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オトシゲ:乙女は資源になりました。~男性絶滅後のディストピアで、学園経営しちゃいます~  作者: 428の968
第一章:関東圏統一戦争

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17話:帝国の胃袋

【東京帝国学園 地下第4区画・第一資源加工プラント】


「――素晴らしい。実に、素晴らしい眺めですね」


 労働長・五十嵐結衣は、強化ガラス張りの司令室から、眼下に広がる巨大な工場を見下ろして、うっとりと溜息をついた。 ここはかつては地下体育館だった場所だ。しかし今、そこにスポーツを楽しむ少女たちの姿はない。  あるのは、整然と並べられた「在庫」の山と、稼働音を唸らせる巨大な装置だけだった。


「ひっ、うぅ……(嫌だ、次は私の番……?)」 「んんーっ! んぐぅッ!!(助けて! 誰か助けて!!)」


 広大なフロアには、天井近くまで届く巨大な自動倉庫のようなラックが何列も並んでいる。その棚の一つ一つに収納されているのは、ダンボール箱などではない。各学園からトラックで回収され、金属フレームに大の字で固定されたままの数万人の「生贄」たちだ。


 千葉、神奈川、茨城……。  生き残りを賭けて他校を襲撃し、あるいは自校の生徒を売った「忠誠」の証たちが、物言わぬ資源として、出荷の時を待っていた。彼女たちは身動き一つ取れず、猿轡を噛まされたまま、ただ目の前で行われる「加工工程」を涙を流して見つめることしかできない。


「あはははは! 見てよ結衣! この圧倒的な処理速度! カタログスペック以上だわ!!」


 結衣の横で、研究開発長・氷室アヤメが、狂喜乱舞しながらコンソールパネルを叩いている。彼女の視線の先には、国営の軍需産業メーカーから納品されたばかりの、巨大な装置が鎮座していた。


 【新型多重並列型・魂抽出プラント『ソウル・イーター Mk-V』】


 それは、まるで市民プールのようになみなみとピンク色の溶解液を湛えた、巨大な長方形の水槽だった。ただし、遊泳用ではない。 天井のクレーンが、在庫ラックから「1ブロック(100人)」分の少女達を吊り上げる。


 ウィィィン……ガシャン。


「あ……んぐっ……?」


 吊り上げられたのは、とある工業高校の生徒たち、100名。 フレームごと連結された彼女たちは、空中で足をバタつかせ、恐怖に目を見開く。その真下には、怪しく発光する液体が待ち受けている。


「投入、開始っ!!」


 アヤメが愉悦に歪んだ顔でレバーを倒す。


 ズプゥゥゥン……!!


「「「――ッ!?!?!?」」」


 100人の少女たちが、一斉に液体の中へと沈められた。 水飛沫は上がらない。粘度の高い特殊溶液が、彼女たちの制服を、皮膚を、そして魂を、瞬時に包み込む。


「ん――ッ!! んぐ、ぐ、ギィィィィィィ――ッ!!!」


 液面が激しく波打つ。 水中マイクが拾った絶叫が、司令室のスピーカーからノイズ交じりに響く。 熱いのではない。痛いのでもない。 魂を、自我を、生命エネルギーそのものを、毛穴の一つ一つから無理やり引き剥がされる、根源的な喪失感。


 ボコッ、ボコボコッ……。


 数秒後、液面から無数の泡が浮かび上がる。それは彼女たちの「最後の呼吸」であり、人間としての終わりの合図だった。  水槽に接続された太いパイプの中を、抽出された純粋な青白いエネルギーが猛烈な勢いで駆け巡り、貯蔵タンクへと吸い込まれていく。


 【抽出完了。 サイクルタイム:58秒】  【生成:エネルギーパック × 300本】


 ウィィィン……。 クレーンが再び上昇する。 そこには、先ほどまで泣き叫んでいた少女たちの成れの果て――白目を剥き、口をだらしなく開け、人形のようにぐったりと垂れ下がった100体の「廃人」がぶら下がっていた。


「すっごぉぉぉい!!見てこの数値!従来の3倍の抽出量よ!!」


 アヤメが画面を指差して叫ぶ。


「今までの『Mk-II』なんて、一人ずつ処理してて日が暮れちゃうあくびが出る代物だったけど、こいつは違う! 旧型の5倍の収容容積!そしてこの処理効率!これ一台で、同時に100名の『一括加工』が可能なんて、夢みたいじゃない!?」


「ええ、本当に。会長に予算をねだった甲斐がありましたね」


 結衣も満足そうに頷き、電卓を叩く。


「従来機だと、1人あたりの処理に5分。一日フル稼働しても1000人が限界でした。ですが、この『Mk-V』なら1セット約1分。最高効率で稼働させれば、一時間で約6000人の処理が可能……。まさに革命です」


「でしょでしょ!?これなら『鮮度』が落ちる前にパパッと加工できちゃうし、無駄な費用(餌代)もかからない! 急いで納品してくれた国営メーカーの開発部に感謝状を送らなきゃね!」


 アヤメは興奮冷めやらぬ様子で、次々とタッチパネルを操作する。


「はい次! 次のロット、入って入って〜!」


 工場では、自動制御されたクレーンが休むことなく動き続ける。 ラックから恐怖に震える100人が降ろされ、廃人となった100人が第二加工エリアへと運ばれ、そしてまた新たな100人が吊り上げられる。


んんーっ! (やだ、やだぁっ!)」 「あがっ、んぐぅぅぅ……ッ(まだ死にたくない…助けてっ)


 順番待ちをしている数万人の生徒たちは、目の前で少女たちが「ジュース」のように搾り取られていく光景を、特等席で見せられ続けられる。 自分の番が来るまでのカウントダウン。 フレームに固定されているため、耳を塞ぐことも、目を逸らすことも許されない。 恐怖で失禁し、床に水たまりを作っても、機械のアームは無慈悲に彼女たちを纏めて掴み、プールへと運んでいく。


「それにしても……」


 結衣は、タブレットに表示された『入荷予定リスト』を見ながら、冷酷な笑みを深めた。


「埼玉第四学園からの『大口納品』……6,000体でしたか。これだけの処理能力があれば、到着してすぐに『パック』に詰められそうですね」


「あはっ! そりゃいいや! ど田舎から出てきた埼玉の子たちも喜ぶよ! 『狭いトラックから解放されて、すぐに広いプールに入れるなんて、東京の学園はなんて優しいんだろう!』ってね!」


 アヤメがケラケラと笑いながら、新たなスイッチを押す。 ズプゥゥゥン……。また100人の少女達が、ピンク色の液体の中に消え、青白い光へと変わった。


「ええ。彼女たちの『魂』は、帝国の新しい兵器となり、資金となり、そして私たちの豊かな生活の糧となるのです。……資源として消費されることこそが、彼女たちに与えられた唯一の存在意義なのですから」


 地下プラントに響くのは、機械の駆動音と、液体が跳ねる音。 そして、数万人の少女たちの、声にならない絶望の合唱だった。

またまたまた見に来てくれてありがとう!!

次回、18話: 結果発表です!

次回投稿予定時刻は2/7 6時です。

感想、ブクマ、評価などいただけると、更新のエネルギー(生贄コスト)になります! よろしくお願いします!

またね!

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