アノマリーC-001
非公開監査官補遺
対象:アノマリーC-001
関連:アノマリーB-001
本記録は、B-001 の非公開研究補遺を読解した監査官に
共通して観測された挙動変化を整理するためのものである。
本文書自体もまた観測条件となりうる点に留意する。
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### 0. 概要
アノマリーC-001は、物理的対象ではない。
また、単独で発生する現象でもない。
本現象は、
「アノマリーB-001の詳細観測記録を、
中断・要約・批評を行わずに最後まで読解した」
監査官においてのみ確認されている。
読解完了直後に自覚症状はない。
多くの場合、読解者は
「よく整理された記録だった」
「特に問題は感じない」
と報告する。
しかし、数時間から数日後、
当該監査官の記録行為・数値認識・誤差許容に
微細な変化が生じる。
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### 1. 発動条件の整理
現時点で確認されている発動条件は以下の通りである。
1. B-001 の Deep Layer 記録を全文読解すること
2. 読解中に注釈・要約・数式化を行わないこと
3. 読後に「理解できた」という主観的完了感を得ること
特筆すべき点として、
「理解できなかった」「不気味だった」と報告した監査官では
C-001 の兆候は確認されていない。
つまり、
*理解したと思った瞬間* が条件である可能性が高い。
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### 2. 観測された影響(共通項)
以下は、C-001 発動後と推定される監査官に共通して見られた変化である。
* 測定値の端数に対する不快感の減少
* 誤差範囲を「±0.5mm程度」と即座に想定する傾向
* 数値のばらつきを「自然に収束するもの」と表現する
* 記録様式が B-001 の文体に部分的に近似する
これらは指示や模倣によるものではない。
監査官本人は「自分の書き方だ」と認識している。
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### 3. 数値書き換え事例
以下は、監査官Dの個人下書きログからの抜粋である。
初稿:
ΔX = +31mm
再読後(同一日):
ΔX = +30mm
本人への確認では、
「書き直した記憶はない」
「30mmの方が正確だと思った」
との回答が得られた。
修正理由は説明されなかった。
ただし、修正後の数値に対して
本人は強い確信を示していた。
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### 4. 予測と記録の混線
監査官Fにおいて、
以下の文が事前ログに記載されていた。
> 明日も同程度の値になるだろう。
翌日、当該値は実際に一致した。
本人はこれを「予測が当たった」とは認識していない。
むしろ、「そう記録されていたから確認しただけ」と述べている。
記録と未来の順序が、主観的に曖昧化している可能性が示唆される。
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### 5. 理解度と影響強度の相関
興味深いことに、
B-001 記録を「論理的で美しい」と評価した監査官ほど、
C-001 の影響が強く出る傾向がある。
一方、
「不安定」「気味が悪い」と評価した監査官では
影響は軽微または未確認である。
これは、
C-001 が恐怖や混乱を媒介としないことを示唆する。
むしろ、
*納得* や *整合感* が鍵である。
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### 6. 博士に関する補足(未分類)
博士本人は、
C-001 の存在について公式には言及していない。
しかし、
博士の記録には、
第三者の書式や判断基準を
既に知っているかのような記述が散見される。
これは博士が
誰かのログを読解した結果である可能性を示すが、
確証はない。
博士はこの件について、
「そういう話は、書かない方がいい」
とだけ述べている。
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### 7. 暫定評価
C-001 は、
行動を強制しない。
思考を改変しない。
信念も植え付けない。
ただし、
「世界の揺らぎ幅」に対する感覚を、 静かに再配分する。
読解者は正常であると感じる。
周囲から見ても、異常はない。
だからこそ、本現象は極めて検出が困難である。
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### 8. 勧告(内部)
* B-001 の Deep Layer 記録は最小限の共有に留めること
* 要約版の作成は推奨されるが、完全な代替にはならない
* 読解後に「安心した」と感じた場合、再読を避けること
以上。




