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オトシゲ:乙女は資源になりました。~男性絶滅後のディストピアで、学園経営しちゃいます~  作者: 428の968
過去編-α

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過去編その4:血の総会

東京学園・大講堂。 生徒約8,000名が詰めかける中、ステージ上では「民主会」による弾劾裁判が行われていた。 スポットライトを浴びているのは、生徒会長の東雲(しののめ) カレン。彼女は正義感に酔いしれた表情で、壇下の大和会の役員席に座る神楽坂 玲緒奈を見下ろしていた。


「神楽坂 玲緒奈! 貴女の率いる大和会は、神聖な学園に『暴力』を持ち込んだ! これは民主主義への冒涜です! 即刻、解散を命じます!」


会場からは、民主会のサクラによるブーイングが飛ぶ。 「野蛮人は出て行け!」「平和を乱すな!」 圧倒的なアウェイ。しかし、玲緒奈は優雅に足を組み、扇子で口元を隠してクスクスと笑っていた。


「……平和? 民主主義? ……滑稽ね。貴女たちは、屠殺場へ向かうトラックの中で『席順が平等じゃない』と喧嘩する豚と同じよ」


「なっ、なんですって!?」


「議論は終わり。……始めなさい、『掃除』を」


玲緒奈が指を鳴らした瞬間、講堂の重厚な扉が爆音と共に吹き飛んだ。 「玲緒奈様万歳!!」「玲緒奈様のために!!」


雪崩れ込んできたのは、真新しい制服に身を包んだ1年生たち――「挺身隊(ていしんたい)」だ。 彼女たちの目は焦点が合っておらず、アヤメ特製の脳内麻薬によって「死への恐怖」が完全に遮断されていた。


「ひっ、な、なんだ君たちは! 警備員! 警備員はどこだ!」 民主会役員が叫ぶも、既に警備員は床と熱い接吻を交わしている。


「会長ぉぉぉっ! 一緒に死にましょうねぇぇぇ!!」 先頭の少女が、満面の笑みでカレンに抱きついた。


「え、いや、離し……!?」


ドォォォォォン!!!!


少女の制服の下、腹部に巻かれた爆薬が炸裂した。 東雲カレンの上半身と、抱きついた少女の体が、一瞬にして赤い霧となって弾け飛ぶ。 それは、死ぬことすら「快楽」として処理された、狂気の特攻だった。


「ぎゃああああああ!!」 「自爆!? こいつら、自爆したぞ!!」


パニックに陥る講堂。だが、挺身隊は止まらない。 「お姉様たちもリセットしましょー!」「痛くないよ! 気持ちいいよ!」 次々と民主会役員席へ飛び込み、抱きつき、そして起爆する。 肉片と悲鳴が豪雨のように降り注ぐ、阿鼻叫喚の地獄絵図。



その頃、校舎の地下深くにある「蘇生ポッド管理室」。 そこは、五十嵐結衣と氷室アヤメによって、効率的な「処刑場」へと改造されていた。


「……蘇生プロセス開始。対象、民主会役員・計12名」


ブウン、という低い音と共に、ポッドの中で肉体が再構築されていく。 爆発で死んだ東雲カレンたちが、何も知らずに目を覚ました。


「はっ……! 生きてる……? 蘇生できたのか……!」 カレンがポッドから這い出る。 「くそっ、あの大和会の狂人どもめ! すぐに警察を呼んで、全員逮捕させてやる!」


だが、彼女の目の前に立っていたのは、冷徹な目の五十嵐結衣と、不気味なチューブを持った労働局員たちだった。


「蘇生おめでとうございます、元・生徒会長。……ですが、貴女はここまでです」


「な、何を……?」


問答無用で拘束され、カレンたちは一糸纏わぬ姿のまま『生贄抽出ユニット』へと繋がれた。 そこは、人間を生かしたまま魂エネルギーを限界まで搾り取る、地獄の椅子だった。


「やめろ! 離せ! 私を誰だと思っている!」


「静かに。……ほら、隣を見てください」


結衣が指差した先。隣のレーンには、先ほど講堂で自爆したばかりの「挺身隊」の少女たちの肉体が、空のポッドの中で再構築を待っていた。


「彼女たちは玲緒奈様のために勇敢に死にました。……蘇生させてあげたいのですが、あなた達を蘇生してしまったもので、ふふっ。あいにくエネルギーが足りなくてですね」


「ま、まさか……」


「ええ。蘇生させてすぐで非常に申し訳ないのですが、貴女たちがエネルギーになるんです」


アヤメがスイッチを入れる。 ギュイイイイイイイィン!!


