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九の幻想 その一歩は小さくて

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感想や意見をくださると嬉しいです。

 一行は兵士に襲われていた男性を連れて路地裏に来ていた。

「た、助けていただきありがとうございます!」

 男性が圭吾達に向かって頭を下げる。

「「「!?」」」

 男性がこちらを向いたとき、圭吾以外の顔が驚愕に染まる。なにに驚いたのか、圭吾には理解できなかった。

「みんななにかあった?」

「ケ、ケイゴさん……、その人……」

 アンブラが男性を指差す。指差された男性は申し訳なさそうな顔をする。

「はい。私はハエレティクス、です」

「やっぱり……」

 あの兵士も言っていたハエレティクスという言葉。どうやら差別用語の類のようだ。

 差別や偏見というのはとても複雑な問題だ。しかし、こちらから首を突っ込んでしまったからには放置するという訳にもいかない。少なくとも、このメンバー側の問題はなんとかしなければならない。

「ハエレティクスというのはどういう意味ですか」

 圭吾の問いにみんな男性の方を見るだけで何も言いだせないようだ。結局、ハエレティクスであるところの男性が口を開く。

「ハエレティクスというのは、人間や獣人やエルフの混血、忌み嫌われた子です……」

「混血か」

 たしかに、男性は人間の耳の位置に獣のような耳が付いていた。

 混血が忌み嫌われる理由は、大体の場合は双方の種族が敵対関係にあることに起因することが多いが、マフリと他の人との接し方を見るとその様子はない。

「混血だとなにか悪いわけ?」

「ハエレティクスは神に望まれた生物ではなく、その存在は人々に災厄をもたらす、そう言われていますわ」

「そんなのはただの迷信です!?私達は普通に生きたいだけなのに、あなたたちの勝手な都合で迫害してるんでしょう!?」

 恐らく、前述のような諍いは以前はあったのだろう。だが、今はない。しかし、その影響はここに残っている。本人達に原因がないのに、問題自体は根深い。なんとも厄介な案件だ。まだ本題に入ってもいないというのに。

「言い伝えとか信仰とか、僕はこの世界の人じゃないから分からないけどさ。その災厄ってのは自分の目で見た訳じゃないでしょ?」

「それは、そうですが」

 圭吾の言葉にマフリははっきりと反論できない。心の中では納得できてないのだろうが、頭では分かるはずだ。

「それにさ、種族を超えて愛を育んだその結果だって、そう考えるとロマンチックじゃない?」

 アンブラ達三人は下を向く。対して男性は圭吾の方を見て、目を丸くしている。

「…そうだよな。よく知りもしないのに何か言うのはダメだよな」

「ワタクシも酷い態度を取ってしまって申し訳ありません」

「私も謝らなければなりません。ごめんなさい」

 三人が少なくとも表面的な態度を直したことに、男性は驚いている。心の底から分かりあうのは、もっと落ち着いた時がいいだろう。

「じゃあ、この話がまとまったところで、本題に入りたいんだけど、その前に自己紹介をしようか。僕は圭吾。そしてこっちから順にアンダークス、アンブラ、マフリだよ。あなたの名前は?」

 圭吾がそれぞれの紹介をする。名前を呼ばれたところでそれぞれがお辞儀をした。

「私の名前はパウペルと申します」

 男性が挨拶をして自己紹介は終わる。

「それで、なにがあったの?」

 圭吾がパウペルに話を促すとパウペルは申し訳なさそうに語り始めた。

「まずこの村について話しましょうか。この村はハエレティクスの村なんです」

 その言葉に場の雰囲気が一瞬凍る。圭吾はその空気に耐えられなくなる前に続きを促した。

「元々は私達の隠れ場所だったんです。私達はこの村で静かに暮らしてました。しかし、ある日突然ヒュムソルとバウレイズの役人が来て私達を支配しようとしたのです」

 ヒュムソルとバウレイズ、人間の国と獣人の国だとアンブラが圭吾に教える。

 バウレイズの名が出た時、マフリの様子が変わった気がした。同じ獣人のことを聞いて何か思うところがあったのだろうか。

「私達は逃げようとしました!しかし……」

 パウペルが視線を逸らす。圭吾達もそちらに目を向ける。

「あの柵ですね」

 アンブラの言葉に、パウペルは首を縦に振る。

「そうです。それからはハエレティクスというだけで搾取されるだけの毎日。私はその搾取に抵抗しようとしました。でも、災厄だとかなんだと言われても、結局ただの一般人なんです。それがさっきのあの様ですよ」

 そこでパウペルは話をやめた。

 差別による搾取。一昔前の地球でもあった話だ。いや、圭吾が知らないだけでまだ続いているのかもしれない。そのバカバカしさは知っている。だが、知っているだけではなんともならない。

「やっぱおかしいよな……」

 アンダークスが声を発する。みんなそちらを向いた。彼の顔は憤怒に燃えていた。

「ケイゴが言ったことをずっと考えてたんだ。んで、パウペルさんの言葉でやっと踏ん切りが付いたぜ!」

 そこでアンダークスは立ち上がり、全員を見渡す。

「俺はこの村をなんとかしたい!なんもやってないのに酷いことされんのはあんまりだ!」

 彼の言葉には力が籠っていた。圭吾はそこに自分が関われたことを誇りに思う。

 パウペルは開いた口が塞がらないようだった。そこにどれほどに驚きがあったのか、圭吾達には想像することもできない。

 一通りの心の整理が付いたのか、パウペルが全員の顔を見る。

「皆さん、私達の会議場まで来てくれませんか!?力になってもらえると嬉しいです……!」

 パウペルが勢いよく頭を下げる。

「僕はそのつもりだったよ」

「おう、やってやるぜ」

「私も行きます」

「ワタクシにもやらせてくださいませ」

 それぞれがそれぞれの答えを返す。自分から首を突っ込んだ圭吾や心動かされたアンダークス、自分の偏見に罪悪感を感じているアンブラ、そして他の三人とは何か一段階違う決心をしたマフリ。

 彼等はパウペルに連れられて、路地裏から会議場へと足を運んだ。

もう投稿予告に間に合わないことに定評のあるこの作品です。

いや、遊ばなきゃ投稿できるんですけどね。

遊び好きに遊ぶなとは拷問か!


そんなことはさておき。

圭吾のイケメン化がヤバい。

本当はもっとへたれで、物語が進むごとに成長する予定だったのに、私のキャラクターを動かす力が弱過ぎてこんな結果に。

ワタシニモットチカラヲ……。


次回は金曜日に投稿したいです。

でも、今までの感じから金~日のどっか投稿になるでしょう。

温かい目で見守ってくだされば、助かります。

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