュースだ。

姉のマーナは中学一年生で弟のピスカは小学五年生だとか。どちらも【ワイルディー】でぴんと上に立った黒い猫耳に尻尾、顔立ちは整っているのでよくに合っていて可愛らしい。

それにしても、姉弟揃ってテスターに当選したのは珍しいな、ないともいえないかな? 


「わたる……ピスカはキチンと動けているんです、でも私は運動が苦手で、それでなかなか先にすすめずさっきの人たちもようやくPTに入れてもらえたのですが……ピスカ一人なら先に進めるのに」


「いやだよ、オレねーちゃんと一緒がいい!」


「ふーん、お姉ちゃん思いの優しい子だね」


うりうりといいながらピスカの髪の毛をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。

やめてよーといいながらもまんざらでもない顔だな。


「よし、だったら二人とも私たちと一緒にいかない?」


「え……あの、よろしいんですか?」


「僕ラピスお姉ちゃんと行きたい!」


「いいわよね?」


俺をみて確認してくる、異論はない……が。


「勿論いいんだけどな、俺らのほうが進み具合は遅くないか?」


「…………あ」


「たまにボケるよな」


「うっうっさい、パッと進んでパッと追いつくからいいの!」


了解了解、それじゃパッと行きますか。 

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