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オトシゲ:乙女は資源になりました。~男性絶滅後のディストピアで、学園経営しちゃいます~  作者: 428の968
第一章:関東圏統一戦争

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13話:椅子取りゲーム

【 同盟加盟校・埼玉第4学園 第一転移ロビー 時刻:開戦から1時間経過 】


シュゥゥゥ……。  転移ゲート特有のオゾン臭と、焦げ付いた肉の匂いが混じり合う。  光の粒子と共に、ボロボロになった数十名の少女たちがロビーの大理石の床に投げ出された。


「はぁ、はぁ……っ! み、みんな、生きてる!?」


 武蔵野庭園学園・第一副会長のカエデは、煤すすけた顔を上げ、周囲を確認した。 沢山の犠牲を払い、制服は破れ、血を流している者も多いが、なんとかここまで逃げ延びた。ここは同盟校である「埼玉第4学園」。昨年の文化祭で交流した、穏やかな校風の学園だ。


「副会長……。こ、ここは……?」 「大丈夫、埼玉第4よ。ここなら、治療カプセルも借りられるし、すぐに反撃の準備を――」


 カエデが安堵の息を吐きかけた、その時。


 ブォン。  背後の巨大なゲートが、不吉な重低音と共に真紅に染まった。


【 WARNING : GATE LOCKDOWN 】


『警告。警告。学園合併戦争法に基づき、[宣戦布告]から1時間が経過しました』 『これより[戦争状態]の学園にあるワープゲートを全て閉鎖。以後、[戦争終了]まで、移動はできません』


 無機質な機械音声が、逃げ道を物理的に断ち切る音と共に響く。  だが、カエデはまだ希望を捨てていなかった。逃げ場がなくても、ここには仲間がいる。


「だ、大丈夫よ。埼玉第4の生徒会長に掛け合って亡命役員会を作らせてもらえれば……」


 その時、学園中のモニター、そして生徒たちのスマホが一斉に震えた。  画面に現れたのは、毒々しいほどポップな色彩と、帝国のアイドル・夢咲らら。


『ぴんぽんぱんぽーん!――学園同盟の皆様、ごきげんよぉ♡ まだ息してる〜?』


 狂った明るさが、静まり返ったロビーに反響する。


埼玉学園のモニターがジャックされ、帝国学園宣伝長・夢咲ららが満面の笑みで現れる。


『はーい注目! これより同盟校のみんなには、『帝国忠誠ポイント』を賭けた、楽しい楽しい椅子取りランキング戦に参加してもらいま〜す!』


「な、なによそれ……」


『ルールは簡単! 沢山生徒を捕まえて、帝国の回収班に引き渡すだけ!  獲得したポイントは学園ごとに集計されま〜す。そして、最終的にポイントが高かった「上位5校」だけ、【従属統治】ってことになります!』


 【勝者:従属統治】  現在の生徒会執行部の存続を許可。 校名および校風の維持を許可。 ただし、帝国の管理下で納税義務を負う。


「じ、従属……? 生徒会が残れるの……?」  埼玉第4学園の生徒たちがざわめく。それは、完全な自由ではないが、今の生活を守れる唯一の希望の蜘蛛の糸だ。


『で・す・が! 6位以下の負け犬学園は、ぜーんぶ【隷属統治】となりま〜す! こっちの待遇はねぇ……』


 画面が赤黒く切り替わり、冷酷な区分表が表示された。


 【敗者:隷属統治】   学園の即時解体および全生徒の所有権を帝国へ譲渡。  


  7〜9学年生(高学年): 「自我が確立しており抵抗力が高く反乱のリスク大」と判定。即時処分(生贄処理)

  4〜6学年生(中学年): 「自我はあるが利用可能」と判定。隷属チョーカー装着後、奴隷歩兵(捨て駒)として前線へ投入。  

   1〜3学年生(低学年): 「未成熟で有望」と判定。記憶処理および教育(洗脳)を施し、帝国の新たな(道具)として育成。


「ひっ……!」 「こ、高学年は……即時処分……?」


 ロビーにいた埼玉第4学園の上級生たちが、顔面蒼白で震えだす。  負ければ死ぬ。それも、確実に。  5,6年生たちも、自我を奪われ死ぬまで戦わされる帝国学園の奴隷兵を想像し、ガチガチと歯を鳴らした。


『怖いよね〜? 死にたくないよね〜?  だったら稼ごう! ポイント配分はこちら!!』


 【 Point Table 】   一般生徒: 1名につき 100 pt  指名手配個体: 500 pt 〜


『指名手配リストはこちら!!なんと一人で500ポイントの大当たり! 一般生徒5人分の価値! この子たちを納品すれば、上位5校入りも夢じゃないかも!?』


 リストにはゲートから脱出した武蔵野庭園学園の生徒達の名前と顔がずらりと書いてある。


 【 武蔵野庭園学園・第一副会長 : カエデ(1,000 pt) 】


 カエデは息を呑んだ。  周囲の空気が、一瞬で変わったからだ。  特に、埼玉の生徒会役員たち――9学年生の上級生たちの目が、異様にぎらついていた。彼女たちは「負ければ即廃棄」される世代だ。生き残るためには、何としてでもポイントを稼がなければならない。


「……カエデちゃん」


 埼玉第三学園の生徒会長補佐・ミヤコが、ゆらりと一歩踏み出した。  彼女は9学年生。負ければ「生贄」の身だ。


「ごめんね。私、死にたくないの。……まだ恋もしてないのに、リサイクルなんてされたくないのよッ!!」


 ミヤコが叫ぶと同時に、周囲の埼玉生徒たちが一斉に飛び掛かる。


「一人500点だ! かき集めろ!」「一般の5倍だぞ! 逃がすな!!」 「あいつは1,000点よ!!」


 それはもう、戦争ではなかった。  生存を賭けた、なりふり構わぬ「ポイント争奪戦」だった。


「ひっ、いやぁぁぁ!!」 「離して! 昨日まで仲間だったじゃない!!」


 武蔵野の生徒たちが悲鳴を上げる。  だが、襲いかかる埼玉第三学園の生徒たちの耳には届かない。  彼女たちの目には、すでにかつての同盟校が「人間」には見えていないのだ。


「捕まえたッ!!」 「副会長の四肢を押さえて! 1,000点は絶対に確保しなきゃ!!」


 数人の生徒にのしかかられ、カエデは床に押さえつけられた。  冷たい床の感触と、友人の温かい手の感触。  ミヤコが涙を流しながら、けれど力強くカエデの手首を縛り上げる。


「ううっ……ごめん、ごめんね……でも、あんたが1,000点なのが悪いのよ……!」


 カエデは見上げた。  スクリーンに映る指名手配者の写真につけられた「1,000 pt」という輝くタグを。  それが自分の命の値段であり、友人を修羅に変えた呪いの数字だった。


(ああ……帝国は、私たちの心まで壊して、遊んでいるんだ……)


 絶望の中、カエデは抵抗をやめた。  ロビーは阿鼻叫喚の地獄と化し、その光景を、モニターの向こうで夢咲ららがゲラゲラと笑って見ていた

またまたまた見に来てくれてありがとう!!

ごめんよ!筆が乗りすぎて予約投稿忘れてた!!

次回、14話:勝者の椅子 です!

次回投稿予定時刻は2/6 11時です。

感想、ブクマ、評価などいただけると、更新のエネルギー(生贄コスト)になります! よろしくお願いします!

またね!

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