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三の幻想 男の子は剣に憧れる

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感想、意見もお聞かせいただけたら嬉しいです

 目立った怪我もないということで圭吾は部屋から連れ出された。

 勇者の仕事。そう言われて、まず思いつくのは魔物の討伐だ。オークの話が出た後だ、十分にあり得る。まさか、こんな本物の武器なんか一度も持ったことのない現代っ子の少年に、そのような危険なことをさせようというのだろうか。

 そのことをクレービリスに聞いてみたところ、

「オークへの怯えよう、あれで君が実戦をしたことがないのはなんとなく分かってるよ。それでも、私達は君のような者に頼らなければいけない状態なんだ。今回は私もサポートするから安心してほしい。勇者としての力、期待しているよ」

 と言われた。

 勇者としての力と言われても、圭吾には勇者になったという自覚はない。力を出すのもぶっつけ本番。不安で不安でしかたない。

 そんなことを考えながら、クレービリスについて行った先には、小さめの祭壇があった。本当にゲームの世界にでも入ったみたいだ。

 神殿、病室、それと恐らく居住スペースが一つの建物として建てられているためだろうか、祭壇として想像していたものよりは小さい。しかし、そこからは圧倒されるような雰囲気が醸し出されていた。

 クレービリスは少し待っているようにいい、祭壇の裏側に回って何かを探している。そこに収納スペースでもあるようだ。

 神殿の中を見回す。木造のせいか所々痛んでいるようだが、それでも荘厳さは健在のようだ。パルテノン神殿のイメージで神殿は石造だと思っていたが、木造も親しみやすくていいと思う。

「あのさあ」

 そんなことを考えていたら、さっき部屋に入ってきた少年が話しかけて来た。部屋からここまでついて来ていた。

「クレービリスさんにオークを追い払ってもらおうと思って来たんだが、あの人に呼ばれるなんてあんたなにもんだ?退治屋かなんかか?」

 そういって少年は圭吾をまじまじと観察する。

「とてもそうは見えないけどなあ。病室で寝込んでたし」

 失礼なことを、とても失礼な顔で言っていた。それに反論できる言葉を持たない圭吾は苦笑いをするしかない。

「ええっとね。僕は朝倉圭吾。あの人、クレービリスさんが言うには……勇者ってことになるらしい」

 圭吾は自分で言っていて、とても胡散臭く感じた。それはどうやら相手も同じらしい。かなり顔に出やすい人物なようだ。

「俺はアンダークス・ポティスターってんだ。村のみんなにはアースって呼ばれてる。…しかし勇者ねえ。噂には聞いちゃいたが、こんな弱っちそうなやつがそうだとは思えねえな」

 それを本人の前で言うのはどうなのだろうか。おどけた調子で言っているので、アンダークスには悪意は無いようである。もっとも、弱いということなら、喧嘩もまともにしたことがない現代っ子な圭吾には間違った感想ではないので、殊更に言い返したりはしない。

「いてっ!」

 アンダークスの頭をいつの間にか戻っていたクレービリスが叩いた。アンダークスは大きな声を出していたが、そこまで本気で叩いてはいないようだ。叩かれると大げさに反応してしまうのは、万国共通なようだ。

