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Delighting World  作者: ゼル
第七章 ワービルト編 ~獣王の試練と修行の日々~
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Delighting World ⅩⅩⅩⅡ.Ⅴ

Delighting World ⅩⅩⅩⅡ.Ⅴ




サブキャラクター紹介2



~ヴォロッド・ガロル~


・性別…男性

・年齢…46歳

・身長…242cm

・体重…143kg

・種族…獣人(純血)

・一人称…我・私


ワービルトを治める王であり、純血の黒獅子獣人。

その巨体と強靭な身体を駆使して、強さの象徴として国のトップになった男。

戦いというものを争いとしてではなく楽しむものであると考えており、自分と張り合える強き者を求めている。

王族としての誇りを大事にしている為、言葉遣いや立ち振る舞いには少しうるさいところがある。若い頃からの知り合いだがかなりフランクなボルドーとは真逆であり、ボルドーにはもっと王らしくしろと注意することもしばしば。


実は未だ独身なことを気にしている。そしてボルドーに先を越されたことにも少し嫉妬している。

結構好奇心旺盛なところがあり、面白いと判断したらすぐに実行に移したり、それを相手にやらせてみたりする。


侍従であるアルーラのことは特別信用しているようだが、アルーラ自身はもう一人主が居る為、アルーラのことにはあまり詳しくはなく、アルーラ自身もそれをヴォロッドには話していないし、ヴォロッド自身言いたくないなら言わなくてもいい精神な為特別気にもしていない。

思い切ったことをザックリと言うことが多いため、アルーラにはよく「言葉が足りません」や、「考え直し下さい」と言われてしまうこともある。



~アルーラ・ポット~


・性別…男性

・年齢…???歳

・身長…171cm

・体重…54kg

・種族…獣人(海人)

・一人称…私


ヴォロッド・ガロルに仕える侍従。

世界にたった一人しか存在しない“海人うみびと”と呼ばれる種族の獣人。

ヴォロッド以外にもう一人仕える主がおり、定期的にそのもう一人の主の元に赴いている為、時々ワービルトから姿を消す。

ヴォロッドはそのことを承知の上でアルーラを信用し、侍従として置いている。


レジェリーと知り合いのようで、アルーラの仕えているもう一人の主がレジェリーの師匠である。

ただ、レジェリーの師匠のアルーラを自由にしたいという希望により、アルーラは師匠の元での永住を禁じられている為定期的に顔を出す程度に関わりをとどめている。


ワービルトでヴォロッドに仕えている理由は、昔からずっと誰かに仕える生き方をしてきたが故にそれ以外の生き方を知らずに当てもなく彷徨っているところを、たまたま昔のワービルト王に拾われたことが始まり。

レジェリー曰く、ずっと見た目が変わらないらしく何年生きているのかは謎に包まれているが、噂では古代人なのではないかという説も浮上している。


基本的に口数は少なく、ボルドーからはカタブツ扱いされているが、一度喋りだすと徹底的に言うことを言って再び黙るので、実はお喋り好きなのではと思われている。



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敵キャラクター紹介Ⅱ


ブロンズ


・性別…男性

・年齢…???

・身長…???

・体重…???

・種族…人間

・能力…???


ヒューシュタット王、ガジュールに仕える四従士の1人。

サマスコールで一度ビライトたちと会敵している。

基本的にシルバーと同じく丁寧語を話すが、シルバーほど人を見下した喋り方はしない。


詳しい戦闘能力などは不明だが、耳に電極のような装置を付けており、かつて存在したというテクノロジーを使用する模様。

主に交渉、勧誘などをメインに動き回っていて、情報力は誰よりも優れている。


サマスコールで出会ったときと少し様子が異なる様子…?



ナグ・ネムレス



・性別…男性

・年齢…26

・身長…180cm

・体重…63kg

・種族…獣人(?)

