第二話 元英雄、冒険者になる
ー特殊能力ー
それは魂に刻まれた能力のこと。
魂とは、その肉体に宿る意思のこと。
例えば、料理の才能を持ったAさんが亡くなり、Bさんとして生まれ変わった。
肉体や記憶はBさんのものだが、Aさんの魂が宿っているため、
Aさんの料理の才能をBさんは扱うことが出来る。
このように、別人として生まれ変わったり記憶を失ったとしても
刻まれた能力はいつまでも魂に残り続き、自身に憑依している場合、自分のものとして扱うことが出来る。
ただし、扱うには相応の基礎能力が必要。
リュウの場合、魔王を倒したことが魂に刻まれ、
水晶が魂に反応したのである。
(なんで前世のことを知っているの?)
俺が困惑していると、
「リュウ、適正職業は何だった?」
メアが興味津々で聞いてきた。
「俺は...剣士だったよ」
俺はとっさに勇者とあまり変わらない...はずの剣士だったと嘘をついた。
「そういえば昔から木の棒の振り早かったよね。」
メアは納得してくれた。
前世で剣道をやっててよかったと思った。
「そういうメアはどうなんだよ」
俺がそう言うとメアは手紙を見せてくれた。
ー診断結果通知書ー
本日行われた職業診断において以下の結果に至りましたことをご報告いたします。
名前 メア・ウィザール
適正職業 魔法使い
適正理由 ・魔力の数値が常人より多いため
・闇属性との相性が良好なため
ーーーーーーーーー
「...俺に魔法放ったりしないよね?」
「流石に人に向けて魔法は放たないよ。」
闇魔法は相手を恐怖に陥れたり幻覚を見せることが出来る魔法であるため、
いたずらとして使う人も少なからずいる。
メアが優しい性格で良かった...。
ー翌日ー
冒険者になるには、王都にある総合ギルドか一部の町にある冒険者ギルドに登録する必要がある。
そのため、俺とメアは王都にある総合ギルドに向かった。
総合ギルドとは複数のギルドの本部が一か所に集まった施設で、主に
・ダンジョンや町の管理、魔物素材の換金を行う『冒険者ギルド』
・商品の品質や人材の管理、魔物素材の加工を行う『商人ギルド』
・作物や家畜の品質の審査、農具のレンタルを行う『農業ギルド』
の三つのギルドが中心となっている。
今日は冒険者登録をするため、冒険者ギルド本部の窓口に向かった。
窓口には受付係の男性が立っていた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」
「冒険者の登録を行いに来ました。」
「では、こちらの紙に書かれてある必要な項目を入れた後、私の隣にある水晶に紙を乗せてその上に手を置いてください。」
そう言われた後、紙とペンを渡された。
ー冒険者登録内容ー
・名前
・身体情報(性別・身長・体重など)
・住所
・希望する職業
・扱える魔法*
・得意な能力*
・知り合いの冒険者*
※『*』は複数回答・無回答可
ーーーーーーーーー
俺たちは紙に必要項目を埋めた後、男性の言う通り水晶に紙を下にして手を置いた。
すると水晶が発光しだした。
男性は発光が終わったのを確認した後、俺たちにカードを渡してくれた。
「こちらのカードはクエストやダンジョンを挑む際に使う冒険者専用会員証です。
身分証明書となっておりますので絶対に無くさないようにしてください。
失くした場合は会員証の再登録をお願いします。
まだ仮登録の状態なのであちらの依頼掲示板にある仮登録者専用依頼から依頼を引き受けてください。依頼を達成したら登録は完了となります。」
さすがギルド本部、細かいところまで丁寧に話してくれる。
俺たちは早速掲示板に向かい、受ける依頼を決めることにした。
掲示板には『薬草の採取』『魔物の討伐』『荷物の配達』などの依頼の紙が貼られていた。
依頼を受ける際には、その紙を受付に持って行くことで依頼を受注できる。
「この依頼を受けてみない?」
メアが提案してきた。
【依頼・魔物の討伐】
内容・ソロゴブリンを10体討伐
正直言うと今の自分の力を試したい。
「こちらの依頼は通常より難しいですがよろしいですか?」
男性が確認してきた。きっと心配してくれているのだろう。
俺たちは承諾して受注した。
二回目の人生初の依頼、ワクワクが止まらない。
俺たちは男性にお礼を言った後、目的地に向かった。
「王様、今回の職業診断の結果に目立つ者が見受けられました。」
「それはどういう意味でじゃ?」
「おそらく、勇者の素質を持つものだと思われます。」
おお、113年前に消えたと思われていた勇者の素質を持つ者がついに現れたか。
さすがわしの占い師、彼に占ってもらって正解だった。
「今すぐその者を探せ。」
「かしこまりました。」
ギルドマスターはこの場から去った。




