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Delighting World  作者: ゼル
Break 第五章 ストレンジ砂漠編 ~砂漠・修行のち、大災害?~
86/139

Delighting World Break ⅩⅩ


ストレンジ砂漠にたどり着いたビライトたち一行。


灼熱の日中と極寒の夜を経験したビライトたちだが、砂漠の道中にあったオブジェの中で一夜を過ごす。



温まる食事を終えたところで、クライドは修行を行うべく、全員での修行を提案した。


その中でまずはブレイブハーツの力をお互いに確かめることにしたのだが、ブレイブハーツは強い心の力に反応して起こるものであるため、生半可な修行ではブレイブハーツを発動することは難しいことを知ったクライドは、2人1組でペアを組み、本気の手合わせを行うことを提案した。


皆がそれぞれ強くなるために。これからの一行の力をぶつけ合い、そしてより高みへ、より強い絆を得る為、ビライトたちは本気の手合わせを行うことにした。



ブレイブハーツの力を確かめる為。それぞれの力を確かめ合い、そしてより強い連携と絆を作る為の、本気の手合わせが幕を開けようとしていた…



--------------------------------------


砂漠の外…風は落ち着いているが、気温はかなり低い。

しかし空は雲一つない快晴だ。月の光が砂を照らしている。


「よし、始めるぞ。まずペアを組む。2人ずつで手合わせしよう。」


「誰と誰が組む?」


ビライトが聞き、クライドはペアを考える。


「よし、レジェリーとヴァゴウ。そして俺とビライトで行う。」

「レジェリーちゃんとか。」

「ふーん、理由は?」

レジェリーはクライドに尋ねる。


「お前たちは遠距離攻撃が使えるだろう。つまりその撃ち合いが可能だ。お互いの練習になるだろう。ヴァゴウは潜血覚醒を行った状態でやることが前提だ。レジェリーは…まぁ上手くやれ。」

「うわ、雑!!ムカつく!!」


「で、俺たちは近接攻撃がメインだから…ってことか。」

「そうだ。本気で来い。」

「分かってる。本気じゃないとブレイブハーツも使えないしな。」


始まる本気の修行という名の手合わせが始まる。


ビライトとクライド。


ヴァゴウとレジェリーの対面だ。


まずはビライトとクライドがお互い距離を取り、ビライトは大剣を。クライドは短剣を構える。


「危なくなったらちゃんと止めてやるから本気でぶつかり合えよ~」

アトメントがオブジェの入り口で手を振る。

ビライトとクライドはそれに頷き、再び2人はお互いを見る。

「お前が止められんのかよ。」

デーガはアトメントに言う。


「なめんなよ~?俺は神様だぞ?」

アトメントはニヤリと笑ってみせる。

「ブレイブハーツを発現したアイツらはお前でも止められるかどうか怪しいんじゃねぇのか?」


「ンなことにはならねぇよ。まだ俺の方が強い。」

「あっそ。まぁ良いけどよ。」




ヒュウと吹く風と共に先に動いたのはクライドだ。持ち前の素早さで一気にビライトとの距離を詰める。


(早い…!)