・能力…暗殺術


ブロンズに雇われた暗殺を生業とする獣人。四従士の1人としてカウントされた。

世界中を回りながら仕事をしているが、ワービルトを拠点として動いている。

雇われる前にレジェリーと出会い、親しくなったが、その後にブロンズと契約をしたので、いずれ会敵することになる。


昔は大勢仲間が居たようだが、暗殺を生業としているが故に、皆死んでしまったという。

クライドの知り合いのようだが、詳しい関係性は不明。

主にヒューシュタット王のガジュールの護衛という形でヒューシュタットに雇われたので、シルバーやブロンズとは違い、世界中を動き回ることはない模様。





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ショートスキットⅠ

ボルドーとメルシィの出会い【後編】


約10年に1度。一定の時期になると、王になる者は世界を回る旅に出ることになっている。

各国を巡り、世界の現状を見て感じる。

これも王としての仕事。


それももう3回目。

父親であるベルガが長生きなので、なかなか王の座にはつけず。

本人はそこにはあまり気にはしていないようだがいい加減、1人での旅には飽きを感じていたボルドー。


そんなボルドーを見たベルガは、気になる女性でも連れて行けばいいと促す。

この旅に同行出来るのは嫁、もしくは嫁候補の者のみ。


そんなことは分かっていてもガラではないボルドーは仕方なく旅の準備をするため街へ繰り出す。


そんな中出会った竜人の女性、メルシィ。


彼女とぶつかり怪我をさせてしまったボルドーはメルシィを介抱し、その際に壊してしまった猫車を新しく買い換えてやると約束をしたのだった。


自分にも落ち度があるというのに、王になる人物に手厚いほどに手を貸してもらい戸惑ったメルシィだが、そのまっすぐな気持ちに素直に従うことにした。



これはもう中年になろうとしている1人の王の息子と、城下町の竜人女性の出会いの物語。




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「よっ!メルシィ!」


「えっと、おはよう、ございます…本当に来たんですね。」

「あたぼうよ。」


翌朝、ボルドーはメルシィの家を訪ねていた。


「せっかくですから。」

メルシィは扉を全開にして、ボルドーを家の中に招く。

ボルドーは頭を天井にぶつけないように身体を曲げて家に入る。


「小さい家でかわいらしいな。」

「素直に居心地が悪いと言ってくださって構いませんよ。」

「ダッハハ!言うねぇ~」


「あっ、申し訳ありませんつい…ボルドー様、あまりにも自然に会話するものだから…」

慌てて謝るメルシィだが…


「いいって!その方が俺様も助かるわ。」

ボルドーはむしろ畏まった喋り方を望んではいなかったので、ホッとしたメルシィ。


「じゃぁ…その、遠慮しませんけど。」

「おう!」


メルシィはなんでこんなことになったんだろうと思っていた。


たまたまぶつかった相手がボルドーであった。そこまでは偶然として分かる。

だが、ボルドーはそれからもずっと自分の為に何かをしてくれようと、病院に運んでくれたり、今日も壊れた猫車を買い替えようと来てくれたりしている。


ありがたいお話ではあるが、メルシィは平民。そしてボルドーは王族だ。

明らかに身分が違う。だがボルドーはあまりにもフランクに会話してくるものだからメルシィもついつい畏まった喋り方を忘れてしまう。



「コーヒーと紅茶、どちらがお好きですか?」

「あー…どっちもあんまり飲まねぇけどコーヒーかな。」

「…もしかしてジュースとかの方が好きですか?」


「一番はやっぱ酒だなッ!」

「朝っぱらからお酒はダメです。」


「わーってるって!」


メルシィは冷やしていたドラゴニア名物のドラゴンフルーツをジュースにしたものをボルドーに提供した。

「どうぞ。」


「お!これ好きだ!いただくぜ!」

ボルドーは美味しそうにジュースをグイッと飲み干す。


「ありがとな、ごちそうさん。」

「どういたしまして。」



メルシィはボルドーが待っている間、別室で外出用の服に着替え、ボルドーに声をかける。




「お待たせしました。では行きましょうか。」

「…」

ボルドーはメルシィをじっと見つめている。

薄い黄色の服に、ロングスカート。昨日とは違う服の彼女をボルドーはジッと見つめてしまった。


「な、なんです?」

メルシィはちょっと恥ずかしそうにするが、ボルドーはハッと我に返った。


「お、おう、すまん!その、似合ってるなって…よぉ。」

ボルドーはメルシィから目線を逸らして言う。

「あ、ありがとう、ございます…で、では行きましょうか!」

「お、おうッ!」


ボルドーはさっきまで自然に会話していたはずなのに、今は少し変な気持ちになっていた。


(よくよく見たら…結構可愛いっていうか…って何考えてんだ俺様はッ!!)


