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BMOの武器には全てランクとクラスが設定してあり、ランクは階級によって決まり(准尉だとD~Cランクまで)そしてクラスはコモン、レア、ユニーク、まだ実装されていないがレジェンドと四つのクラスがある。
【シェロブSR】はCランクの中では一番性能が高いユニーククラスのスナイパーライフルだ。
Keizirou―――
今俺とラピスは、【フィンリス】の首都セイフリッドの中心街でウィンドウショッピングの最中だ。
というよりも、ラピスの買い物に俺が付き合っているだけなのだが……
「ほらほら次はこれ、じゃーん、似合ってる?」
今ラピスが着ているのは、真っ赤な布地の深いスリットが入ったチャイナドレスに孔雀の扇子、真っ赤なハイヒールとかなり扇情的な姿をしている。
「あーはいはい、似合ってるよ……」
「つまんない反応ね、あんたもてないでしょ」
むくれて不機嫌になるのだが直ぐに機嫌は直る。
「次はあれ、ロシアで着るような防寒着を可愛くしたやつ」
という風に別の衣装を着始める、かれこれ一時間は同じ事の繰り返しでいい加減疲れた。
「おーいラピス。そろそろいいだろう? 早くプレイヤーのショップを回ろうぜ」
俺たちがなぜセイフリッドにいるか、一つはメインミッションを進める為。もう一つはレア以上の武器を探す為に、プレイヤー達が出しているショップをみて回る為だ。
昨日のミッションIDで倒した【シェブロ】はクリスタルと材質以外に【シェロブSR】を落とした。
今まではまったく気にしてなかったのだが、自分の武器を見るとクラスは勿論コモン……せめてレア以上の武器を探そうとミッションを進めるより先に広場に来たのだ。
「あ……忘れてたわ」
「おいぃぃぃ」
「あはは、ごめんごめんそれじゃいこっか」
そういって、元の真っ赤な軍服姿に戻る。前回のミッションで貰ったアイテムだ。色は単色なら自由に選べる、俺は勿論真っ白だ。
「って、何も買わないのかよっ」
「だって、どれも可愛いけど着て歩くには派手すぎるじゃない」
「いっ一時間もかけておいて何も買わないって……」
「バカね、何も買わなかったけれどセンスは磨かれるのよ」
なんだよその理屈、女ってわからねー……
「えーと、結構な数のお店が出てるわね」
「だな、この中からほしい物を見つけるのはしんどそうだな」
首都の中央広場には、真ん中に華美な装飾を施した煌めく噴水が水を爽やかに噴出している。
その周り半径500メートルほどの広場に、円を描く設置の仕方で整然とショップが開かれていた。
「白って一番数がすくないんだっけ? それにしてはかなりのショップがあるな」
「少ないって言ってもプレイヤー数二千五百名はいるはずよ」
「へー多いな、赤と青のプレイヤー数も分かるのか?」
「公式HP見なさいよ、円グラフで人数を表してるわよ。確か赤が三千八百、青が三千三百ね」
「青で八百差、赤だと千三百も差があるのか……」
「テスターは一万人募集だったから、多分もう増えないわね」
ウロウロとショップを巡る事三十分、いくつか武器を販売している物は見つけたが、どれも今の俺たちでは高くて買えないことが分かった。
BMOの世界では全て電子マネーでまかなっている。最初にレノックス大佐に貰ったIDカードは、個人情報が全て書き込まれていて、その中には電子マネーも含まれていた。
ちなみにBMOのお金は全てディラー(D)で統一されていて一Dは一円と同じ感覚だ。
「俺たちの手持ちで買えるのってSTポーションかSPポーションだけだな……」
ポーションと名前は付いているが、コンビニでも売っている様なチューブ型の栄養ドリンクみたいなグラフィックをしている。
「お金なんて使い道あるのかしら……」
ショップをグルリと見回すと周りにはそれなりのプレイヤーがいて、その姿は奇抜なファッションをしている者や、同じような軍服を着て徒党を組んでいる者。中には中世のファンタジーな騎士鎧をきている者までさまざまだ。
「やっぱりこのまま支給品の武器でいくしかないか」
どうも武器はかなり出る確率が悪いみたいだ、ユニークどころかレアですらかなりの高額な値段で売られている。
STとSPポーションが安く売っているショップを見つけたので買えるだけ買い、次のミッションをこなす為、防衛軍司令官のアンスガー・オーディント少将の執務室へと歩き出した。




