八の幻想 疑わしきは、追及すべし
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村の入り口で馬車を止められる。そこには見張りの兵士が立っていた。
「おっと君達。この村になんの用だい?」
兵士は槍を持っているが、敵意を持って問い掛けてきたわけではなさそうだ。
「僕達、この村で昼食を取ろうと思ったんですけど……」
圭吾が正直に答えると、兵士の表情が曇る。発言を誤ったかと、圭吾は焦る。
兵士が困り顔で近づいてきた。圭吾は目を瞑り、歯を食いしばる。その様子を見て、マフリが口を開きかけるが、兵士の言葉の方が一足早かった。
「いや悪いね。この村には食事をできるところはないんだよ。それに旅人さんに役立つような物を売っている店もないしね」
「はあ……」
「分かったら、脇に寄って、馬車の中で食事を取ってくれ」
言われた通り、圭吾達は馬車を別の場所へと向かわせた。なるべく兵士から離れた所に停めたのは、村に入ることを拒否されたことによる、ちょっとした苛立ちからだ。
馬車の中を漁ると、パンと野菜、少量の肉があったので、サンドイッチを人数分作った。このとき意外だったのは、アンダークスの手際が良かったことだ。曰く、いつ一人で旅に出てもいいように家事全般を練習してたらしい。一方で、マフリは料理などしたことが無いようで、初めての料理に目をキラキラさせていた。このメンバーの料理できる序列を作るならアンブラ≧アンダークス>>圭吾>>>マフリという順だろう。
「「「「いただきます」」」」
圭吾は一口ずつゆっくりと、アンブラはなにか気になることがあるのか地図を読みながら、アンダークスは一心不乱に勢いよく、マフリは噛み締めるようにサンドイッチを食べる。
「自分達で作って自分達で食べる。それがこのように良いものだったなんて知りませんでしたわ」
「もしかしてマフリちゃんって、いいとこのお嬢様だったりするのか?」
マフリの言葉から、アンダークスがみんなが薄々感じていたことを代表して質問してくれる。その問いに対して、マフリは小首を傾げながら答えてくれる。
「ワタクシがお嬢様かなんて意識したこともありませんでしたわ。そうですわね……お友達よりは物を持っていた気がしますわね」
その答えに圭吾とアンダークスはポカーンとする。アンブラは地図に集中していて、話は聞き流していたようだ。サンドイッチを食べる手も止まっている。
「意識してない時点で十分すごい人だってことは分かったよ……」
圭吾からはそんな言葉しか出てこなかった。
「ねえ、これを見てください」
アンブラが全員に呼びかける。アンブラは地図の一点を指差していた。
「そこには何があるの」
圭吾が見たところ、アンブラが指差している地点には何も無いように見えるが。
「何も無いんですよ」
「何も無いとなんか不味いのか?」
アンブラは姿勢を正した。他の人達もそれに倣って姿勢を正す。
「まず、このルート。恐らくこれが私達の通ってきたルートです」
そう言って、地図をなぞる。そこにはアンブラ達の村や風車小屋はあったが、その他のものは無かった。
「ああ、そういうことですのね!」
マフリは手を合わせて納得したようだ。
圭吾とアンダークスはいまいち理解できずにいると、アンブラが説明を続けた。
「私はさっきの見張りの人のことが気になって、なにか手掛かりがないのかと調べてみたんです。そしたらすぐに違和感の正体が見つかりました。さっきの村……」
「うわああああああ!?」
突然、叫び声が聞こえてきた。その声を聞いて、話が中断させられる。
アンダークスが馬車から飛び出そうとし、圭吾もその後に続こうとする。
「あ、ちょっと」
「悪いアンブラちゃん!話は後で聞くから!」
馬車を出て声のした方を向くと、そこにはさっきの村の柵があった。
「こんな柵さっさと乗り越えて……わっちょ!?」
アンダークスが柵に手を掛けた瞬間、なにかがアンダークスを襲ったようだ。
「大丈夫!?」
圭吾がアンダークスへと駆け寄り、起こしてやる。
アンダークスは手を押さえ、忌々しそうな顔をした。
「聞いたことしかなかったけど、これが魔力防壁か……!」
「魔力防壁?」
「あの柵、見た目はただの柵だろ?でも、あの柵には魔力が流れてて、下手に触れるとダメージを負っちまうんだ」
圭吾が元いた世界でいう、電気が流れる鉄柵のようなものだろう。
後ろからアンブラ達が追いついてきた。
「どうしたのアース君!?」
「アンブラちゃん、どうやら魔力防壁が張られているみたいなんだよ……」
「魔力防壁……。やっぱりこの村はおかしいよ」
「どういうこと?」
「ケイゴさん、話は後でします。あなたは上から中に入ってください。私達はこの柵をどうにかして後から付いて行きます」
「わかったよ」
アンブラを信じ、圭吾は先に進むことにする。
柵に触れたらダメージを受ける。つまり、柵を乗り越えられるだけ飛ばなければいけないが、柵はかなり高い。あまり高く飛んだ後は、今度は着地が難しい。
(他のことを考えている暇はない!)
疾風のナイフを地面に突き立て、上へ大きく飛ぶ。柵より高く飛んだところで、今度は背中側へとナイフを向けて前方へと進む。柵を超え、重力に任せて下へ落ち、地面にぶつかる前に風で衝撃を和らげる。
圭吾が建物の間を抜け、大きな道へと出ると、そこには蹲る男と、その男へ剣を突きつける兵士がいた。
圭吾は彼等の下へと走る。
「そこの兵士さん、ちょっと待ってください!この人がなにしたんですか!?」
いきなりの乱入者に、兵士は圭吾を睨みつけ、男は圭吾の足元へと隠れる。
「なんだお前は。……人間のくせにハエレティクスを擁護する反逆者め!そいつと一緒に切り殺してくれる!」
兵士が圭吾に向かって切りかかってくる。咄嗟の事態に反応が間に合わなかったものの、尻餅を付いて転び、寸でのところで剣を回避した。
圭吾が転んだところを、今度は縦切りしてこようとする。
すると、黒い光が圭吾の目の前を抜けていき、振り下ろされた剣が光に当たった瞬間に消え失せる。
「大丈夫ですか!?」
アンブラの声が聞こえる。圭吾の下へ他の三人が合流した。
「僕は大丈夫。この人を連れて脱出するよ!」
圭吾はナイフを地面に突き立て、今度は体が浮かない程度の風を起こし、砂煙を巻き起こす。目くらましに乗じて、脱出することに成功した。
初・日曜更新!
喜ばしいことのように書いてみましたが、全くもって悪いことです。
誰か上手い時間の使い方を教えてください。
さて、本編の話ですが、主人公最弱ってなんでしょうね。
圭吾自身は弱いはずなのに、武器が強すぎてチートに見える。
どうすれば圭吾をもっと未熟で弱く見せられるのでしょうか。
設定を上手く見せるのは大変です。
次回こそ金曜更新、の予定です。がんばります。