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オトシゲ:乙女は資源になりました。~男性絶滅後のディストピアで、学園経営しちゃいます~  作者: 428の968
第一章:関東圏統一戦争

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15話:中間発表

【4日目:中間発表 埼玉第四学園・生徒会室】


 開始から4日目。  重苦しい沈黙が支配する生徒会室で、美里たち役員は、メインモニターに映し出された映像を呆然と見上げていた。


『やっほ〜! 奴隷候補のみんな、息してるぅ〜? 帝国学園宣伝長の夢咲 ららだよっ☆』


 画面の中では、極彩色のステージでららが可愛らしくウィンクをしている。  だが、その横に表示された『中間ランキングボード』の数字は、美里の思考を停止させるのに十分な破壊力を持っていた。


【 忠誠度ランキング 中間発表 】


 1位:神奈川海洋学園 ―― 321,600 pt  

 2位:千葉第一学園  ―― 283,300 pt  

 3位:北関東実業高校 ―― 152,600 pt  

 ……  

 26位:埼玉第四学園  ―― 31,500 pt


「な……なんで……?」


 美里の声が裏返る。  初日に稼いだ25,000ポイントに加え、成績不振、素行不良の生徒を捕まえて追加した。決して低い数字ではないはずだ。なのに、なぜ最下位に近い順位なのか。  桁が違う。上位校のポイントは、異常だ。


『いやぁ〜、上位の学校はすごいねっ! 特に1位の神奈川海洋さん! お隣の学園の学生寮を夜襲して、寝ていた生徒を3,000人も拉致して出荷するとか、大胆すぎ〜っ! まさに帝国学園の理念を体現した行動だね!』


 ららが楽しそうに解説する。  画面には、パジャマ姿のまま縛り上げられ、マグロのようにトラックに山積みにされた数千人の少女たちの映像が流れる。


『対してぇ……下位の学校のみんなぁ? ちょっと消極的すぎない? 「迷い込んだ子を捕まえました」程度の小遣い稼ぎじゃ、このゲームじゃ勝てないよぉ?』


 ららの冷たい視線が、画面越しに美里を射抜く。


『このままだとぉ、下位25校は問答無用で【廃棄処分】! 生徒会役員の先輩たちは、拷問練習場の検体行きだねっ! 残り3日、死ぬ気で頑張ってねバイバ〜イ!』


 プツン。通信が切れる。  後に残されたのは、絶望的な静寂だけ。


「3……32万ポイント……?」


 副会長がガタガタと震えながら呟く。  一般生徒1人が100ポイント。つまり、3,000人以上を「狩った」ということだ。  美里は爪を噛んだ。見誤っていた。これは、質の高い捕虜を献上する品評会ではない。ただの「数」の暴力。なりふり構わず、どれだけ多くの魂を資源として積み上げるかという、大量虐殺の競争だったのだ。


「む、無理よ……」  会計の生徒が泣き崩れる。 「私たちの学校には、他校を襲撃できるような軍事力なんてない……! 防衛用の部隊しかいないのに、どうやって他所の学校を攻めるのよ!?」 「そうよ……今から外に出たって、武装した他校に留守を狙われるだけだわ……」


 詰んでいる。  誰もがそう思った時、美里の視線が、ふと机の上に置かれた『今年度・新入生名簿』に吸い寄せられた。


 ――埼玉第四学園 第1学年(12歳)。  ――在籍数:2,000名。


 美里の瞳から、理性の光が急速に失われていく。  彼女はゆっくりと顔を上げ、震える唇で、悪魔の提案を口にした。


「……いるじゃない」 「え?」 「いるじゃない……ここに。無防備で、武器も持っていなくて、私たちを疑うこともない『資源』が……2,000個も」


 役員全員の視線が、美里に集中する。  彼女が何を言おうとしているのか、全員が瞬時に理解し、そして誰も否定しなかった。  自分たちがプレス機で潰されるか。それとも、昨日入学してきたばかりの後輩を差し出すか。天秤は、一瞬で傾いた。


「……やりましょう。これは、学園を守るための苦渋の決断よ」


 美里は即座に、具体的な『処理』の工程を頭の中で組み立て始めた。  他校を襲う戦力はないが、学園内のインフラなら自分たちの支配下にある。講堂に集め、ガスで眠らせ、一気に梱包する。  計画を口にするたび、美里の声からは人間的な迷いが消え、代わりに冷徹な計算が支配していく。


 だが、詳細を詰めようと電卓を叩いた瞬間、美里の指が止まった。


「……足りない。20万ポイントじゃ、全然足りないわ!!」


 生徒会長・高崎美里の絶叫が、密室に響き渡った。  先ほどまでの「1年生2,000人を差し出す」という決断に対し、最初は震えていた役員たちも、今は美里と同じ狂気に取り憑かれた目をしている。


 ランキング1位の神奈川海洋学園は、すでに32万ポイント。  もし、埼玉第四が1年生2,000人を「出荷」して20万ポイントを得たとしても、合計は約23万ポイント。今の1位にすら届かない。


「残り3日もあるのよ!? 他の学校だって必死に狩りをするはずだわ。23万ポイントなんて、すぐに抜かされて、また『廃棄ライン』に逆戻りよ!」 「じゃあ、どうすれば……!? 私たちには、他校を襲う戦力なんて……」


 美里は、血走った目で学籍簿を鷲掴みにした。  ページを捲る。1年生の次にあるページ。そして、その次。


「……いるでしょう? まだ」


 美里の指が、震えながらも力強く紙面を叩く。


 ――2学年(13歳):2,000名  ――3学年(14歳):2,000名


「1、2、3年生……『初等部』の全員を合わせれば、6,000人。ポイント換算で、60万ポイント……!」


「ろ、60万……ッ!?」


 その数字が出た瞬間、役員たちの喉がゴクリと鳴った。  60万ポイント。それは現在1位の神奈川海洋学園の倍近いスコアだ。これだけリードがあれば、残り3日間、逃げ切れる。絶対に「安全圏」に行ける。


「でも、会長……3年生まで含めるとなると、全校生徒の三分の一も……」 「三分の一『しか』いない、と言いなさい!!」


 美里は机をバンと叩き、立ち上がった。


「私たち中、高学年が生き残るためには、これしかないの! 『下級生』はまた来年、国から配給されるわ。でも、私たちの命は一つしかないのよ!? 学園を守るための、名誉の損切りよ!!」


 その論理は破綻していた。だが、極限状態の彼女たちにとって、それは蜘蛛の糸よりも太い「正義」に見えた。  誰も反対しなかった。  自分たちがプレス機でミンチになる未来より、可愛い後輩たちをトラックに詰め込む罪悪感の方が、遥かにマシだったからだ。


「……やりましょう。全下級生6,000名を講堂へ。理由は何とでもつけて。……急いで!!」

またまたまた見に来てくれてありがとう!!

次回、16話:緊急避難訓練 です!

次回投稿予定時刻は2/6 21時です。

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またね!

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