服も確かに似合ってはいるが、それとは別で、メルシィ自身が対等に近い感覚で会話をしてくるその姿にボルドーは少し嬉しさを感じていた。



-------------------------------------------------------



「いらっしゃいませ。おやボルドー様、お元気そうで。」


「おう、邪魔するぜ。」


ボルドーたちが来たのは雑貨から道具まで並ぶ、建物自体は結構小さくドラゴニアの端の方にある古い店だった。

竜人の高齢男性が1人で切り盛りしているようだ。


「こんな小さな店に今日はいかがされました?」


「この子の猫車を壊しちまったんでな。代わりになりそうなもんねぇか?」

「おやこれはまたお美しいお嬢さんだことで。少々お待ちくださいね。」


高齢の竜人は奥の物置に向かって歩いていく。


店はとても綺麗に掃除されているが、建物自体が古いため、骨董品屋のようなアンティークな雰囲気のお店で、心が落ち着くような造りだった。


「私、こんな場所にお店があるって知りませんでしたわ。」


「ガキのころよくダチとこの辺りで遊んでてな。結構品ぞろえも良くて、隠れた名店と評判なんだぜ。それにじいさんにも色々と叱られたりしたもんだよ。なぁ?」

「昔の話はおよしくださいな。ボルドー様はもう立派な次期国王です。」

「へへ、ありがとよ。」


ボルドーはこれまでの王とは違い、よく街に繰り出しては町の人々とコミュニケーションを取っている。

それ故にその支持率は圧倒的に高く、一般の人々にも広く交流があり顔が広い。


「お待たせしました。最近コルバレーで作られた猫車が入荷しておりましたよ。」

「おお、コルバレーか!あそこで作られるモンはなかなかの上物だからな!メルシィどうだ?持ってみろよ。」

メルシィは猫車を持ち少し走らせた。

軽いが、頑丈な造りになっているようで、前持っていたものよりも明らかにグレードは高いものだと分かった。


メルシィは正直なんでもいいのだけれどと思っていたが、流石にこの空気では言えないので小さく頷いた。


「うし、じゃぁじいさんこれを売ってくれ。」

「ボルドー様ならばお代は結構ですよ…は聞きませんよね。」

「分かってるじゃねぇの。ホレ。」


ボルドーはお金を渡し取引は成立した。


「そういえばボルドー様、もうすぐ世界周りの旅でしたな。」

「おう、明後日出発だ。」

「おお、そうでしたか。お気をつけて行ってきてくださいね。」

「サンキュー!じゃまた来るぜ!」

ボルドーはメルシィと一緒に店を出た。


「ありがとうございました。」

メルシィはお辞儀をして、ボルドーについていく。


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「良かったなァ、いいモン買えたぜ。」

「ええ、そうですね…何から何まで…良いのかしら。」

「いいんだよッ!俺様がやりてぇからやってんだ!」


メルシィはボルドーの優しさに心を温めていた。


下心なんて無さそうでいつも笑顔で…そして何よりもそのたくましい身体と王たる風格だ。

メルシィは少しだけ胸がドキドキしているような。そんな気持ちになった。



ボルドーが猫車を押し、メルシィの家まで戻ってきた。


「ふぅ、お疲れさん。」

「ごめんなさい、わざわざここまで持ってもらって。」

「気にすんなって!良い運動になったわ!」


ボルドーは笑いながら猫車を庭に置き、満足そうな顔でメルシィに微笑んだ。


「うし、なら俺様は帰るとすっかな。」

要件を済ませたボルドーは帰るつもりでいた。


だが、メルシィはボルドーを見つめて「あの」と声をかけた。


「?どうした?」


「あの、良かったら…もう少しご一緒してもよろしいですか…?」


「そいつぁ構わねぇけど…」

「で、では散歩なんていかがですか!?展望広場の方に行きましょう!」

メルシィは自分でも何でこんなことを言って引き留めたのか分からなかった。

ボルドーが帰ると言った途端、少し胸がキュッと絞まるような気持ちがしたのだ。


もう少し話がしたい。

一緒に歩きたい。そう思っていた。



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先日、メルシィと行った病院の前までやってきたボルドーたち。

この病院はドラゴニアの高い位置に設立されていて、病院の外はすぐにドラゴニアを一望できるぐらいの展望エリアとなっており、昼間は多くの家族連れやカップルが訪れる名所だ。


「あっボルドー様だ!」

「よう!元気かっ?」

「うん!元気!」

「ボルドー様!だっこ~!」

「おう!いくぞ~?」

「うわーたけぇー!あははは!」


ボルドーは3m近くある巨漢であるが故に非常に目立つ。

そのうえ、ドラゴニアの住民なら知らない人などいないのだから余計にだ。

ボルドーが子供たちの遊び場でもあるこの展望広場に来ようものなら、子供たちは笑顔で寄ってくるだろう。


「ホレホレ!」

「うわーーーー!」

ボルドーは子供たちを大量に抱えてぐるぐると身体を回したり、腕につかまる子供たちを持ち上げたりと、まるでアスレチックのような状態になっていた。


「フフッ、おかしなことになってますわよ。」

メルシィはそれを見て笑う。


「ん?そうか?」

「大人気ですのね。」

「まぁな!」


ボルドーは少しの間子供たちと遊んでいたが、やがて子供たちを下ろし、近くに居た親元へと送り届けた。


「わりぃわりぃ!ずっとほったらかしちまった!」

「気にしなくていいですわ。私も見ていて微笑ましかったですから。」

メルシィは展望広場からドラゴニアを一望する。


「あの、世界周りの旅って。」

「あぁ、王になるまで10年に1回ぐらいある世界を回る旅のことだよ。オヤジがいつまでも玉座を降りてくれねぇからもう3回目だ。」


「お一人で行かれるのですか?」

「まぁな。嫁候補か嫁が居れば一緒に行けるんだけどな。生憎、俺様は年齢=彼女ナシだ!」


「あんなに大人気ですのに。」

メルシィは不思議に思った。


ここまで国民からの厚い支持を受けているボルドーに嫁も居ないどころかどの女性とも付き合いが無いことが不思議だった。

「ん~…俺様があんまりそういうのガラじゃねぇなって思っちまってよ。何度かお付き合いを頼まれたことはあるが…断っちまうんだよ。」


「でも、いつかは嫁を貰わないと血が終わってしまいますわよ。」

「それを言われちまうと弱いんだよなぁ~!ダハハ!」

ボルドーは笑ってごまかそうとする。少し焦っている気持ちが何処かにあるのか…



「でもよ、ずっと一緒に居たいって思えるような人に俺様が出会えてねぇだけなんだ。ただ血の為じゃねぇ。俺様の嫁は俺様がコイツだと思う相手に決めてぇんだ。」

「そう、ですね。私もそれが良いと思います。」

メルシィは微笑んだ。ボルドーもそれに応えるように頷いて微笑んだ。


「綺麗ですわね。」


「おう、ここはよ。小さい頃から気に入ってんだ。この病院に行くことが多かったからなおさらな。」

「病院に?病気でもされていたのですか?」

「俺様じゃなくてよ、ダチがな。」

「入院されていたんですか?」

「おう、何年も長い間な。俺様も病院で知り合ったんだけどよ。ソイツがすげぇんだ。何度も死にかけてんのにその命は消えねぇんだ。本人には自覚はねぇみたいだけど、俺様はソイツの生きようとする力に惚れた。」


ボルドーは目を閉じて、友であるヴァゴウのことを思い浮かべる。


「アイツは今このドラゴニアにはいねぇけどよ、ずっと頑張ってんだ。だから俺様も全力で生きようと思った。ホラ、俺様はバーン家の血をほとんど受け継げなかった出来損ないだからよ。努力をしなきゃいけねぇんだよ。」