ビライトはエンハンスを発動するが、もう回避している余裕は無い。

ビライトはクライドの振るう短剣を大剣で受け止める。


「ハッ!」

クライドはすぐに後方へ下がり空へ舞う。

「足技か…!」

ビライトは後方にバックステップし大剣を横に振る。

「遅い!」

クライドは大剣を受け流し、ビライトの身体に回し蹴りをヒットさせた。

「ッ!」


「ハッ!」

クライドはその後も果敢にビライトに足技を叩きこんでいく。

「まだまだッ!」

ビライトは更にエンハンスを強化した。エンハンスサードまで強化を重ねたビライトはようやくクライドの猛攻から抜け出した。

距離を取り、体勢を整えてビライトは汗を流しながら小さく微笑んだ。


「やっぱり強いな…クライド…!」

「フン、お前もそろそろ反撃したらどうだ。」

クライドの小さく微笑む。今、お互いは熱く燃え滾っている。楽しさを感じているほどに。


「勿論!」


ビライトはその声と同時に更にエンハンスを強化。

エンハンスサードをかけた状態の素早い動きでクライドの動きに順応していく。


「はああっ!!」

ビライトの大剣の振る速度はより素早くなり、やがてはクライドの身体をかすらせるまでになった。


「フッ、流石だ。」

「クライドこそ!」




「凄い…あの2人、本気でやりあってる…!」


「あぁ、修行とはいえやっぱヒヤッとするな…」


レジェリーとヴァゴウはビライトとクライドの本気の手合わせに身震いしていた。

この試合が終わったら今度は自分たちの番なのか…と思うと少しばかり気負いしてしまいそうだった。



「「はあああーーーっ!!」」


クライドの両手に持つ短剣と、ビライトの大剣が刃を交える。


しかし、力ではビライトの方が上手だ。

クライドの短剣では抑えきれない。このままだとこの斬撃を許してしまう。


「いいぞ、こうでなくてはつまらんッ!」

クライドは短剣でビライトの大剣を抑えたまま、足を強く地面に踏み、その反動で空に再び舞う。その際、斬撃の一部が胸を切り裂いたようで、クライドは胸からは血が流れる。


「この程度で俺が終わると思うな!」

クライドの身体が赤く淡い光を出す。

「ブレイブハーツ…!」


「俺の中に眠りし魂よ!力を貸せッ!ブレイブハーツッ!」

クライドの全身から赤い光がはじけ飛び、それは足に、短剣に渦を巻くように集まりだす。

少し雰囲気も変化したようで、動きも先程とは異なり、より素早くなった。


(ほう、ブレイブハーツを発動すると転生者の力がより表に出てくるんだな。)

アトメントはクライドの状態を見て感じる。

そしてデーガもまた…

(やっぱ似てるな…ちゃんと力を使いこなしている。こいつが転生者ってやつなんだな…)

かつての仲間の転生者であるクライドを、デーガはその雰囲気から感じ取った。そして少しだけ切なくなるのだった。


ブレイブハーツの赤い光をまとった足はビライトの頭上へと落ちる。


「俺だって終わらないさ!メギラ・エンハンスだっ!」

ビライトはメギラ・エンハンスを発動した。

ブレイブハーツを纏ったクライドのかかと落としを大剣で受け止める。


「…ッ…強い力…!これが…ブレイブハーツ!」

「はああああああっ!!!」

「くっ、おおおおおおっ!!!」


ブレイブハーツを纏ったクライドの一撃と、メギラ・エンハンスを纏うビライトの大剣がぶつかり合う。そして…



「俺だって…負けない!負けるもんかッ!!!」

ビライトの身体からも赤い光がはじけるように放出される。

「来たな…ブレイブハーツ…!」

「―――ッ!だあああーーーーーーーっ!!!」

「!」


ビライトの大剣はクライドを後方まで吹き飛ばし、そしてビライトはそのまま大剣を持ち直し、クライドへと接近する。

メギラ・エンハンスを超えるスピードと攻撃力を宿したビライトの大剣が赤く大きな光の柱を作る。


「これが俺のブレイブハーツだーーーッ!!」

「条件は同じだッ!」


ビライトの大剣とクライドの短剣がぶつかり合う。ブレイブハーツの力同士がぶつかり、やがてそれは強い反動を引き起こし、両者を同時に吹き飛ばした。


「!」

「ッ!?」


ブレイブハーツが解かれ、地面を転がる2人。

砂漠の砂が舞い上がり、ビライトたちの身体におもいっきりふりかけられる。

「げほっ、砂が…!」

「…ッ…」



「は~いそこまで。」

そしてブレイブハーツが解かれたことを確認し、2人の間に割って入ったのはアトメント。

魔法で辺りに舞う砂をはらい、しりもちをついて座り込む2人を確認した。


「強いなぁ…流石クライドだよ…」

「お前もな…」

疲労困憊の2人は全力を出し切り、小さく微笑みあっていた。


「良い勝負だったぜ。ブレイブハーツがそれぞれの戦い方にしっかり応えていた。十分すぎるぐらいだ。」

デーガは2人の戦いを見て、ブレイブハーツがしっかり応えていたことを伝えた。

元々の所有者が言うのだ。その言葉は折り紙付きだろう。



「は~…なんだかドキドキした~…」

「ガハハ、ホントにな。けどレジェリーちゃん。次はワシらだぜ?」


「そ、そうね…ヴァゴウさん。手加減しなくて良いからね。」

「おう。そのつもりだ。」


ビライトとクライドはどうにか身体を起こし、オブジェ壁に身体を預け、座り込んだ。


「は~…正直ドキドキした。」

「…ブレイブハーツがしっかり使えることが分かった。良い収穫だった。それに…お前との手合わせは悪くなかったぞ。」

「俺もだよ。本気の手合わせじゃなくてもいいからさ。またやろう。」

「…良いだろう。」



本気でぶつかり合ったことで、実力を確かめ合った2人は満足そうな顔で、次のレジェリーとヴァゴウの手合わせを見守ることにした。



--------------------------------------


「…なんだかやりにくいわね…仲間と本気で戦うなんて…」


「うっし、いっちょやってみるか。」


レジェリーは少し消極的だ。ヴァゴウの方はとりあえずやってみようという精神でレジェリーを見る。

しかし、その目はとても真剣な表情を見せていた。

レジェリーはそのヴァゴウの目を見て

(…きっとヴァゴウさんもドキドキしてる。あたしだってそう。だけど…)