「ぎゃあああああああッ!! 熱い! 中身が! 私の中身が吸われるぅぅぅ!!」


カレンたちの口から、目から、耳から、青白い光(魂)が強制的に引きずり出される。 それは単なる死ではない。存在の根源を削り取られる、魂の凌遅刑。


「1人の英雄を蘇生させるのに、貴女たち無能な役員が3人必要なんです。……光栄に思いなさい」


カレンの体の動きが止まる。 対照的に、隣のポッドでは、魂を注ぎ込まれた挺身隊の少女が、つやつやとした肌で目を覚ました。


「はぁ……っ♡ 生き返った……! 気持ちいい……!」 少女は自分の手が汚れていないことを確認し、恍惚の表情で敬礼した。 「生贄さん、ありがとう! また自爆してきます!」


カレン達は、魂を完全に消費されたため、二度と蘇生することはできない。完全なる消滅である。



講堂の混乱は、九条院紗夜率いる憲兵隊によって鎮圧されていた。 生き残った生徒たちは、血まみれのステージに立つ玲緒奈を見上げ、震え上がっていた。


講堂は、静寂と鉄の匂いに包まれていた。 ステージの中央。肉片となった前生徒会長の椅子を優雅に蹴り倒し、神楽坂玲緒奈は、そのハイヒールの踵を高く鳴らした。


彼女は、扇子で口元を隠し、冷徹で、それでいて蕩けるほど甘い声で囁いた。


「……見なさい。これが『民主主義』の末路よ」


玲緒奈は、震える生徒たちを見渡す。その瞳は、ゴミを見るような軽蔑と、愛玩動物を見るような慈愛が同居する、狂気の色を帯びていた。


「今日から、話し合いも、権利も、何にも必要ない。 ……この学園の法は、私よ」


彼女が指を鳴らすと、背後のスクリーンに巨大な新しい校章――黒と赤を基調とした、王冠と茨の紋章――が映し出された。


「私に従う愛しい生徒には、死の苦痛を取り除き、何度でも蘇生させ、永遠の戦いという『楽園』を約束しましょう。 けれど、逆らう者は……」


玲緒奈の視線が、地下のプラントがある床へと向けられる。


「地下で『養分』になりなさい。 貴女たちの魂をすり潰し、私の兵隊たちの糧として消費してあげるわ」


ゴクリ、と8,000人の生徒が息を呑む音が重なる。 恐怖か、それとも圧倒的なカリスマへの陶酔か。 場の空気が、「支配」一色に染まっていく。


玲緒奈は両手を広げ、世界を抱くように宣言した。


「ようこそ、『東京帝国学園』へ。 さあ、跪きなさい。そして称えなさい」


彼女は、最も美しく、最も残酷な笑みを浮かべた。


「私こそが、この学園の……いいえ、この狂った世界の全てを統べる『女帝』なのだから!!」


「「「玲緒奈様万歳!! 女帝陛下万歳!! 帝国万歳!!」」」


蘇生したばかりの挺身隊員たちの絶叫に近い歓呼。 それに飲み込まれるように、生き残った生徒たちも次々と床に額を擦り付けた。


誰一人、顔を上げる者はいない。 ここに、絶対君主・神楽坂玲緒奈による「東京帝国学園」が、鮮烈な産声を上げたのである

さて、過去編は一旦ここで終了!!第二章 内政編に入っていきますよ!

次回、22話: 処刑台なき迷走 です!

投稿予定時刻は2/11 12時です。お楽しみに!

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