ボルドーがバーン家の血をほとんど受け継げなかったことを知っている国民は多い。だが、本人の努力や頑張りが評価されて今に至っているのだ。


「ボルドー様は出来損ないなんかじゃありませんよ。」

メルシィは言う。

ボルドーは目を開け、メルシィを見る。


「とってもお人好しでお節介で、見知らぬ私をお姫様だっこなんてしてしまうおかしな人です。」

「お、おう。褒められてなくね?」

「でも。」


メルシィは笑って言った。

「ボルドー様はとっても優しくておおらかで努力家で、笑顔が素敵な方です。」


「…」

ボルドーはその言葉とメルシィの笑顔に心を動かされる。


「?どうかされました?そんなじっと見つめて…」

ボルドーが少し放心状態のようになっていてメルシィはボルドーの顔を見つめる。


「!あっいや、その…ありがと、よ。」

我に返り、顔を赤くして微笑むボルドー。


「フフ、顔が真っ赤ですよ?」

「お、おう…」

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その後も2人は展望広場をぶらりと散歩し、町を歩き、買い物をしたり、食事をしたり。まるでデートのような時間を過ごした。

そして時間は流れ陽が沈みそうになる。

再び展望広場に戻ってきたボルドーたちは陽の沈むドラゴニアを眺めていた。


「もう夜になってしまいますね。」

「そうだな。」


メルシィはボルドーに頭を下げた。

「私のわがままにつきあわせてしまいましたね…ごめんなさい。お忙しいのに…」

「気にすんな!俺様も楽しかったからよ!」


「そうですか…なら良かったです。」


「…なんだか、デート…みたいですわね。」

「おっ、おおう。そ、だな。」

顔を赤くするボルドー。

「…でも、もう帰らなくては。ボルドー様も明後日には旅立たれてしまうのですから。旅の準備をしなくてはならないでしょう?」

「そ、そうだな。そうだ。ウン、そうだ。」


メルシィは少しだけ顔が暗くなったような気がした。

メルシィはボルドーと行動したこの1日に大きな充実感を感じていたのだ。

もうそれも終わりなんだと思うと少しだけ寂しい気持ちになったのだ。


「…そろそろ帰りましょう。私、一人で帰れますのでボルドー様はそのままお城へお帰りくださいね。」

「お、おおう。色々ありがとな。」


「ええ、旅、頑張ってくださいね。」

「おう。」


メルシィは挨拶し、1人帰っていく。


(…良いのか。ボルドー・バーン。このままアイツを帰らせて…それで終わりで良いのか?)

ボルドーはメルシィの背中を見て心がざわついた。

このまま解散して、また会わないまま旅に出る。そうしたら数年は帰らない。メルシィとも何年も会えない。

ボルドーはこの2日間、最高に楽しい時間を過ごした。


そして、ボルドーの胸に刻まれたのは間違いなく“恋”という鐘の音色だ。


ボルドーは走り出す。そして…


「メルシィ!!!」

ボルドーはメルシィを呼び止める。

メルシィは振り向いた。その目には少しだけ涙が浮かんでいた。


「…泣いてんのか?」

「泣いてませんよ。」


ボルドーは手を出す。

「…この手はなんでしょう?」


「メルシィ。俺様と一緒に……行ってくれないか?世界周りの旅に…」

「…どうして?」

「その、うまく言えねぇけどよ…」


「…私、あなたの嫁候補なんですか?」


「えっとよ…ああ…おう!そうだよッ!」

ボルドーは顔をあちこち動かしながら頭をガリガリと掻き、顔を真っ赤にしてメルシィの肩に両手をそっと置いて…深呼吸。


「その…俺様は、多分、お前のこと………好きだッ!」

声が裏返るボルドーは手をプルプルと震わせている。


「…そんな怖い顔してるのにそんな可愛い顔するなんてずるいです。」

メルシィはボルドーの手を握る。

「私も、好きですよ。ボルドー様のこと。」

「ほ、ほんとかッ!?」


「ええ、お人好しのお節介で初対面の人をお姫様抱っこしてくれるボルドー様が好きです。」

「誉めてんのかそれ!」

「誉めてますよ。ウフフ。」

メルシィはボルドーを見つめた。


「子供にも大人気で…いつだって一生懸命で優しくて全部包み込んでくれるあなたが私は好きですよ。」


メルシィは続けて言う。


「私、両親が他界しているからずっと一人で暮らしてきたんです。生まれもドラゴニアではありませんし…お友達も居なくて…寂しかったのかもしれません。だからこうやって誰かと一緒に歩いたり、買い物したり。好きな景色を眺めたり…夢だったんです。だから、嬉しかった。」

「メルシィ…これからあったかもしれねぇ寂しい気持ち、俺様が埋めてやる!だからよ…!」

「ええ、分かっています。」

メルシィはボルドーの手を肩から離し、両手でボルドーの手をぎゅっと掴んだ。


「私で良ければ、あなたの傍に。」


メルシィは告白に応え、微笑んだ。


「おっ、おう!!ヨロシクな!!ははっ!なんだかなぁ、もうなんかわけわかんねぇわ…」

ボルドーとメルシィは改めてがっちりと握手。ボルドーの手が大きすぎてメルシィの手はすっぽり隠れてしまうほどだったが、それは確かに堅い握手だった。




それからボルドーとメルシィは2人で世界周りの旅を始めた。

色々な場所を2人で周り、時にはヒューシュタットの調査の為に危ない目に遭いそうなこともあったが、2人はその度に乗り越えてきた。

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その絆は確かなものとなっていき、ボルドーはメルシィにプロポーズをした。