レジェリーは魔法陣を展開した。


「行くわよ!ヴァゴウさん!」

「うっし!行くぜッ!」


ヴァゴウもまた武器を複数召喚し、宙に浮かせる。


「サンダーボルトッ!」

中級魔法、サンダーボルトが発動した。

雷が上空から無数に降り注ぐ。

ヴァゴウは盾の召喚し、自分の身を守る。


「!」

レジェリーはその隙に場所を移動していた。

「そっちかッ!」

ヴァゴウはレジェリーの移動先を予測し、浮かせていた剣を発射する。

「見えた!」

レジェリーはその剣の移動先を予測して躱して見せた。


「やるなァ!」

「どこぞの素早い誰かさんと一緒に修行してたからね!」

レジェリーはこの修行よりも前からクライドと修行をしていた。

クライドの素早い身のこなしを目で見て学び、その動きを完ぺきとは言えずとも、ある程度は吸収し、学習していたのだ。


それからもヴァゴウは無数の武器をレジェリーに向けて放つが、レジェリーはそれを避けたり魔法で相殺したりしていたが、レジェリー自身の魔法をヴァゴウに向ける余裕がない。

ヴァゴウの攻撃速度はどんどん上がっていく。


「ッ!」

このまま回避を続けても体力の差でいつか当たってしまう。レジェリーは攻めに転じることを決めた。


「オッ!?」

レジェリーは一気にヴァゴウに向かって走りだす。

「ブリザード!」

氷魔法、ブリザードで砂漠の砂が凍る。

「おわっ!?」


足を滑らせて転倒してしまうヴァゴウ。

「もらった!」

レジェリーは水魔法、ウォータートレットを発動する準備を整え、ヴァゴウに向かって激流が流れ込む。


だが、ヴァゴウにはまだ奥の手がある。この程度で終わるはずがない。

レジェリーはすぐに距離を取り、次の魔法の準備に取り掛かる。


激流は未だ流れ続けているが…

砂の中からバキッと音が聞こえる。

そして―――次の瞬間だ。


砂が勢いよく舞い上がりそこから現れたのは巨大なドラゴンの姿をしたヴァゴウだった。

「…潜血覚醒…出たわね…!」


「グルアッ!!!」

肩から背中にかけて岩の大きな棘が生えており、全身がドラゴンの固い甲殻で纏われる。

勢いよく翼を羽ばたかせて高く咆哮しながら飛び出す巨体が砂漠の砂を大きく巻き上げる。


そして砂の大地に勢いよく大きな地響きを鳴らし、着地。

砂を全て巻き上げ剥き出しになった大地に大きなヒビを張る。


「なんて重い圧力…!立っているのがやっとなぐらい…!」


しかし目の前に聳え立つ巨体にレジェリーは1人立ち向かう。

その姿は鋭い目つきに瞳孔が大きく開き、獣のように小さく鋭い目が見るもの全てを震わせる。

巨大な牙は剥き出しで呼吸が荒い。


まさに目の前に居るのは圧倒的な力の証明、重血たる生物の底知れない力であった。



「グルォッ!!」

「…!」


「レジェリー…オッサン…」


「レジェリーの気持ちに応えたヴァゴウの証だ。さぁ…どうする?レジェリー。」

デーガは圧倒的な圧力に潰されそうなレジェリーを見つめて呟いた。


「あたしは…屈しないわよ!だって…師匠が見てるんだもん!恥晒してなるもんですか!」

「俺のためかよ…」

レジェリーは高みから鋭い目で睨みつけるヴァゴウを見て微笑んだ。

「笑った…?」


クライドはレジェリーの状況を見て、笑っていられるとは思っておらず驚きの表情を見せた。



「見てなさい師匠!魔女っ娘レジェリーちゃんは相手が誰だろうと屈したりしないんだから!行くわよヴァゴウさん!」

「ケッ、言われなくても見てるっての。」


「グルアッ!!」


ヴァゴウはその巨体の周囲に無数の武器を召喚した。

その数は50を超える。

レジェリーは、地面に赤い魔法陣を展開した。


「禁断魔法…!今のレジェリーには危険すぎるんじゃ!?」

ビライトはデーガとアトメントを見るが…


「大丈夫だ。レジェリーには…まぁヴァゴウにもだが…アレがあるだろ。」


「ブレイブハーツは禁断魔法すらも制するのだな。」

レジェリーの周囲から赤いオーラがはじけ飛ぶ。

赤く輝く瞳と長く揺らめく赤髪がゆらゆらと揺れる。そしてそれはレジェリーの全身へと伝播していき、禁断魔法の魔法陣は大きくなっていく。


「赤き情熱の光よ、我が前に顕現せよ!ブレイブ・シューティング!」

レジェリーの前方に小さな魔法陣がたくさん出現する。

その数は20,30…いや、それ以上だ。無数の小さな魔法陣から高濃度の魔力の塊が予測不能な動きで右往左往しながらヴァゴウの身体を包囲し、一斉に襲い掛かる。

「グアアッ!!」


ブレイブ・シューティングはヴァゴウの全身を引き裂くが、潜血覚醒したヴァゴウの防御力は非常に高い。小さな傷が無数に出来ようとヴァゴウにとっては大きなダメージではないのだ。

