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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅠ
1/67

プロローグ

Keizirou―――


―――【Loading】―――


すぅと落ちる感覚が終わり目を開ける。

ここは……俺のマイルームだ。俺はイベントリオープンと頭の中で念じてイベントリを開く。

中に入っているのはIDカードに白のNeuron(ニューロン)(N)スーツ、ST(スタミナ)SP(スピリッツ)ポーション数個ずつ。

俺は白のNスーツを取り出し着替える。全身真っ白な体にぴったりとフィットしたスーツに、同じく真っ白で流麗な曲線を描くヘルメットを被る。

相棒はセンスがおかしい、壊滅的だなどと暴言を吐くが、好きなのだから仕方がない。





――――――――――――


VRバーチャリアリティーが誕生してからすでに十年が過ぎようとしている。

脳に直接信号を送り、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が感じ取る事のできる仮想世界を構築する事で、擬似世界を体験できるようになった。

色々なコンテンツが世界を賑わせたが、その中でもVRMMOに対するゲーマー達の情熱は燃え尽きるという事が未だになく、数々の作品が世に送り出されていた。





Keizirou―――


俺は部屋をでて、エントランスホールに向かう。

エントランスホールには三つのポータルが光の輪を垂直に煌めかせ、クルリクルリと回っている。始めて見た時は見惚れたほど綺麗な輝きだ。

一つは首都に、一つは惑星のフィールドに、最後の一つは宇宙要塞ファー二エルに通じている。

俺は三つのうち宇宙要塞ファーニエルに通じているポータルに踏み込んだ。





――――――――――――


西暦20X5年VRMMOにも新しい波がやってくる。人型機動兵器、Nerve body armor 通称ブレイン・マリオネットに搭乗し、マシーン対マシーンの戦いを仮想世界に作り出す事に成功した。

限りなく現実に近づけた仮想世界では、機体の伝える振動や遠心加速度まで忠実に再現している。

とはいえ、あくまでゲームなのだから耐G措置もキチンととられている。苦しい思いをしてまでゲームにのめりこむ人間もそこまで多くも無い。





Keizirou―――


宇宙要塞ファーニエルについたと同時にメールが届いた。

件名は【あと五分遅れたら撃つ】

やばい……本文もほぼ同じ内容だろう。俺はメールを最後まで確認せずに機体を預けているブレイン・マリオネット(BM)ハンガーに急ぐ。

二分でハンガーに到着。後三分、何とか間に合うか?





――――――――――――


Brain Marionette Online が作り出す人型機動兵器のリアルさは多くのロボットファンを虜にした。

乗ったときにマシーンから伝わる振動、自身で全高十五メートはあるマシーンを自由自在に動かすという快感。

対プレイヤー戦の臨場感。

次々と出てくる敵NPCのマシーンやパラサイトを打ち破り巨大機動兵器を倒すのは、多くの一般プレイヤーの心もガッチリと掴んだ。





Keizirou―――


ファーニエルのハンガーは月の重力と同じ約六分の一Gになっている。

俺は十五メートルの高さにある欄干から飛び降りて自機の前へと急だ。


「メリッサ、直ぐに移動する。起動準備を頼む」


機体の前にいるラテン系の美女、メリッサ・ラマンに起動準備を頼む。


「OK、Keizirou あんたはシートに座っていい子にしてな」


いつもと同じやり取りに俺は苦笑をしてしまう。彼女は整備NPCだ、いい加減AIのパターンを増やして欲しいな。


極限まで軽量化した外骨格に、真っ白な装甲を纏った無骨な騎士。俺の愛機だ。

俺は高さ十メートルほどにあるコクピットまで一気に跳び滑り込む。


「大将やっと来たのかよ、さっきから姉御が遅い遅いってお冠だぜ?」


誰も居ないはずのコクピットから威勢の良い声が掛けられる。


「うへぇ最近三回も遅刻してたからな、今回はまじでやばいかも……」


「うけけけ、まぁがんばりな~~」


機体制御サポートAIがマスターに向かって馬鹿にした様な笑いを向ける。なんでこんな風に育ったかな……まぁ別段嫌じゃない、どちらかというと気さくな感じで俺に合っている。


ゆっくりとハンガーが動き出しBM用ポータルに移動する。そして、目的地へと飛ばされた。





――――――――――――


『マスター、Keizirou様が到着なされました』


聞き心地の良い少女の声がする。


「ようやくか、時間十秒前。本当にギリギリだな」


応えたのは青年になる一歩手前という感じの少年。


《ちょっと、あんた遅いわよ! 今度遅刻したら張り倒すって言ってあったでしょ? あとでロビーに来なさい》


鈴を転がしたような透き通った声で私刑を言い渡す少女。


≪ちょっと待て、ギリギリ間に合っているだろう?ほらあと十秒もある≫


それに応える少年は、まるでやんちゃをしてしまい母親に怒られたような顔で言い訳をする。


《あと十秒しかないの間違いでしょう? そんなもの遅刻と同じよ》


≪無茶苦茶言うな! よしっ、ならどっちが正しいかスコアで決着をつけようぜ≫


《あら? そんなに吼え面をかきたいの? OK乗ってあげる》


≪上等だ! そっちこそ泣きべそかかしてやる≫


「ふぅ……うちのエースはどちらも元気だな」


「はい、平常運転ですね。……マスター時間になりました」


「よし、二人ともじゃれ合うのはそこまでにしてくれ、作戦の時間になった」


≪《じゃれ合ってない!》≫


「はいはい……今回のターゲットは戦艦二隻、護衛艦五隻、そして……プレイヤー四チームだ」


《ふふん、プレイヤーも居るなら楽しめそうね》


獲物を狙う肉食獣のような笑み。


「こちらはバックアップにゴブリン小隊五機が来てくれる、だがあくまでメインは私たちチームトライデントでいく」


≪OKだ≫


これから喧嘩だとばかりににやりと笑う。


「さて……戦力差は?」


「はい、こちらがメインBM二機、サポートBM五機、強襲突撃艦一隻。対して敵戦力はBM五十機、戦艦二隻、護衛艦五隻、そしてプレイヤーBM二十機です」


ゴブリン小隊をいれても十一倍。


《ふふっ私はいつでもいけるわよ》


「そうだな、私たちならいける……チームトライデント出撃!」


眼鏡を上に押し上げ右手を横に勢いよく振り払い号令を発する。

少年の号令で強襲突撃艦のエンジンが火を噴き、数多の煌めきと漆黒の(そら)へと飛び出していく。



新たな戦場へと……




                                 to be continued……


のんびりと更新させてもらいます。



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