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オトシゲ:乙女は資源になりました。~男性絶滅後のディストピアで、学園経営しちゃいます~  作者: 428の968
第一章:関東圏統一戦争

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19話:最後の一兵まで

【8日目: 栃木中央学園・第一会議室】


 生き残った5校の学園には、それぞれ帝国学園から「統治指導部」の使節団が派遣されていた。 ギリギリの5位で滑り込んだ栃木中央学園。 その生徒会長『栗原くるみ』は帝国学園の使節団と対面していた。彼女は昨日の最終局面で、大量の仲間を帝国に売りわたし、その対価として得たポイントで生き延びた。


「――以上が、貴校に課せられる『従属学園条約』の草案となります」


 帝国学園の使節団代表――黒いスーツに身を包んだ、事務的な口調の女生徒が、分厚いファイルを机に置いた。 くるみは、震える手でそれを開いた。 そして、数ページめくったところで、顔を真っ赤にして立ち上がった。


「ふ、ふざけないでッ!!」


 くるみがファイルを床に叩きつける。


「なによこれ……! 『新入生50%の年次献上』!?『生徒会予算の全額没収』!?それに……『生徒会役員の全権剥奪と、帝国学園弁務官による直接統治』!?」


 条約の内容は、独立など名ばかりの、完全なる「植民地化」だった。 特に『生徒(スチューデント)(タックス)』と記された項目は、毎年配給される新入生の半数を、教育もせずにそのまま帝国へ「資源」として引き渡せという、悪魔の契約だった。


「私たちは勝ったのよ!?5位に入ったの!『自治権を認める』って約束だったじゃない!!」


 くるみが叫ぶ。 彼女は、沢山の仲間たちを売ってまでこの地位を守ったのだ。それが、権限を奪われ、ただ帝国の手先として新入生を右から左へ流すだけの「中間管理職」に落とされるなど、認められるはずがない。


「修正を要求するわ!こんなの奴隷契約よ!認められない、絶対に!!」 「……」


 帝国の代表は、表情一つ変えずにくるみを見つめている。 くるみは、その沈黙を「交渉の余地あり」と勘違いし、さらに声を荒らげた。


「もしこの条件を撤回しないなら、私たちは徹底抗戦も辞さないわ!まだ戦力は残っている!ここを要塞化して、最後の一兵まで戦ってみせる!!それでもいいの!?」


 それは、ただの虚勢だった。もはや戦う力などない。だが、舐められてはいけないというプライドが、彼女に致命的な一言を言わせてしまった。


 帝国の代表が、ふぅ、と小さく溜息をついた。


「『最後の一兵まで戦う』……ですか。ふむ、仕方ありませんね」


 彼女は、まるでランチのメニューを諦めるような軽さで言った。


「貴校に、恭順の意思なし……と。我々に勝てるわけもないのに、現実が見えないとは。非常に残念です」


「え……?」


 代表の女生徒が、制服のジャケットをバッと開いた。その身体には、プラスチック爆薬と無数の鉄球が詰め込まれた『自爆ベスト』が、隙間なく巻き付けられていた。


「なッ――」


「それでは、ごきげんよう」


 カチッ。


 ドォォォォォォォォンッ!!!!


 閃光と轟音が、会議室を吹き飛ばした。爆風と共に、無数の鉄球が散弾となって部屋中を暴れまわる。「徹底抗戦」を叫んだくるみの身体は、言葉通り粉々に砕け散り、同席していた副会長や書記たちも、肉片となって壁にへばりついた。


「か、会長ッ!? うわぁぁぁッ!!」


 廊下に待機していた栃木中央の生徒たちが、黒煙を上げる会議室になだれ込む。  そこは、地獄絵図だった。  部屋の壁は真紅に染まり、どの肉片が誰の物かなど判別すらできない。


「そ、蘇生!早く!! 蘇生室へ!!」 「急げ!!」


 生き残った生徒たちが、廊下を走る。彼女たちにはまだ希望があった。この世界には蘇生がある。たとえ爆死したとしても、蘇生すれば生き返る。そう、信じていた。


 【 WARNING : SPACE DISTORTION DETECTED 】


 その希望を嘲笑うように、学園上空の空間が割れた。


「ひっ……!?」


 転移ゲートから現れたのは、 重武装した『東京帝国学園・遠征軍装甲機動歩兵部隊』だった。  空から降下したパワードスーツ部隊が、真っ先に着地したのは――彼女たちが目指していた『蘇生室』の前だった。


「目標確認。蘇生施設、および指導部会議室」


 ウィィン。  パワードスーツの肩に装備されたロケット砲が、無慈悲に火を噴く。


 ズドォォォォンッ!!


「あ……」


 蘇生ホールが、爆炎に包まれ崩落していく。  それは、会長たちを生き返らせる唯一の道を断たれた瞬間だった。


「そ、そんな……蘇生機が……」 「これじゃ、会長が……」


 呆然と立ち尽くす生徒たちに向け、帝国学園の指揮官が冷酷に告げる。


「反抗する者には『死』を。二度と目覚めぬ、永遠の死を」


 そこからは、「戦争」ですらなかった。  「見せしめ」のための、一方的な掃討戦。  指揮系統を失い、蘇生の希望も絶たれた栃木中央の生徒たちは、逃げ惑うことしかできない。  帝国学園の兵士たちは、それを楽しむよう追い回し狩っていく。


 「5位」という順位は、生存を保証するものではない。  それは単に、「帝国学園に逆らえばどうなるか」を他の学園に見せつけるための、生贄の順番でしかなかったのだ。

また見に来てくれてありがとう!!

次回、20話:命の価値 です!

次回投稿予定時刻は2/7 11時です。

感想、ブクマ、評価などいただけると、更新のエネルギー(生贄コスト)になります! よろしくお願いします!

またね!

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