「ガアアアッ!!!」

ヴァゴウの武器もまたレジェリーに向かって一斉に放たれる。


剣、矢、弾丸、鈍器、あらゆる武器が無数にレジェリーを襲うが、レジェリーはそれをブレイブ・シューティングで撃ち落としていく。


あらゆるものがこの空間で乱舞する。とても誰かが割って入れることなど出来ない弾幕戦となっていた。





「そろそろ…決めちゃうわよッ!」

レジェリーは更に禁断魔法を繰り出す。

「大地眠りし自然の種よッ!プラント・バインド!!」

デーガ戦でも使用した植物を召喚し、相手を縛り付ける魔法だ。

「!?」

全身を植物で覆われるヴァゴウ。


「そして…遥か空の彼方から我が力を捧げる!宙に踊りて舞い降りし灼熱!行けーーーッ!!エクセリオ・メテオッ!」

禁断魔法、エクセリオ・メテオにより空から無数の炎を纏った隕石が降り注ぐ。


「ガアアアアアッ!!グルアアアーーーーーーッ!!!」

響き渡る叫び。大地に炎を纏ったい赤い隕石が降り注ぐ中、ヴァゴウは咆哮する。


その時だ。ヴァゴウの全身から赤い光が一気に放出される。

「ブレイブハーツ…!」


ヴァゴウの全身をまとう赤い光は雷となる。ヴァゴウはその手を大きく上げる。

無数の隕石を巨大な手で掴み、受け止めた。

「う、うっそでしょ!?」

そしてそれを素手で叩き壊していく。それは捨て身に近い動きだった。

ヴァゴウの腕は赤く燃えて火傷を負っている。


(マジでやってんなぁ。面白れぇ。面白れぇなぁ。やっぱ本気の戦いってのは滾るなァ。)

戦を司る神、アトメントにとってこの戦いは見ていて楽しいものであった。2人の全力を感じ、ニヤニヤが止まらない。


「ガッ!!」

そして…ヴァゴウの足元から何か鋼鉄の巨大な何かが地響きを立てて現れる。


「こ、これは…!」


それは巨大な大砲だった。黒い鋼鉄に覆われた巨大な砲台が地面から現れ、ヴァゴウがその上に乗っている。

砲台の奥から淡い光が溜まり、そして―――


「グルアッ!!」

砲台から巨大な光線が発射された。その光線はレジェリーのエクセリオ・メテオをの最後の1発。巨大な隕石をも貫通し、跡形もなく吹きとばした。

その光線は魔力であった。ブレイブハーツにより高まった魔力を濃縮した一筋の光は遥か上空へと消えていった。


「―――あっはは…遠距離攻撃だけでこのバリエーションの数…そしてとんでもなくでっかい砲台からの魔力光線……さっすがにすっごい、としか言えないわぁ…」

ヴァゴウの繰り出した砲台の威力を見て唖然とするレジェリーは小さくため息をついた。


「―――ッ…」

ヴァゴウはこの一撃で魔力を一気に消耗したのか、膝をつき、荒い呼吸は少しずつなりを潜め…ついには潜血覚醒状態は解かれ、ヴァゴウは尻餅をついて仰向けに勢いよく倒れた。

そしてヴァゴウのブレイブハーツも解かれ、レジェリーも気が付いたらブレイブハーツの効力は消えていた。


「ヴァゴウさん!」

レジェリーはヴァゴウの元へと走る。


「ここまでだな。」

「あぁ。」

アトメントとデーガもここで修行は終わりだと告げる。


「オッサン!レジェリー!大丈夫か!」

ビライトは真っ先に2人の元へと走り寄った。


「は~…つっかれたぁ~…」

「だなァ…」

レジェリーとヴァゴウはそう呟き、傍で寄り添いへたれこんだ。

「だ、大丈夫か2人共!」

ビライトは2人を心配して慌てている。


「大丈夫よ、ね?ヴァゴウさん。」

「お~…なんとかなァ…」


「っく、あはははは!あーなんかおかしくなっちゃった!」

「クッ、ガッハハ!なんだろうなァ!すっきりしたッ!!」


何故かおかしくなってしまい笑いあう2人。


「…力が収束してんな。ブレイブハーツが身体になじんできたお陰か?」

アトメントがヴァゴウの傍に行き、ヴァゴウの身体に触れる。

「どういうことだ?」

クライドが尋ねる。


「あぁ、ブレイブハーツの作用のお陰でヴァゴウの潜血覚醒の力が暴れにくくなってる。この調子で潜血覚醒を身体になじませ、ブレイブハーツも同じくなじませていけば、遠くない未来、潜血覚醒の衝動を完全に抑えこみ、自由に潜血覚醒を使いこなせるようになるだろうよ。」