「アンダークスくん。客人に失礼な態度を取るのはやめたまえ。物怖じせず誰とでも接することができるのは君の美徳だが、もっと距離感というものも考えたまえ」

「へーい」

 説教に対してアンダークスは軽い返事で返した。多分、この少年は反省してはいないだろう。それはいつものことなのか、クレービリスは軽く溜息を吐いた。

「まあ近所の悪ガキの相手は置いておくとしてだ」

「誰が悪ガキっすか、クレービリスさん!」

「これから真面目な話をしようとしているんだ。少し黙っていてくれ。……さて、ケイゴくん。君に餞別だ。この神殿に伝えわる武具、疾風のナイフだ」

 クレービリスから一本のナイフと革の鞘が渡される。ナイフは刀身も柄も緑色で、鍔は渦巻きを模したような独特な形をしている奇妙なものだった。

「あ、ありがとうございます」

「そのナイフは、この神殿の守り神、風神ウェントゥデウスが旅人を守るために鍛えたものだと伝え聞いている。それを持ってオーク退治に参加してほしい」

 クレービリスの目は本気の目だった。しかし、圭吾にはとても正気の発言には思えなかった。ナイフ一本でどうやってオークと戦えというんだろうか。

「あの、クレービリスさん?さすがにこれ一本で戦うのは無謀じゃないですか?」

 圭吾は苦笑いしながら言った。

「それもそうなんだけどね。とりあえず、これを持ってみてくれるかい?」

 クレービリスは手に持っている杖を圭吾に渡した。圭吾は両手で杖を持つ。

 ドツ。

(うわ、重!?)

 クレービリスが片手で持っていたから甘く見ていたが、杖はなかなかに重かった。

「なんだよ、俺に貸してみ?」

 そろそろ黙っていることに飽きた様子のアンダークスが圭吾の横から杖をひったくった。

 両手で剣を構えるように持っている。圭吾にはそんな持ち方できそうにない。

「ん、これ見た目より重たいな。こんなのいつも持ってるとかクレービリスさんスゲーっす!」

 そんなこと言いながら、アンダークスは素振りまで始めてしまった。チラチラと圭吾の方を見てきたりする。褒めてもらいたそうな表情だ。

「この杖でも剣よりは全然軽いんだ。ケイゴくんは鍛えてる風には見えなかったから、最初から剣は持ってこなかったんだよ。それに、そのナイフは見た目からは分からないほどに力を秘めている。勇者であろう君ならその力を引き出せると私は信じている。あとアンダークスくん。そろそろ素振りはやめてそれを返してくれないかな」

 言われたアンダークスは物惜しそうな顔で杖を返した。

「それに今回は私が君を守る。それで向いてないと思ったら今回でやめればいいんだよ」

 クレービリスが圭吾の肩に手を置きながら言った。自分より年上の人にそのようなことを言われると安心できるような気がする。

 クレービリスは入ってきたのとは違う、大きな扉の方に向かって行く。おそらくその雰囲気から外に出る扉なのだろう。圭吾はその後について行く。

「ちょっと待ってくださいよ。俺も行くから武器を持ってきますよ」

 アンダークスがクレービリスの前に出て言った。

「おや、アンダークスくんは別に来なくてもいいんだよ?いつも通り私だけでもなんとかなる仕事だと思うし」

「それはそうかもしれないっすけど、えっとえっと……それでも行きます!」

 アンダークスは走って外に出ていった。

「いいんですか?これって危険なことじゃないんですか?」

 圭吾は自分がその危険なことに巻き込まれているのに人の心配をしていた。そんなケイゴを見てか、はたまたアンダークスの様子を思い出してか、クレービリスは少し笑みを浮かべていた。

「なに、問題ないさ。……さあ、私達は先に行ってようか」

「あ、はい」

 なにが問題ないのか分からなかったが、圭吾は反射的に返事をしてしまっていた。

小説を書くのは難しい!

書き終わってみると自分の思っていたものと違うものが出来上がってしまう。今の私はそんな心境です。


さて、今回は私の気に入ったSSの話をしましょう。

SSとか他者の作品の話とかをしていいのか分かりませんが、ぜひ紹介させてください。

俺ガイルのSSの『八幡「ブラコンめ!」沙希「シスコンめ!」』という作品です。

私は俺ガイルは平塚先生派なのですが、この作者の書く川崎、そして戸塚にノックアウトされてしまいました。オススメの作品です。

私もSSができるような作品が作りたいなあ……。


次の更新も金曜日の予定です。

次回は初の戦闘回。臨場感のある描写ができるように必死でがんばります!

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