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2200年、男子絶滅。乙女は資源になりました。 ~今日からあなたに。笑顔で楽しい「教育」を~  作者: 428の968


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8話 英雄達の帰還

:東京帝国学園 第一蘇生管理室


「――んっ、ふぁ……♡」


桃色の粘液に満たされたカプセルの中で、少女が目を開ける。 彼女は先ほど、武蔵野のゲート前でグレネードを体に巻き付け、自爆して死んだはずのメーテル突撃隊員だ。


蘇生プロセスが完了し、カプセルのハッチが開く。 そこには、温かいタオルと甘いキャンディを持った上級生たちが、慈母のような微笑みで待っていた。


「おかえりなさい。痛かったでしょう?」 「ううん……気持ちよかったぁ」


少女は頬を紅潮させ、恍惚とした表情でタオルに包まれる。 この学園の蘇生システムには、蘇生直後の脳内に強力な脳内麻薬(エンドルフィン)が過剰分泌されるよう調整が施されている。 死の苦痛は一瞬。その後に訪れるのは、この世のものとは思えない快楽と安らぎ、そして「よく頑張ったね」という絶対的な肯定だ。


「えらかったわね。貴女の自爆のおかげで、作戦は大成功よ」 「ほんとぉ? 先輩に褒めてもらえる?」 「ええ。貴女は英雄よ」


「わぁい! また死にたい! 次も一番に死ぬもん!」


少女はキャッキャと笑いながら、新しい黒のスーツに袖を通す。 死ねば死ぬほど気持ちよく、死ねば死ぬほど褒められる。 この「幸せな死への依存」こそが、メーテル突撃隊が恐れを知らず、笑顔で死ぬことができる洗脳の正体だった。




:大和会 役員会議室


勝利の熱気に包まれる学園の中で、一室だけ空気が凍りついている部屋があった。


「――申し訳、ありません」


情報長・如月零は、会長・神楽坂玲緒奈の前に膝をつき、深く頭を垂れていた。 その表情に、いつもの無感情さはない。あるのは、自らの不手際に対する激しい悔恨と、自分自身への怒りだ。


「第一副会長カエデ、および数十名の生徒の逃亡を許しました。第3ゲート周辺への彼らの到達時間が、第3ゲート周辺の制圧速度が、私の計算より10秒遅れました」


言い訳はしない。 「敵が予想外の抵抗をした」とも、「突撃隊が遊びすぎた」とも言わない。 全ては指揮官である自分の責任。


玲緒奈は紅茶のカップを置き、冷ややかな瞳で零を見下ろす。


「逃げた鼠は、何匹?」 「推定42匹です。……即座に追撃部隊を編成し、殲滅することも可能でしたが、ゲートがランダム転移だったため、捕捉に時間がかかります」 「零」 「はい」 「貴女らしくないわね」


玲緒奈の言葉が、鋭いナイフのように零の心を抉る。


「私の期待した『完璧な目』は、どこへ行ったのかしら?」


「……っ」 零が唇を噛む。その拳が震え、爪が掌に食い込む。 (甘かった。全てのゲートを、使用不能になるまで完全に破壊すべきだった。あの場での捕獲など考えず、あの場にいた全員を殺して蘇生させればよかった)


「……私の、能力不足です。破壊工作の徹底度が甘すぎました。次はありません。次は……」


零は顔を上げ、暗い炎が宿る瞳で宣言する。


「疑わしきは全て破壊します。可能性の芽は、根こそぎ焼き払います。……二度と、会長の手を煩わせるような失態は犯しません」


その悲痛なまでの忠誠心と、自分を責め続けるストイックさ。 玲緒奈はふっと笑みをこぼし、零の顎を指先で持ち上げた。


「いい顔よ。その『悔しさ』を忘れないで。……逃げた鼠たちは、恐怖を拡散する伝書鳩にしてあげましょう。下がっていいわ」 「……ハッ! ありがたき幸せ」


零は深く一礼し、部屋を出る。 その背中は、以前よりもさらに冷酷で、一切の隙がない「悪魔」へと成長していく。

またまた見に来てくれてありがとう!!

次回、9話 選別と生贄 です!

ちょっとだけエッな感じかも!

感想、ブクマ、評価などいただけると、更新のエネルギー(生贄コスト)になります! よろしくお願いします!

またね!

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