夜の輝く星空が見える丘の上で野営を取ったとある日のことであった。


その中でボルドーはメルシィをぎゅっと抱く。


「お前が、出来損ないじゃないって言ってくれたこと、嬉しかった。」

「はい。」

「親やクルト、ダチ以外にそんなこと言われたの初めてだったからよ…ホントに嬉しかったんだぜ…?」

「私こそ。私なんかを選んでくれて…私だって、あなたに負けないぐらい感謝しています。ボルドー様。」


見つめあう二人。


「メルシィ、俺様はまだまだ未熟だ。そんな俺様で良ければ…これからずっと…傍にいてくれないか?…そのよ、け、結婚…ッ…してくれないか…?」

あの時と同じ。顔を真っ赤にしてボルドーはメルシィに告白をした。


「…やっと言ってくれましたね。随分待ちましたよ。私はとっくに決めていたのに。」

メルシィはボルドーに抱き着いた。


「私で良ければ。」

「ありがとうッ!好きだ!!」

「ええ、私もですわ。あなた。」



これが旅を始めて1年後のことだ。2人は結婚した。


この旅が終わったらドラゴニアで式を挙げよう。

そう約束し、旅を継続した。


その旅の道中でメルシィは子を出産。

名前をブランクと名付けたボルドーたちは世界を回りながらワービルトに寄り、その後にドラゴニアに戻り、旅を終える予定で進めていた。


そんなボルドーたちがワービルトを訪れようとしている時にバッタリ遭遇したのがビライトたち一行であった…



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「と、言った具合でしたわ。」


「うわ~!!すっごい!なんか胸がドキドキしちゃった!」

場所はワービルト。

ワービルト到着初日にメルシィはレジェリーとワービルトを見て回っていたのだが、その際にレジェリーになれそめを話した。

それがこれまでの話である。


「あの人は真っすぐで意外と恥ずかしがりやで、とっても優しくて、努力家で…私は今でもあの人が私を選んでくれた時のこと、忘れられませんのよ。」

メルシィは微笑んだ。


「凄くロマンチックでした!あたしにもそんな素敵な人が現れちゃったら嬉しいなぁ~!」

「きっと出会えますよ。」

「そのためにもあたし、もっと頑張んなきゃ!」

「ええ、私もお手伝いしますわ。好きな人が出来たら教えてくださいね。」

「はい!」

メルシィはそういえばと考える。

「そういえば、レジェリーさん、ビライトさんやクライドさんはどうですの?」

「へっ!?」

レジェリーは驚いて口が空く。


「あ~…でもビライトさんはキッカさんのことを第一に考えておりますし…クライドさんはあまりそういうのお好きではなさそうですものねぇ…」

「えっ、ちょっとメルシィ様ッ!?」

レジェリーは顔を赤くする。


「もしかしておじさまがお好みでしたら。ヴァゴウさんなんていかがかしら?」


「あ、あの人たちにはそんなっ気ありませんからーーーっ!!」

レジェリーはビライトたちは眼中に無いからとつい声を荒げて言う。


「あら?無いんですの?特にクライドさんとは…ホラ、“犬猿の仲”…といった感じに見えましたが?」

「絶対ありえないからーーーーーっ!!ていうか種族も違うからーーーっ!」

「フフフ、冗談ですわよ。ね、ブランク。」

「あう?」

「冗談キツイですってばーーーッ!」



メルシィはレジェリーをからかいながら、ボルドーの顔を思い浮かべる。





(今はちょっとバタバタしてて落ち着けない状況ですけど…国に戻ったら…また一緒にあの展望広場に行きましょう。私、楽しみにしていますからね。)





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ショートスキットⅡ

それぞれの5日目



ヴォロッドから言い渡された修業期間の5日間。

4日目までの修行を終えたビライトたちは、決戦前日である5日目は各自修行をせずに自由に過ごすようにボルドーから指示を受けていた。

ゆっくり休むもよし、町を見て回るのもよし。各自の自由な5日目が始まっていた。


そんな5日目を過ごしたビライトたちのそれぞれを少しだけ覗いてみよう。



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レジェリーの5日目【アルーラとあたし】





レジェリーの5日目。

その日レジェリーは何をするかもう決めていた。


それはアルーラと会うことだ。


レジェリーはアルーラのことを知っている。

レジェリーはヴォロッドとの決戦のあと、アルーラと会話をしたのだが、これはその前日のお話…




「…アルーラ、やっぱり城の中に居るのかなぁ」


レジェリーは城の扉の前に居るが、扉は固く閉ざされている。


「何か御用ですかな?」

扉前に居た警備の獣人たちが声をかける。


「あっ、えっと~…アルーラ…さんに会いたくて。」


「アルーラ殿に?」

「ヴォロッド様ではなく?」

「あっ、はい。アルーラさんで。」


「フム…アルーラ殿は今不在でな。」

「ええーっ!」

レジェリーはがっかりしてため息をつく。


「どこに行ったか分かりますか?」

レジェリーは尋ねるが獣人たちは首を横に振る。


「残念ながら分かりかねます。」

「分かりました~…じゃ夕方にまた来ます。」


レジェリーはひとまず諦めて中層に戻ることにした。


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中層に戻る手前、レジェリーはアルーラが何故ここに居るのかを考えていた。


(アルーラ…どうしてここに居るんだろう。確かに師匠のところにたまに来てたけど、ここに住んでいたのかしら)


