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オトシゲ:乙女は資源になりました。~男性絶滅後のディストピアで、学園経営しちゃいます~  作者: 428の968
過去編-α

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過去編その3:死にたがりの兵隊さん

深夜の東京学園。生徒会室の机に足を乗せ、神楽坂玲緒奈は政府から通達されたばかりの『学園合併戦争法及び学生戦時特例法』の条文を眺めていた。 部屋の隅、暗闇に溶け込むように如月零が立っている。


「……笑えるわね。国のお偉いさんたちは、本気でこれを『学生を守るための慈悲』だと思っているのかしら」


玲緒奈が指先で弾いた条文にはこうある。 『学生に限り、戦場で得た敵の魂を使用することで、チケットを消費せずに自己蘇生を行うことを認める』


「一般生徒の反応は『恐怖』一色です」 零が淡々と報告する。 「死の苦痛、蘇生失敗のリスク、他人を食らう罪悪感。……誰もこの権利を行使しようとはしていません。民主会の連中も『人道的配慮により、我が校ではこの条項を凍結する』と声明を出しています」


「だから、あいつらは負け犬なのよ」 玲緒奈は冷たく笑って言い放った。

「いい?零。これは『命の救済措置』じゃない。『無限の弾薬の生産許可証』よ。普通は熟練兵は新兵3人にも変えがたい貴重な存在。でもね、一人死んでも3人生贄にすれば熟練の兵士がすぐ用意できる。つまり、敵を降伏させ捕虜を手に入れ続ける限り、我が軍の損耗率は実質ゼロになる」


「理論上は。……ですが、兵士のメンタルが持ちません。死ぬ瞬間の苦痛は、精神を破壊します」


「なら、壊れないように『改造』すればいいだけの話でしょう? ……ねえ、あの子を呼んで。地下の実験室で燻っている、倫理欠如のマッドサイエンティストを」




「えー? 生徒の脳内物質をいじりたい?」


薄暗い実験室で、ビーカーに入った怪しげな極彩色の液体をかき混ぜながら、氷室アヤメ(後の研究開発長)と、その助手を務めていた五十嵐結衣(後の労働長)が振り返った。 当時はまだ、二人は学園の研究費を打ち切られ、隠れて非合法な実験を繰り返す「厄介者」扱いだった。


「ええ。貴女たち、もっと大きな『検体』が欲しいでしょう?」 玲緒奈は、二人の前に大和会の裏金で国から購入した最新鋭の遠心分離機の領収書をポンと置いた。


「条件は一つ。『死ぬのが気持ちよくなる薬』と、『蘇生した瞬間に絶頂するような脳の書き換えプログラム』を作ること。……材料は、いくらでも用意するわ」


アヤメの目が、妖しく輝いた。 「あはは! 最高! 民主会の石頭たちは『倫理が倫理が〜』ってうるさいけど、君達は話がわかるねぇ! ……いいよ、やろう! 死ぬのが怖くない兵隊さん、作っちゃおう!」




数週間後。 民主会の目を盗み、旧校舎の地下倉庫に、国から配給されたものの誰も使わず埃を被っていた「蘇生ポッド」が運び込まれた。


そこに集められたのは、夢咲ららのプロパガンダによって洗脳され、大和会に入会したばかりの1年生たち――後の「挺身隊(ていしんたい)」候補生である。


「いい? 貴女たちは選ばれたの。死は終わりじゃない。ただの『リセット』よ」


玲緒奈の甘い囁きと共に、アヤメが開発した『恐怖遮断・脳内麻薬カクテル』が、少女たちの血管に注入される。


「あ……あは……なんか、ふわふわする……」 「玲緒奈様……私、なんでもできる……」


少女たちの瞳から、理性の光が消え、陶酔の色が広がる。 玲緒奈は、一人に拳銃を渡した。


「さあ、試してみなさい。……楽園への扉を」


パンッ。


乾いた音と共に、少女のこめかみが弾け飛ぶ。 血飛沫が舞う中、彼女の体は崩れ落ちた。 だが、すぐに零たちが遺体を回収し、死体袋へと放り込む。アヤメがコンソールパネルを操作し、あらかじめストックしておいた「3人分のエネルギー(大和会の旧幹部から抽出)」を注入。


ブゥゥゥン……カシュッ。


2時間後。ポッドのハッチが開く。 そこから出てきたのは、傷一つない、新品の肌を持つ少女だった。 彼女は恐怖で泣き叫ぶどころか、恍惚とした表情で自分の体を見つめていた。


「すごい……! 全然痛くなかった! それに、前より体が軽い! 生きているのが、こんなに気持ちいいなんて!」


アヤメが手を叩いて喜ぶ。 「成功だねぇ! 蘇生プロセス中に、ドーパミン受容体を過敏に設定しておいたんだ! 生き返るたびに、あの子たちは『最高の()()』を感じるよ!」


その光景を見て、他の候補生たちが我先にと手を挙げた。 「次は私にやらせてください!」 「私も! 私もリセットしたい!」 「玲緒奈様のために!」「玲緒奈様のために!」


地下室は、ちいさな自殺志願者たちの熱気で異様な空間と化していた。 恐怖は消滅した。 ここに、死を求める兵士という、帝国学園の狂った常識が完成したのである。


玲緒奈は、嬉々として自らの頭を撃ち抜く少女たちを眺めながら、零に囁いた。


「……見たでしょう、零。これが『人間』の扱い方よ」 「ええ。……これで、次の生徒総会の準備は整いました」


「民主会の連中は、きっと腰を抜かすわね。……自分たちが大事に抱えている『命』なんてものを、ゴミのように投げ捨てて突っ込んでくる兵隊を目の当たりにして」


東京学園の地下深くで、悪魔の軍団「挺身隊」が産声を上げた。 彼女たちは、来るべきクーデターの日、その命を弾丸として使い、学園を鮮血で染め上げるための「最強の捨て駒」となるのだ。

またまたまた見に来てくれてありがとう!!

次回、過去編その4:血の総会 です!

次回投稿予定時刻は2/10 12時です。

感想、ブクマ、評価などいただけると、更新のエネルギー(生贄コスト)になります! よろしくお願いします!

またね!

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