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逆立ちできない罪

作者: 小田虹里

素直になれない。

優しくしたいのに、つい冷たい態度を取ってしまう。


自分は天邪鬼だと、ため息を吐く。

優しくなりたい。

そう決め込んで口を開けば、ツンケンした言い草だ。


まるで自分には、優しさなど無縁かのように。

弱った父に、きつく当たる。

すぐに後悔する弱さはあるのに、優しさはないのか。


なぜ僕は、こんなにも天邪鬼。

親孝行したいのに、心に余裕がもてない。


僕が弱いことが原因か。

いや、弱いなど生ぬるい。

僕は悪だ。

優しさからは程遠い、僕は穢れているのだ。


穢れた僕には、親孝行などできないのか?

優しさの欠片もない僕に、

そんな悩みが生まれることすら滑稽な話だ。


悪が足掻いても悪でしかない。

手を差し伸べる、なんて簡単なことだ。

それを躊躇う、心の中にモヤがかかる。

優しいフリなど無駄な足掻きだ。


天邪鬼で穢れた悪の化身。

弱る父に、笑ってほしいはずなのに。

なぜ僕は、この化けの皮が剥がれないのか。


嗚呼、悔しい。

また罪が増えていく。

後悔が積み重なる。


どうか僕を壊しておくれ。

壊れてしまえば、全てがひっくり返る。

天邪鬼も罪も悪も打ち砕かれる。

僕はそんな世界が見たい。


この世界、逆立ちできたなら、

僕の世界は晴れ晴れとするのだろうか。

赤く燃える太陽は、変わらず西へ沈んでいく。


自然界の摂理は、変わることはない。

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