プロローグ:少女配属式
初投稿です!!
私!かわいい女の子を沢山可哀想にするから!!だから!!信じて!!読んでください!!
【西暦2200年 4月1日 東京帝国学園 大講堂】
桜の花びらではなく、無機質なホログラムの国旗が舞う巨大な講堂。 立ち並ぶのは、基礎培養課程を終えたばかりの2,000名の新入生たちだ。
咳払い一つ聞こえない。衣擦れの音すらない。全員が12歳。まだあどけなさが残るはずの年齢だが、その瞳は凍りついたように動かない。
彼女たちに「親」という概念はない。あるのは名前と日本国民番号と、そして日本国の『資産』という冷徹なタグだけ。 誰もが顔面を蒼白にし、今にも押し潰されそうなプレッシャーに耐えている。 ここは関東最強の大学園、東京帝国学園。 一歩間違えれば「廃棄処分」が待っている、断崖絶壁の頂だ。
「ーー新入生の諸君。入学おめでとう」
マイクを通さずとも、講堂の空気を震わせる凛とした声。 生徒会長・神楽坂玲緒奈が一歩前へ出る。 その圧倒的な美貌と、全身から発せられる「支配者」としてのオーラ。彼女が動くだけで、2,000人の視線が吸い寄せられる。
「君たちは今日、選ばれた。外の世界を見なさい。弱小な学園の生徒たちは、明日の生存に怯え、一度の『死』で永遠に消滅する恐怖に震えている。……けれど、君たちは違う」
玲緒奈は、慈母のように優しく、けれど絶対的な自信を持って両手を広げた。
「我が校には、国から購入した最先端の『蘇生プラント』がある。 ここでは、死は終わりではない。ただの『休息』。君たちは何度でもやり直せる。何度でも挑戦できる。……そう、君たちは今日、『永遠の命』を手に入れたの」
ざわ……と会場が揺れる。 永遠の命。それは、死の恐怖に怯える人類にとって、最も甘美な麻薬だ。 玲緒奈は、その陶酔を見逃さず、甘く囁いた。
「だから、対価を払いなさい。 この楽園を守るための『忠誠』を。私たちが他学園を支配し、搾取するのは君たちの『幸せ』を守るためなのだから」
その論理は、狂っていた。自分たちが幸せになるために、他者を地獄に落とすことを肯定する。それが、帝国学園の正義。
「それでは、これより『適性配属』を行う。配属先を確認した者は、式典終了後即座に指定されたゲートへ移動せよ」
第一副会長・西園寺 椿が冷ややかに告げると、講堂の空中スクリーンに次々と名前と配属先が表示され始めた。
『文系・軍部強襲科』 600名のIDが表示される。彼女たちは、最前線の「歩兵」だ。使い潰され、何度も死に、何度も蘇生され、そのたびに魂をすり減らす消耗品。
『理系・工学整備科』 続いて800名。彼女たちは学園の心臓部である地下プラントや兵器工場へ送られる。転移門や兵器のメンテナンスに9年の学園生活を捧げる労働力となるのだ。
淡々と進む事務的な振り分け。 だが、スクリーンにIDが表示されなかった残り100名の生徒たちが、不安そうに顔を見合わせ始めた頃――。
「――そこまで」
凛とした声が、流れ作業を断ち切った。 生徒会長・神楽坂玲緒奈が、ゆっくりとステージの中央へ歩み出る。 その顔には、先ほどまでの事務的な表情とは違う、蕩けるような笑みと、底知れぬ狂気が浮かんでいた。
「名前を呼ばれなかった100名。……前へ」
ザッ、ザッ……。 静まり返った講堂に、選ばれた100人の足音だけが響く。 彼女たちは最前列に整列させられた。震える背中。何が起こるのか分からない恐怖。 玲緒奈は、そんな彼女たちを熱っぽい瞳で見つめ、両手を広げた。
「おめでとう。 君たちは、ただの兵士ではない。ただの技術者でもない。 私の……そしてこの帝国学園の、最も愛すべき『突撃隊』に選ばれたのよ」
「と、突撃……?」
最前列の少女が呟く。 その瞬間、ステージの袖から、キャッキャという場違いに明るい笑い声が弾けた。
「わぁ〜い! 新しい妹だぁ!」 「ねえねえ、どの子? 私のパートナーはどの子!?」
飛び出してきたのは、少し大きめの黒い軍服風スーツを着崩し、短機関銃を肩に掛けた小柄な2、3年生たち。 学園最強にして最狂、『メーテル突撃隊』の隊員たちだ。 彼女たちは、整列した100人の新入生に雪崩れ込むと、まるでバーゲンセールの商品を奪い合うように、次々と新入生の手を掴んだ。
「み〜つけたっ! 君、すっごく可愛い!」 「え、あ、あの……?」 「君はボクとペアだよ! 今日からボクと一緒! お風呂も寝るのも、『自爆』するのも、ずーっと一緒だよ!」
「じ……自爆……?」
不穏な単語に、新入生が顔を引きつらせる。 だが、先輩である突撃隊員は、満面の笑みでその細い腕を強引に引っ張った。
「行くよ! 玲緒奈様のために死ぬ方法、たーっぷり教えてあげるから!」 「ちょ、待って、痛い、痛いです先輩!」
抵抗など許されない。 100人の選ばれし少女たちは、泣き叫ぶ間もなく、無邪気な先輩たちによって次々と講堂の出口へと引きずられていく。
「いってらっしゃい。私の愛娘たち」
玲緒奈は、連れ去られる少女たちの背中に向かって、優雅に手を振った。
「たくさん壊れて、たくさん直して……最高に『純粋』な兵器になって帰ってきてちょうだいね」
残された1,900人の一般生徒たちは、ただ呆然とそれを見送ることしかできなかった。 その光景が、これからの学園生活で待っている「常識外れの狂気」の、ほんの一欠片に過ぎないことを、彼女たちはまだ知らない。
「――以上だ。解散」
玲緒奈の短い号令と共に、記念すべき2200年度の入学式は終了した。 それは同時に、彼女たちの人間としての短い期間が終わり、東京帝国学園の構成部品としての稼働が始まった瞬間だった。
初めまして、作者です。 「可愛い女の子×軍服×ディストピア&可哀想はかわいい」……この組み合わせが見たくて、でも気に入る作品がなくて、勢いのままに書き始めました!
初投稿なので至らない点もあるかと思いますが、この歪んだ世界で少女たちがどう生き(壊れ)ていくのか、最後まで見届けていただけると嬉しいです。
感想、ブクマ、評価などいただけると、更新のエネルギー(生贄コスト)になります! よろしくお願いします!
次回は、一話:捕食者たちのお茶会 です!!また来てね!




