表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オトシゲ:乙女は資源になりました。~男性絶滅後のディストピアで、学園経営しちゃいます~  作者: 428の968
過去編-α

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/27

過去編その1:Yの終焉と「器」の定義

2076年。人類の歴史は、唐突な静寂と共に幕を閉じようとしていた。 世界規模で発生した遺伝子崩壊現象により、地球上から「男性」という種が絶滅したのである。 父親が倒れ、恋人が息を引き取り、精子バンクの凍結検体さえもが活動を停止した。残されたのは女性だけ。自然の摂理に従えば、人類はあと100年で地上から消え去ることが確定していた。


だが、日本は、その運命を拒絶した。 「日本国を、日本人を絶滅させてはならない」 時の政府は、国家存亡をかけ、全ての倫理規定を撤廃。国家研究計画『イザナミ計画』を発動した。ありとあらゆる分野に予算が下り、生物学、医学、そしてオカルト儀式に至るまで、なりふり構わずあらゆる手段を用いて「種の保存」の研究に着手した。それは、神話の再演に向けた、血塗られた人体実験の始まりだった。


そして、2090年に彼らは一つの真理に到達する。 それは、あまりにも冷徹で、あまりにも合理絶望的な「人間」の再定義だった。


『『(ソウル)』こそが人間の本質(OS)であり、肉体は単なる『(ハードウェア)』に過ぎない』


政府は、死者の肉体から魂のエネルギー『魂素』を抽出することに成功した。さらに、そこに刻まれた記憶や人格というノイズを化学的・呪術的に洗い流す技術――『漂白(ブリーチング)』を確立する。 真っ白になった魂を、人工的に培養された強力な卵子に定着させる。 「死者1人分の魂エネルギー」と「新生児1人」の等価交換。 これにより、魂の総量を減らすことなく、かつ増えることもない閉じた円環の中で、人類は「単性生殖」による種の保存を可能にしたのである。


2098年。この国の常識は根底から覆った。 日本国政府は、列島全土に『魂記録装置(ソウル・レコーダー)』と呼ばれる超巨大サーバー網を敷設した。これは、国民全員の魂データ(記憶・人格・精神状態)を、毎秒単位でクラウド上に常時バックアップし続けるシステムである。 なぜこのようなものが作成されたか。


研究の副産物として『蘇生』技術が確立したのだ。記録された通りに人体を再構築し、魂を注入することで死亡した人間を再構築するという革命的な技術。しかし、漂白された軽い魂とは異なり、長年生きて経験を積んだ人の魂(自我・記憶・などのスキル)は、データとしてあまりに「重く、複雑」になりすぎていた。

この巨大なデータを、魂記録装置(サーバー)からダウンロードし、新しい肉体(器)に定着させるには、通常の3倍以上の「点火エネルギー」が必要となることが判明した。 そのエネルギー源となるのは、やはり「魂」しかない。


「一人の自我を保ったまま蘇生させるには、三人の魂を抽出し、燃料として燃やし尽くさなければならない」


つまり、自分が助かるためには、他者3人の「生まれ変わる権利」すら奪い、完全に消滅させなければならないのだ。 このあまりに残酷な非等価交換を、人々は皮肉と畏怖を込めて『()()』と呼んだ。


この瞬間、「肉体の死」は「永遠の別れ」ではなくなった。単なる「データの通信途絶」であり、「ハードウェアの故障」に過ぎなくなったのだ。


しかし、無限の生は社会を停滞させる。 死なない人間たちで溢れかえれば、国は破綻し、魂が回らず新たな世代が育つ土壌は失われる。 まず、生贄蘇生は国の管理の元でしか行えないように非常に厳しい法整備が行われた。さらに国は、遺伝子工学を用い、国民の寿命を厳格にコントロールする「階級制度」を導入した。


一般市民(リソース・クラス)  2100年以降に日本国中央生産局で製造された少女たち。彼女たちは、国民の99.5%を占める「労働力」であり「資源」である。 彼女たちの遺伝子には時限式の自壊プログラムが組み込まれており、40歳を迎えると細胞のアポトーシス(自死)が加速し、緩やかに、しかし確実に機能停止するように調整されている。学園卒業後、彼女たちには寿命までに一度だけ使える「蘇生チケット」が与えられる。二度目の死は、永遠の消滅を意味する。


特権階級(エリート・クラス)  公的機関や重要産業、あるいは軍事的な才能を持つ、人口の上位0.5%。 彼女たちには、遺伝子の崩壊を遅らせる「遺伝子改良薬剤」が投与され、75歳までの生存が許可される。 さらに、功績に応じて複数回の蘇生権が与えられる。彼女たちは「選ばれた種」として、一般市民を管理・指導する役割を担う。


現国家首脳(ルーラー・クラス) 2078年に緊急招集された日本国における最高クラスの頭脳を持つ女性のみで構成されており、(2200年)に至るまでのシステムそのもの。 緊急時の指揮系統の混乱や、長期的な国家運営の断絶を防ぐため、彼女たちには無制限の蘇生処置が行われてれている。 老いれば若き肉体に乗り換え、病めば新品の肉体に取り替えられる。 彼女たちは、実質的な「不老不死」として君臨し、国の行く末を見据えている。


こうして、日本は、魂を燃料とし、肉体を消費材とし、寿命を管理される国家として完成した。 人々はこの歪んだシステムを受け入れた。なぜなら、それ以外に生き残る道がなかったからだ。


だが、この完璧に見えた管理社会には、たった一つだけ「抜け穴」があった。 それは、来るべき戦争のために用意された各学園への()()()()()()「生贄による蘇生」の許可という特例措置。 誰もが恐れ、誰もが忌避したそのシステムに、一人の天才少女が目をつけた時――このシステムの「安定」は終わりを告げ、鮮血と狂乱の戦争が幕を開けることになるのである。

またまたまた見に来てくれてありがとう!!

次回、過去編その2:死ぬのが怖くない兵隊さん です!

次回投稿予定時刻は2/8 10時です。

感想、ブクマ、評価などいただけると、更新のエネルギー(生贄コスト)になります! よろしくお願いします!

またね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