「…ブ、ブレイブハーツって本当に凄い力なんだな。」

ブレイブハーツは勇者の力と言うだけあり、あらゆる作用が働くようだ。


--------------------------------------


「ホレ、もう良いぞ。」

「ありがとうデーガ。」

手合わせが終わり、再びオブジェの中に戻ってきたビライトたちは回復魔法が使えるデーガに治療してもらう。



「師匠ありがと!」

「ケッ。」

デーガは治療だけ終えると、ビライトたちの元から離れようとする。


「ま、ブレイブハーツはしっかり使えてる。その調子で修行してりゃそのうち自分の意志でも発動できるようになるかもな。」

デーガはそう言い、オブジェの入り口に座り、夜空を見る。



「良い修行になった。」

「あぁ、みんな本当に凄かった。俺ももっと頑張らないとなぁ。」

ビライトはまだまだ自分の実力は未熟であることを自覚した。

メギラ・エンハンスやブレイブハーツがあってもビライトはまだ上を目指す。それだけの力があってもイビルライズに対抗できるかどうか分からないからだ。

イビルライズ…クロは抑止力すらも超える力を持つのだから、ビライトたちはまだまだ成長していかなければならないのだ。


「ヴァゴウさん、大丈夫?」

「あァ、デーガの回復魔法のお陰でな!ピンピンだぜ。」

「そっか、良かった~」

レジェリーはヴァゴウに手合わせとはいえ、かなりのダメージを与えたのでヴァゴウの身体を気にかけていた。

だが、魔法の始まりを創生したとされる魔族であるデーガの回復魔法はとても強力で、傷口残さず綺麗に治療出来ていた。


これに加えて死にかけでも完全回復出来る禁断魔法も所有し、死亡してもライフスフィアとスフィアレイズの合わせ技で蘇生まで出来る。

魔王・デーガという存在は全ての魔法を知り尽くし、そしてどんなに難解なものでも使用できる。抑止力と呼ばれるだけのことはあるのがこれだけで十分納得がいく。



「でもよ、サンキューな。レジェリーちゃん。」

「えっ?どうしたの?」


「いや、そのよ。ワシが潜血覚醒したときよ…結構ビビったんじゃねぇかなってよ。ああ見えてワシも結構ドキドキしてたんだ。でもレジェリーちゃんはしっかり向き合って全力で戦ってくれたからよ。嬉しかったんだよな。」

「あはは~…でも確かにちょっと怖かったけどね~…」

潜血覚醒後のヴァゴウはどういう感情であってもその形相は獣そのものだ。だがレジェリーは目の前に君臨した竜に立ち向かい、そして本気で戦った。

ブレイブハーツ同士のぶつかり合いは戦い終えた後にはお互いの気持ちは高揚していた。

「だけどまだまだ足りねぇ。もっと身体にこの力を馴染ませてやらねぇとな。この旅が終わってからもこのままじゃ流石に生活しにくいしな!ガハハ!」


「そうね、でもヴァゴウさんがちゃんと馴染むまであたしも手伝うからね!」

「ありがとよッ。」



「では次行う時の手合わせはペアを変えてみるか。」

「良いわね。それまでにもっと強くならなきゃ!」


クライドの提案にビライトたちは同意し、また次の手合わせを約束した。


一行は本気の手合わせを経て、お互いの強さ、そしてブレイブハーツの存在を再認識した。

とても、良い傾向である。レジェリーがクライドの動きを参考にしてヴァゴウの攻撃を予測して回避したように、手合わせから誰かの技術を学ぶこともできる。

ビライトたちはまだまだ伸びしろがあること自覚出来たのだ。





「ところでヴァゴウさん、最後のアレさ。今思い返したら…って感じなんだけど!あれ“イマージ”よね!」

「あぁ。レジェリーちゃんに魔法書見せてもらったろ?覚えてみたンだよ。」


「やっぱり!イマージって凄く難しい魔法だしあたしも使えないから良いなぁ~」

「ガハハ、伊達に武器職人やってねぇよ。想像力ならお手のモンだッ。」


「イマージって無属性魔法の?俺も魔法書で見たことあるけど、どんな感じのものなんだ?」


ビライトはイマージについて詳しく聞きたいようで、皆に尋ねる。


「無属性の魔力物体生成魔法“イマージ”。脳内でイメージする物質を具現化できる魔法だが…その物質が大きければ大きいほど、構造が複雑であればあるほど魔力を大きく消耗する。そしてそれは全て魔力で出来ており、基本的には使用後は消えてしまう…といったところだ。」