「まさかお前がここに居るとはな。」


「あっ。」

後ろから声が聞こえた。


「レジェリー。」


アルーラがそこに居た。


「アルーラ!見つかった~!」

「探していたのか…」


「だって、なんか知らないふりしてたから。」

「知らないふりをしていた方が都合がよかっただろう?」

「う、そうだけど…」

アルーラはため息を吐いた。


「話すことがあるのだろう?だが、それはしばし待ってもらおう。」

「えっ。」

「私はこれから下層に行き、町の視察をせねばならん。明日、ヴォロッド様との手合わせが終わった後で時間が取れたら取ってやる。」

「わ、分かった。」

納得したレジェリーに頷くアルーラ。

「では私はもう行く。明日せいぜい頑張ることだな。」

アルーラはそう言い、中層へと降りて行った。



「…無駄足だったなぁ~…でも一応アルーラには会えたし、明日話せるみたいだし…」


レジェリーはアルーラを見て、自分の師匠のことも思い出していた。

「師匠の様子とか聞きたかったんだけど…元気かなぁ…師匠。」


師匠との別れ方はとても煮え切らず、後味も最悪なものだったが、レジェリーは師匠のことを尊敬している。

「…アルーラは知ってるのかな。あたしが破門された理由。ううん、アルーラが知らなくてもあたしは師匠に直接確認しなきゃいけないんだ。」



レジェリーにはまだ隠された何かが色々あるようだ。

だが、それはいずれ分かることとなるだろう。

レジェリーの故郷は、今回の旅で絶対に避けては通れない場所なのだから。



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キッカの5日目【底に眠る知らない私】





「…お兄ちゃん、グッスリだ。」


ビライトは眠っている。

5日目の朝、ビライトは前日のボルドーとの本気の手合わせで気を失ってしまい、それからずっと眠っている。

朝には目を覚ますだろうと言っていたので、キッカは静かにビライトが目覚めるのを待っていた。


「…あの時…」


キッカはヴァゴウを治療した時のことを思い出していた。


あの時は何が起こったのかも分からないまま気を失ってしまったが…気を失っている中、意識の底で、何かと会った気がした。



(私の心の底にいた“あれ”は何…?)


人なのか、人では無いのか。物なのか。それとも別の何かなのか。


それは分からないが、確かに自分の意識の底に何かがあったような気がした。




それは…


(あれは…私ではない何か…アレがシンセライズなのかな…でもシンセライズはこの世界そのもの…そしてアトメントさんが言っていた…私は世界に選ばれたという言葉…)

キッカは考えても分からないままなのは分かっていたが、それでも今こうやって1人でいるときはついつい考えてしまう。


ビライトの魔蔵書庫で本を読んでいても、そのことが気になって集中出来なかった。



せっかく物が持てるようになったのに、最近は本もあまり読めていない。

眠ることが出来ないキッカにとって、今の夜はとても寂しいものだった。


(私は…何者なんだろう。私は…キッカ・シューゲン。それは間違いないと思う。でもなんだろう…私は…私は…本当にキッカ・シューゲンなのかな…)


底に居る何か。

それが自分だとしたら自分はキッカ・シューゲンではないかもしれない。

そう、例えば…




(私が…シンセライズだったりして…なんて…そんなわけないよね…)

話が飛躍しすぎていることまで考えてしまう。


キッカが何故イビルライズに囚われたのかも、謎に包まれており、自分の心の底にある何かについても謎のままだ。


多くの謎はキッカを不安にさせる。

「お兄ちゃん…私、怖いんだ…いつか私は…みんなの前から消えてしまうかもしれない…そう思っちゃうんだよ…」

キッカは精神体であるため涙を流せない。

だが、その気持ちは泣きたくなるほど、不安で、不安で仕方がないのだ。


だが、キッカはその気持ちを決して誰にも見せない。

ビライトはきっと心配する。

みんなもきっと心配する。

だからキッカは笑顔で今日も、明日も、楽しく生きる。


「…お兄ちゃん…」


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生まれて間もなかったキッカはすぐに両親を亡くした。


生きる力を失ったビライトは身体を一切動かさない1日があるほど、心を壊してしまってた。


キッカはヴァゴウを中心に、コルバレーの人々に助けられて育った。

だが、ビライトは突然“クロ”と呼ばれる友人が出来たと言い、毎日のように街から姿を消し、クロと遊んでいたとヴァゴウが言っていた。


キッカはビライトからは相手にもされず、ヴァゴウやコルバレーの街の人々に囲まれて育っていった。

キッカはまだ赤ん坊だったため、物心もついていない。故に、ビライトを特別悪いとは思っていなかった。


だが、ビライトはとある時から今度はクロという存在を忘れ、キッカを連れて家に帰り、キッカの面倒を見るようになった。


この時にビライトに何が起こったのかは本人にも分からないし、ヴァゴウやコルバレーの人々にも分からなかった。


クロという存在が何だったのか、何故突然キッカの面倒を見るようになり、クロのことを忘れたのか。

それすらも分からなかった。



だが、ビライトはキッカと共に生きることを選び、キッカの物心がついたころには、すっかりビライトはキッカのことを大切に思うようになり、キッカもビライトを大切な兄と思い、兄妹の絆を深めていった。



「…お兄ちゃん、私ね……ずーっと、一緒に居たいよ。だから……ッ。」


キッカは眠るビライトを見て、小さくつぶやいた。








「…怖い…怖いよ……助けて………ッ……」


声を押し殺すようにして小さくつぶやいた。









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クライドの5日目【暗殺者・ネムレスの子】










「明日、決戦か…」

5日目の昼、明日決戦があるビライトたちだが、クライドは自身の中で既に不参戦を決めている為、この日はラプターと共に空を眺めながら野営を準備をしていた。


「…ワービルト…か。」


クライドは昔を思い出していた。







俺は昔、ワービルトに住んでいた。




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俺が覚えている最も古い記憶は、ワービルトの下層にある荒れた街の路地裏だ。

