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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅠ
14/67

13

Keizirou―――


ボスがいる場所に続くポータルに踏み込むとイベントムービーが流れ出す。

もう何度も経験しているけど、相変わらず滑らかな導入だ。遠くに見えるのはエイハム少尉の【コンダードゥ】と四機の【エキューセン】。

周りを警戒しつつ、広大な空間を探査している。


「なにかありそうだな」


「そうね……」


俺たちが何処から出るかと周りを見ましていると。激しい落下音と三機の【エキューセン】の押し潰される音が静寂を打ち破り響き渡った。


「でかいっ」


四十メートルほどの巨体にアリのような頭部と胴体、だが、アリと決定的に違うのはその足!

二本の蟷螂(かまきり)のような前足を振り回し最後の【エキューセン】を破壊し、四本の蜘蛛のような足で巨体を支えている。

そして、エイハム少尉の【コンダードゥ】はアリの口角に挟み込まれ、今にも潰されようとしていた。


「くそぉぉおおぉ!逃げろ、そして報告を……」


最後まで言い切る前に真っ二つにされスパークを撒き散らし爆破四散する【コンダードゥ】


「うわー、エイハム少尉ってこれで何回目なんだろうな、死んじゃうの」


「バカいってんじゃないの、来るわよ!」


『キシャーーーーー!!』


四十メートルの巨体が【シェロブ】が動き出す。


「援護頼んだ」


「頼まれた」


フットペダルを踏み込み機体を加速させる。直径800メートルはある広場の中心めがけて時速三百キロで駆け回る。

左右に大きく蛇行し【シェロブ】に狙いをつけさせない。


ラピスのエネルギーの矢が幾本も【シェロブ】の頭部に突き刺さる。

注意が逸れた! 先ずは右足!

一直線に加速しエネルギーサーベルを右足に斬り付ける! 気色の悪い錆び色の液体が吹き零れる。


「くそっ硬い! こいつどんな材質でできてるんだ」


「破壊されたBMでできてるらしいわ、気をつけて、こいつ飛び道具もあるわよ!」


なに!?

っ! ゾワリとくるこの感覚、考えるより先に機体を動かす。

ほぼタイムラグなしに頭部から熱線が放たれる。


「こいつ、これだけでかくて固いのに遠距離まであるのか!」


【シックスセンス】がなかったら直撃していたぞ。


「最初に配置されたとはいえ相手は【ビショップ】クラスよ、普通なら五人PTで戦う相手なんだから油断しないで」


上下左右に撃ち分けられるラピスの射撃を煩わしげに手の鎌で振り払い、目標をラピスへと変える。行かすかよ!

スラスターを斜め下にし、一気に懐へ飛び込む。

エネルギーサーベルを胴体に突き刺す。激しいスパークと錆び色の液体が噴出し、苦痛の呻きを漏らし激しく暴れまわる。

すかさず頭部に数初の矢が連続して突き刺さる。


『ギギャーーーー!!』


「しまっ」


右の鎌に弾き飛ばされ一00メートルほど吹き飛んだ。

ビビビッと激しい警告音が鳴り響く、機体ダメージを現すグラフィックは全てが真っ赤だ。


「ケイジロウ!」


「まだ大丈夫だ!」


とはいえ、一撃で真っ赤かよ、【シェロブ】の攻撃力が高いのか、【スワーロゥ】の耐久力がそれほど軟いのか……両方だな。


「きゃぁ」


ラピスが身を隠している岩陰に激しい熱線が降り注がれる。


「大丈夫か!」


「ヘッドを潰されたけどまだいけるわ」


「もう一度突っ込む! 援護頼んだ」


「ちょっと、もう一撃食らったらあんた持たないわよ!」


「俺には突っ込む事しかできない!!」


「もうっ」


ヘッドにあるメインカメラを潰されたのに正確な射撃が【シェブロ】の頭部に集中し、遠距離攻撃の熱線を封じ込める。

俺は直線でなく、左右に素早くステップを切り鎌の一撃を避け胴体の真下に潜り込み、上にサーベルを突き上げ、全速で駆け抜ける事で縦長に胴体を斬りつけた!


『キシャーーーーー!』


激しいダメージに【シェブロ】の巨体がふらつく。今だとばかりに身を乗り出し、威力重視の一撃を撃ちこむラピス。

ラピスの一撃で決定的な隙ができた! 今まで邪魔だった左右の鎌がだらしなく垂れ下がる。頭部に攻撃を食らうのを嫌がって、常に鎌は左右どちらかを持ち上げていた。


フットペダルを最大まで踏み込む。【高速飛行】

まるでロケットのような勢いで一直線に【シェブロ】の頭部を目指し飛翔する!


「止めだ!!」


突撃する勢いのままエネルギーサーベルを頭部に突き刺し更に捻る!


『ギシャーーーー!』


三度目の悲鳴が最後だった。四十メートルもの巨体が崩れ落ちる。

色が抜け落ち真っ白になり、全身にヒビが走り回る。バキッバキッという物が壊れる音を立て、粉々に砕け散った。


「「勝った!!」」


「うわー、しんどかった」


コクピットシートに体を預け、全身の力をくたっと抜く。


「本当、でも最初の難関を突破したんだから後はどうとでもなるわ」


「五人PTでも失敗とかしてたのかな?」


「んー、たしか討伐成功率24%って書いてたわね」


「そう考えると俺たちってかなりいいコンビじゃないか? 五人で四回に一回しか成功しないミッションをクリアしたんだから」


「そっそうね、まぁあんたもなかなかやる事は認めてあげてもいいわよ」


「宇宙に出るまではよろしくな」


「OK、ガンガン進むわよ」


あれ? なにかいつもと違う物が落ちてるな?


「何か落ちてる」


「え? あー早く拾わないと消えちゃう、拾って、早く!」


「おっおう」


そこには、巨大なクリスタルと【変質した鉄鉱】、そして【シェロブSRスナイパーライフル】が落ちていた。




 


【シェロブ】は指輪物語などで出てくる巨大な毒蜘蛛から名前を取ってみました。

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