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十三の幻想 さあ騒げ、祝宴だ

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感想、意見を貰えると嬉しいです。

 一夜の戦いが終わり、現在は祝勝の宴会を集会所で行っている。

 これから先がどうなるかは分からない。この村がずっと孤立したままになることも、すぐに役人が戻ってきてしまうことも、そして公的に国に認められることも、全ての可能性が考えられる。圭吾達はすぐに王都へと着き、王様と交渉しなくてはならないだろう。

 しかし今だけは、そんな難しいことは忘れて、村人と圭吾達は宴会を楽しんでいた。

「ふぉふぉふぉ、大成功じゃの」

 話しかけてきたバルバは、とても嬉しそうだった。

 今ここには圭吾だけがおり、他の仲間達は思い思いの過ごし方をしている。アンブラは村人達に挨拶をして回り、アンダークスは片っ端から食べ物を食べ、マフリは村の子供達といっしょに遊んでいる。圭吾は、数口食べ物を食べ、今は少し休んでいるところだった。

「僕達が早く王都に着いて、誤解を解かなければいけませんけどね」

「まあそう気負うでない。わしとしては現状維持でも問題ないと思うぞ」

 圭吾は真剣に考えていたが、バルバにとってはそこまで深刻な問題ではないようだ。それは解決策の提案が出たときからだったが、年を取るとそこまで落ち着いて判断を下せるようになるのだろうか。

 バルバと話していると、自分が悩んでいることが小さなことに思えてくるようだ。

「そういえば、マフリさんとはなにかあったんですか?」

 圭吾は少し気になっていたことを切り出してみた。バルバとマフリは何か通じ合うところがあったようだが、それがなにか気になっていたのだった。

「マフリとはあの獣人のお嬢さんのことかね。どうしてなにかあったと思うんじゃ?」

 バルバの目を見ていると心の中が見透かされているように思えた。だから圭吾は、少し目線を逸らしてしまった。

「だって、マフリさんがバルバさんとなにか通じ合っているように見えたから」

「ふぉっふぉっふぉ」

 圭吾の言葉にバルバは笑う。そうされると、圭吾は自分がちっぽけな存在のように感じられてしまう。

「なあに、長く生きていると色々なことが分かるだけじゃよ。少年にもいずれ分かる日が来ようて」

 長生きだけが要因とは思えないが、彼には圭吾には分からない人生経験があるのだろう。

 釈然としないが、それで圭吾は納得することにした。

「ケイゴ様」

 話をしていると、話題の主であるマフリがやってくる。

 彼女の後ろには子供達が付いてきている。

「すみませんが、子供達のお相手をするのを手伝ってはもらえないでしょうか?ワタクシ、体力が無くて限界ですの……」

 見ると彼女は息切れをしていた。はしゃぐ子供達の相手というのはそれほどハードな仕事なのだろうか。

「分かったよ。マフリさんは近くの椅子に座ってて」

「ありがとうございますわ」

 彼女が椅子のところへ向かい、圭吾は子供達と向き合った。子供達は屈託のない笑顔を浮かべている。こんな純粋な笑顔を見るのは何年ぶりになるだろうか。

「さあ、なにをしようか?」

「ぼくねぼくね!おいごっこがしたい!」

「ぼくはかくれんぼ!」

「わたしはおはなしがききたい」

 他の子供達も口々に自分にしたいことを言う。体を使う系は室内ではできないし、外は暗いのでできないだろう。けれども、子供達が能動的になにかするようなものでなければ、不満もあがりやすいだろう。

(となると、あれかな……)

 圭吾の中には、一つの案が浮かんでいた。それが正解かは分からないが、楽しんでもらえれば成功だ。

「ちょっと待っててね」

 圭吾はそう言って、馬車へと物を取りに行った。


        ◆   ◆   ◆


 圭吾の考えたこと、それはトランプだった。

 トランプは圭吾が元いた世界から持ってきていた数少ないものの一つだ。大富豪が得意なのは密かな自慢である。

 子供達にはトランプは好評だった。子供というのは、どこの世界でも未知のことには興味津々なようだ。

 子供の飲み込みの早さはとても早く、何戦かしたら圭吾を簡単に打ち負かしてくる者もいたほどだ。

 その時間はなかなかに充実した時間だった。しかし、とても疲れるので、しばらくは遠慮したい。

 遊び倒して、子供達は寝る時間なのかうつらうつらし始めたところで、お開きになった。

 子供達を帰し、休憩しているところに、バルバが歩いてくる。

「随分お疲れのようじゃの」

「子供の相手って思ったよりも疲れますね」

「一つ成長したの。しかし、子供達に新しい遊びを教えて、これから親御さん達も苦労するであろうなあ」

 そこで圭吾とバルバは一緒になって笑った。

「おっとこんな世間話しとる場合ではなかったの。また目的を忘れるところじゃったわい」

 そして、バルバは圭吾に大きな布を渡した。一見するとマントのように見えるが。

「これは一体?」

「それは戦神のマント、のレプリカじゃ。レプリカといっても、本物の戦神のマントのように身を守ってくれる。まあ、性能は本物には及ばんがの。今回の礼じゃ。受け取ってくれ」

「あ、ありがとうございます」

 圭吾がマントを受け取ったところで、向こう側で宴会の終わりを告げる声が聞こえる。

 人々が帰っていくなか、圭吾達は集会所に泊まることになっているので、会場に残るのだった。

 仲間達を見ていると、それぞれ違う品を貰っているようだった。

 圭吾はマントを羽織ってみるのだった。

毛色の違う話をするといつから錯覚していた?

実際のところ、切れ目が悪かったのと、強化アイテムのためにこの話をいれました。

さすがに学ランだけの防御力はたかが知れているので。


それではまた次回。

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