大雨が降っていて、身につけていたフードを被ってただ力無く横たわり、雨に打たれていた。




「こんな場所で何をしている?」


声が聞こえる。

幼い俺は顔をゆっくりとあげる。目の前には自分と同じ狼獣人が居た。


「…」

何をしているかと言われても分からない。

自分はそれより前のことを覚えていないからだ。

気が付いたらここに居た。フラフラと彷徨いワービルトの路地裏で眠っていた。


「分からないのか。」

狼獣人はスッと座り、俺の頭の上に手を乗せる。

「お前は生きたいか?」

狼獣人は語りかける。


「…」


生きるとはなんなのだろう。

何も分からない自分にはその返事すら出来ない。


「……それも分からぬか。良いだろう。ならばお前に生きる理由を見つけさせてやる。」

狼獣人は俺を引っ張り上げて立たせた。

舌打ちをして下を向いた俺に狼獣人は無理矢理顔を上げさせた。

「ッ…」


「下ばかり見るな。上を見ろ。今は雨が降っていて何も見えぬが、雨はいつか止む。お前の心の中に降る雨も、上を見ていれば晴れる。」

「…」

意味が分からなかった。

だが、自分には何も当ては無い。意味は分からないが、この人についていけばまず死ぬことはないかもしれない。

そう思った俺は黙ってついていくことにした。


「行くのか?私と共に。」

俺は頷いた。


「分かった。では行こう。私の名はギール・ネムレスだ。お前の名を教えろ。」

名前。名前も分からなかった。

俺は首を横に振る。


「名前も分からぬか。ならばお前に私の姓をやろう。お前は…クライド。クライド・ネムレスと名乗ると良い。」




そう、俺の名前はこの獣人、ギールから貰った名前だ。


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「ここだ。」


「…!」


ギールは暗殺組織「ヴォール」のリーダーだった。

大勢の獣人たちが俺を見る。


「新しい人材を連れてきた。何も知らぬが何も知らぬということは伸びしろは無限である。」

普通の人ならここでビビッて逃げてしまうところだが、俺は不思議と何も感じることは無かった。


ここが俺の新しい居場所になった。





それからというもの、多くの人々やギールから指導を受け、俺は暗殺者として成長していった。


その中で一番仲が良かったのが、ナグ・ネムレスという男だった。


ナグは俺と同じで記憶が無い状態でギールに拾われて、ネムレスの姓を与えられて育ってきた。

ナグと俺はコンビを組み、数多くの依頼をこなしてきた。


長い時間、俺は暗殺者として世界中を回り、人々を殺し続けた。

独裁者のような傲慢な奴から、ただのコソドロまで、誰かの恨みや憎しみを俺たちは殺しという形で代行した。


だが、ある依頼で俺たちは失敗した。


ギールが死んだのだ。

大丈夫だと思って挑んだ相手に俺たちは成す術もなかったのだ。

ギールは俺をかばって死んだ。

別れの言葉も何も無く、本当にあっけなくだ。


その事件でナグとも離れ離れになった。

俺は大怪我を負い、川に転落し、そのまま遥か遠くまで流された。


それから俺はギールを失い、ナグも行方が分からなくなり、俺は自分の実力に自信を無くした。



俺はそれ以来ナグとは会っていない。行方も分かっていない。

生きているのかも分からない。



俺は暗殺者を辞めた。


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(で、行き着いた先が情報屋…という…な。)


クライドはそれからは情報屋として世界中を回り、多くの情報を人々に発信し、報酬を貰ったり、時には危険な場所に忍び込んでデータを奪ったり…

そういった生活をして生きてきた。


暗殺者として、隠密行動をしたり人を気絶させたりするスキルがあったので、それを一番活かせるのではないかと考えた故に選んだ仕事だった。


数々の依頼をこなし、そこそこ名が知れるようになった頃…俺はアトメントと出会った。





「お前が今回の依頼者か。」


「そうだ、俺はアトメント。ヨロシクな。」

「クライドだ。要件を聞こう。」


アトメントは今までに見たことが無い容姿をした獣人(?)だった。

そして出会ってすぐに分かった。途方もない力を秘めた存在であることを。


「この近くにコルバレーって町があるのを知ってるよな。」

「あぁ、コルバレーなら何度か行ったことがある。」

ここはヒューシュタット山脈を東に降りた場所。

少し移動すればコルバレーだ。


「そこにとある兄妹がいる。そいつらをとある場所まで導いて欲しい。」

「…意味が分からんな。どういうことだ。」


「そうだな、まぁそうだろうよ。まずはざっくり事情を話すことにしよう。」


アトメントはこれから依頼の対象となるビライト・シューゲン、キッカ・シューゲンが置かれた状況を説明した。


何とも奇妙な話に困惑した。そんなことがあり得るのかと思ったが、それはのちにキッカを見た時に事実だと分かった。


「ビライトはキッカを連れて旅に出ることになるだろう。このままにはしておかないはずだ。そしてやがて奴らはイビルライズを目指すことになる。」


「…何故そう言い切れる?」

俺はアトメントに尋ねた。


「ん?そりゃお前がこれから誘導するからだよ。」

「…俺が?」

「おう、お前がさりげなく奴らと接触し、イビルライズの名を話せばいい。それだけでアイツらには火が付くさ。」

「……いいだろう。ならばそうすることにする。」


アトメントの指示の下、俺はビライトの勤め先である、ヴァゴウ・オーディルの武器工房に武器作成の依頼を出し、それを取りに行くときにビライトたちと接触するという行動を取った。