クライドがイマージについての説明をしてくれる。


「脳内で物質をイメージ…か。魔力が高くて、武器職人のオッサンだからこそあれだけ大きな砲台を具現化出来たんだな。」

「精度はまだまだだけどな~」

「まだまだなのにあたしの禁断魔法打ち破ったんだから十分凄いわよ!」


「ガハハ、ただ無茶を通し過ぎた。あの後結局ダウンしちまっただろ?」

「そっかぁ…あれだけ大きいとヴァゴウさんでも結構消耗しちゃうんだね。」


「武器飛ばす魔法も発射した武器なんかは自然に魔蔵庫に帰ってくんだがよ、銃弾や矢は戻ってこねぇからな。そんなときにイマージがあれば魔力が許される限りは武器量産出が来るんだ。なかなか良いだろッ?」


ヴァゴウが新しく会得した魔法は、とても便利なものに仕上がっていた。魔力を使って物質を作る画期的な魔法だ。魔力なのですぐ消えてしまうとしても、きっとこれから役立つであろう。


「俺も魔法書読み始めてるんだけど…なかなか難しくてさ。初級魔法でも良いから魔法が使えたら戦いの幅が広がるかなって。」

「良いじゃん!あたしが教えたげるわよ!」

ビライトも魔法書で魔法を覚えようとしているが、苦戦しているようだ。

エンハンスとは色々と勝手が違うのだろう。


「ありがとうレジェリー。じゃ早速…」


「おいおい、流石に今日はもうヤメにしようぜ。回復してもらったとはいえ、明日も灼熱砂漠超えなんだぞ?」

「そ、そうだな…明日も大変だし、早めに眠った方が良いかもな。」

「そうね、じゃまた後日!」


「あぁ、頼むよレジェリー。」

レジェリーに早速教えてもらおうとしていたビライトだが、流石に今日はやらず、また後日行うことにした。


「うし、んじゃ、また明日な。」


「あぁ、おやすみ。」

「うん、おやすみ!」


そしてそれぞれが就寝の準備をし、一行は眠りについた。


--------------------------------------





焚火が燃え、パチパチと音を鳴らす。


オブジェの影に隠れている為、外がいかに風が吹こうが火は消えることは無い。

ビライトたちはとても過酷な砂漠で過ごす夜とは思えないほど、のんびりと過ごしていた。


一行は身体を休めるために眠りにつくが…今起きているのはビライトとデーガ。そして眠る必要のないアトメントだけだ。


ビライトはもうしばらく夜風に当たりたく、入り口から外を見るが、外は酷く強い風が吹き荒れていた。


「外は凄いな…」


「砂漠の夜はこんなもんさ。間違っても出歩くべきじゃねぇな。」

入り口に居たデーガはそう言い、空を見る。

空に雲はほとんどなく、地上の大荒れとは別で美しい夜空を見せていた。


「けど、何もねぇからこそ空は綺麗だ…ったく、目的も忘れちまうぐらいだ。」

デーガはこのはるか先にある、トーキョー・ライブラリに居るカタストロフのことを想う。


「カタストロフのこと、心配だよな…」

「ケッ、お前はそんなこと気にしなくていいんだよ。」

デーガはビライトの頭に手を置く。


「良いか?アイツはまだ絶対悪に染まっていなかったとしても必ず俺たちを殺しに来る。だからお前も殺す気で行け。」


「そんな…でもあんたは…あんたはカタストロフに死んでほしいなんて思っていないだろ…?」


「だな。俺だってアイツに死んでほしいとは思ってねぇ…最初は一緒に死ぬつもりだった。俺とアイツで一緒に絶対悪となり、お前たちなり、他の抑止力なりに殺してもらう。それで世界の脅威が一つ減る。素晴らしいことだ。そう思ってた。」


「デーガ…」

ビライトはデーガの顔が複雑そうに見え、何と声をかけて良いのか分からなくなった。


「ったく、外の奴らと関わると振り回されちまって仕方ねぇ。俺も心の何処かで…救われようとしてるのかもしれねぇな…俺たちに、そんな権利あるわけねぇのによ。」

「権利だなんて…生きるのに権利なんて必要ないだろ。」

「お前…」

ビライトは語る。それは自分も同じことを思ったことがあるからだ。


「俺は昔1度死んでいる。それをたまたまイビルライズが憑依したことで生き延びた。そしてイビルライズが抜けた今、俺は何で生きているんだろう、俺は何のために生きているんだろう。世界が危機に陥るきっかけを作った俺なんて。そんなことを思ったよ。だけど…そんなとき、オッサンが、レジェリーやクライドが、アトメントが俺に手を差し伸べてくれた。今、世界の向こう側に居るエテルネルも、俺の中に眠るメギラも…みんなが俺の手を掴んでくれて、みんなが俺の背中を押してくれたんだ。イビルライズではキッカが信じて待ってくれている。そんな全てがあるから…俺は生きていいんだって思えたんだ。」


「…そうか。」

「こんな俺でも、生きていられるんだ。だから、あんたも、カタストロフもさ。死んでいいわけないんだよ。世界の脅威になるならみんなでなんとかすればいい。みんなで力を出し合っていけば…きっとあんたたちだって、楽しく生きられるよ。」


「…ケッ、いっちょ前によ。」

デーガは立ち上がり、小さくため息をつく。


「俺、諦めないから。あんたも、カタストロフも助けたい。」

自分に出来ることをしたい。

ビライトの気持ちは純粋な心の力だ。その気持ちに失われているデーガの心は小さく揺れ動く。


「…揃いも揃ってお人よしがよ。」

デーガはそう言い、出入り口に向かって歩き、そこで座る。

そして外を見ながらビライトに聞こえないよう呟いた。


「…ありがとよ。」


ビライトもまた、火の傍で身体を寝かせ、眠りにつく。

そしてデーガも目を瞑り、皆が眠りについた。


(デーガの心に火が灯ってきているのを感じる。デーガ、お前は抑止力の中でも特別だ。お前なら…失っちまった心を取り戻せるかもしれねぇな。そん時はきっと、お前もイビルライズに立ち向かえるようになるかもな。)


2人の様子を見ていたアトメントは小さく微笑み、目を閉じる。


(楽しくなってきてる。これだからこの世界は…面白くて、楽しい。)



--------------------------------------






翌朝、じわじわと熱くなっていくオブジェの内部に、ビライトたちはたまらず目を覚ました。


「あつっ!」

「うぅ…寝起きサイアク~…」


外からは激しい火の光が照っていた。今日も天気は快晴、大灼熱だ。

「おはようっ、飯出来てんぞ!」


先に起きていたヴァゴウは皆の朝食を用意いていた。


「あっ、氷!」

「おう、デーガに出してもらった。」

「俺はなんでも屋じゃねぇってのに…ったくよ…」


朝食は氷により冷えた野菜や脂身の少ない肉が盛り付けされたサラダだ。

「う~ん、冷たくておいし~…」

「しっかり食べて今日も頑張らないとな。」

「…」

ビライトとレジェリーはしっかり噛み締めて冷たいものを食べる。

クライドはこれからまたこの灼熱砂漠を歩くと思うだけで少しだけため息が出そうになっていた。


「嫌そうだな。」

「…暑いのは苦手だ。」

デーガはクライドのうんざりそうな顔を見て声をかける。


「ま、いざとなったら魔法で冷やしてやるよ。」

「あぁ…」

クライドは空返事だ。相当暑いのがダメらしい。




―――


朝食を終え、旅の再開だ。

オブジェを飛び出し、またひたすら砂漠を歩き続ける。


「あっつ~い…暑い暑い~…」

「うるさい。」

レジェリーが文句を言い、そしてクライドが黙らせる。

これが定期的に起こる。


ビライトは黙ってしんどそうでも頑張って足を動かしていた。

「ビライト、大丈夫か?」


「あぁ…なんとか…オッサンは平気か?」


「おう、ワシは平気だぜ。」

ヴァゴウは武器職人であるからして、暑さ耐性がしっかりあるようでビライトは「羨ましい…」と呟いた。


「ねぇ~、師匠~カタストロフが転送魔法・コーディナイトでボルドー様をドラゴニアに送ってくれたようにさぁ~あたしたちもトーキョー・ライブラリに送れないの~?」

レジェリーがデーガに尋ねる。


「あぁ?コーディナイトは術者が移動出来ねぇってカタストロフから聞いてねぇのか?それに1人送るのにクソほど魔力使うから疲れんだよ。お断りだ。」

デーガは一蹴し、レジェリーは「けち~」と口を尖らせてブーブーと言う。


「ま、今の魔王デーガサマはカタストロフが抜けて半分抑止力、半分普通の古代人だからな~魔力も普通の魔族よりちょっと高い程度だ。お前らとたいして変わりはしねぇよ。」

「あぁ?誰がコイツらと同じぐらいだって?ホラ吹いてんじゃねぇぞ。大体てめぇはいつもあることないこと―――」

「お?やんの?」

「上等だてめぇ」

「うるさい。静かにしろ。」


デーガとアトメントがまた喧嘩腰になったが、クライドの低く、心の底からうるさいから黙ってろというオーラが漂っているのを見て、デーガはアトメントにつっかかるのをやめる。


アトメントは舌を出し無言でデーガをからかうが、デーガは拳を震わせつつ、ひとまず落ち着きを取り戻した。



実際デーガの魔力はカタストロフと一緒だった頃と比べて大分落ちている。


だが、それでもビライトたちよりも遥か上をいく存在であることは間違いあらず、禁断魔法のような膨大な魔力を使うものであっても、結構な数を打つことは出来る。

それに、デーガはあらゆる魔法を知っている。


本人はあまりそれを口にはしないが、ボルドーが使っていた古代魔法、エクスリストレイも使うことができる。

元々のこの魔法をフリードに教え、そこからボルドーに経由させたのだからなおの事、デーガはエクスリストレイも使えるということになる。


ただ、本人の魔力だとエクスリストレイは使ったところでそこまで変わらない。

エクスリストレイは魔限値が少ない者の救済として作られた魔法だ。魔限値が高いデーガが使ったところであまり意味を成さないのだ。



これらのことがあるので、アトメントのさっきの発言は完全にホラ吹きだ。

こういうことをしているからいつまでもビライトたちから神様だと完全に信用してもらえない。



―――砂漠を歩き数時間。


砂漠の何処からか大きな音が聞こえる。


「…何の音?」


「…砂嵐だな。近づいている。」

デーガが呟き、辺りを見渡す。

(…妙だな。魔力を感じる…こいつは…ただの砂嵐じゃねぇ…?)


「ち、近くに避難できる場所があったら隠れた方が良いんじゃないのか?」

ビライトはデーガとアトメントに聞くが…


「あ~…この辺はねぇな。」

「…だな。つまりだ。」

デーガは一行を見て言う。


「ま、耐えろ。」


「「「え?」」」



その時だ。音が更に大きくなり、やがて地平線の向こうから物凄い勢いと速度で砂嵐がやってきたのだ。


「わ、これやばくないか!?」

「皆密集しろッ!」

ヴァゴウは全員を引き寄せ、砂嵐を受ける体制を取る。


「こういう時こそ活かせるってもんだッ!!」

ヴァゴウは身体に力を入れ、身体を変化させる。

潜血覚醒だ。


「グルァッ!!!」

巨大化したヴァゴウはビライトたちを覆うように庇い、砂嵐の猛攻を受けた。


「ヴァ、ヴァゴウさん!」

「オッサン!大丈夫か?」


「ガウ。」

大丈夫そうだ。ヴァゴウはピンピンしている。


「収まるまで待機…って言いたいけど、こりゃただの砂嵐じゃねぇな。」

「どういう…ことだ…?」

クライドが汗をぬぐいながらアトメントに聞く。


「ほー…ふーん…なるほどね。」

「おい、一人で納得すんな。」

「…チッ、面倒なことになりそうだぜ。」

デーガも何かを察知したようでため息をついた。


すると…


「グアッ!?」

「えっ、ヴァゴウさん!?」


なんとヴァゴウの身体が砂嵐に巻き込まれて吹き飛びそうになっていたのだ。

5mを超える巨体のヴァゴウが浮くほど外ではとてつもなく強力な砂嵐が吹いているのだ。


「お、おい…」

「グルアッ!!?」

ヴァゴウの身体はやがて完全に宙に浮き…



「う、うわっ!!?」

「キャッ、げほっ、前がッ…!」


「!誰でも良い!手を繋げッ!」

クライドの号令にビライトたちは近くに居た誰かの手を繋いだ。


しかし…


「う、うわあああああっ!!」

「なんなのよぉぉぉ!!!」


「!!」

「グルアーーーッ!!」



ビライトたちは砂嵐で空に舞い上がる。



そして彼らはこの広大な砂漠で分散してしまった。





―――





「わああああーーーーーーっ!?」




砂嵐に吹き飛ばされて地面目掛けて落下するビライト。

「くっ、ディフェンスエンハンス!!」

ビライトはエンハンスをかけ、地面の落下ダメージを軽減した。

ビライトの身体は四角の形をしたオブジェに叩きつけられた。

しかもそれだけではない、なんとオブジェの中は空洞であり、このオブジェは砂の下…すなわち、地下に続いていたのだ。


「お、落ちる!?」



「っと。」


ビライトの身体が宙で停止した。

「…あっ…!」

「おう、危なかったな。」

「デーガ!」


ビライトが手を繋いでいたのはデーガだった。

だが、落下の直前で手を放してしまっていたのだ。


落下するビライトを支え、デーガは地下まで降り、着地した。


「ありがとうデーガ。助かったよ。」

「そいつは構わねぇが…チッ、はぐれちまったな。無駄な時間が出来ちまう。」

デーガは舌打ちをし、辺りを見渡す。


「…涼しい…」

「日差しが少ししか当たってねぇからな。」

デーガは魔力感知を使用する。


「…チッ、妨害されてやがる。めんどくせぇ。」

デーガは更に舌打ち。

「妨害?妨害ってどういうことだよデーガ。」

ビライトはデーガに尋ねる。



「あ~…ま、これぐらいはいっか。」

デーガは少し言葉を選ぼうとするが…



「ビライト、単刀直入に言うぜ。こいつは…“抑止力の試練”だ。」


「…えっ?」




突如始まった抑止力の試練。


広大な砂漠にて散り散りになってしまったビライトたち。

そしてビライトは唯一はぐれなかったデーガから、これは抑止力の試練だと聞かされる。



果たしてこれは抑止力の誰の差し金なのか。


仲間たちは無事なのか。

そして、この抑止力の試練を達成出来る条件とはなんなのか。


謎が残る中、抑止力の試練は思いもしない形で幕を開いたのだった…





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