結果、俺はビライトたちを旅に出るよう誘導することに成功し、それから奴らを尾行しながら様子をうかがっていた。



だが、アトメントはこう言った。

「お前もアイツらと一緒に旅をしな。こそこそしてるといざという時にアイツら守れんだろ?」

アトメントはそう言うが、俺は言い返した。


「ならばお前が直接守ってやればいいじゃないか。お前は強い。俺は分かる。」

俺はビライトたちと同行することを拒みたくてアトメントに言うが…


「俺はダメなの。理由は言えんけどな。」

「…ハァ、分かった。機会を窺って奴らと行動を共にする。正直報酬が凄まじすぎて割に合っていないと思っていたんだ。このぐらいのことは我慢しよう。」

「話が早くて助かるぜ。」




こうして俺はビライトたちと合流して現在に至るのだ。




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「…ナグ、お前は生きているのか?生きているとしたら…お前は今もまだ暗殺者を続けているのか?」

クライドは空を見上げて手を伸ばす。


「…ギール。今なら分かる。空は…綺麗だ。俺も上を向けるようになったぞ。」

クライドは空に向かって言う。


(だが、ワービルトは思い出すのだ。ヴォールで過ごした日々を。仲間たちと戦った充実した日々を。)

それを思い出し、昔に戻りたくなること。それは無駄なことだ。

だからクライドはワービルトに入らないのだ。


自分の新しい人生が昔に戻ってしまうような気がしたからだ。


「俺の心はまだ曇っているようだ…だが、前よりは…そうだな。アイツらと旅をしているからこうなっているのかもな。」

クライドは今までよりもすこしばかり素直になったような気がしていた。

レジェリーを始めとして、ビライトたちとも時には衝突しながらも、それなりに信頼して共に旅を続けている。


「フッ、ガラではない。だが…」

クライドはラプターの頭を撫でる。


「…まるでお前たちと居た時のようだよ。」

ヴォールのメンバーとして戦い続けた日々、ギールから教わったこと、ナグと培ったこと。クライドは幾多の別れを経験し、今ここに居る。



「今までに無い大きな依頼なのだ。絶対に完遂してみせる。それが俺の使命であり、俺の今の生きる理由だ。」


クライドはワービルトを遠くから見ながら改めて、自分の依頼に決意を固めたのであった。




そしてクライドは知らない。

これからヒューシュタットと対峙するうえで、ナグ・ネムレスと対峙してしまうことになるとは…



まだ、クライドは知らない。






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ヴァゴウの5日目【夜空の下で】









5日目の夜。

ヴァゴウはワービルト上層の展望エリアに居た。


星空は雲に隠れて見えないが、雨は降っていない。


雲の隙間からわずかに月が出ており、ワービルトの街をうっすらと照らす。





「…いよいよ明日…か。」


ヴァゴウはいつになく大人しい雰囲気だ。

いや、あの事件があって以来、ヴァゴウは時折このような姿を見せることが多い。


今まではいつも笑っていて、気さくで豪快で、皆を盛り上げるような存在であった。

ボルドーと同じで場を鼓舞させるような。そんな存在であった。


だが、ヴァゴウの本質はそこには無かった。

本当は、誰よりも繊細で、傷つきやすく、これまでもそんな自分を隠すために振舞ってきた。


ヴァゴウはただ明るく元気な男では無かった。ということだ。




(…らしくねぇ。と、言いたいが…これが本来のワシなんだよな…)

自分でもそれは分かっていた。

だからこそ、ヴァゴウは今まで偽っていた自分と、本当の自分が混同している状態なのだ。

どれが本当の自分で、どれが偽っていた自分なのかが分からなかった。



(心に靄がかかってるような…そんな気分だ。ワシは…どうしちまったんだろうな。)


ヴァゴウはなるべく皆の前では明るく振舞うようにはしていたが、こうやって1人でいるときはやはりどうしても考えてしまう模様。




「悩んでんのか?」


「おお、ボルドーか。」


ボルドーが後ろから声をかけた。


「ワシ、変だったか?」

「なんとなくだよ。それにお前、あの時からたまに元気無さそうな時あるからよ。」

ボルドーはヴァゴウの隣に立ち、呟いた。


「話してくれ。」

ボルドーはそれだけヴァゴウに言う。


「…ワシは自分が分からねぇんだ。」

ヴァゴウは夜空を見上げて呟いた。


「ワシはこれまで本来のワシとは異なる偽りの自分を演じてた。ワシはビライトたちが言うような明るくて元気で豪快なオッサンじゃねぇんだ。」

ヴァゴウは続けて話す。

「本当は臆病で、誰よりも神経質で、自分が抱えていた特別を捨てきれずに周りが与えてくれた優しさからも逃げ出した大馬鹿もんなんだ。」


「んなことねぇよ。それに言ったろ。お前の全てを俺様は受け止める。例え偽りだろうが、本当のお前がどうだろうが関係ねぇよ。」

ボルドーはヴァゴウの肩をポンと叩き、笑顔で言う。


「ハハッ、お前はホントに馬鹿だよな。」

「おう、こういう馬鹿が1人ぐらい居てもいいだろ?ダハハ!」

ボルドーは笑い飛ばす。ヴァゴウは微笑んだ。


「でもなぁ、ヴァゴウ。お前がたとえ偽っていたとしても、その行動ってのは何十年も続いていたわけだ。それはもうお前の中では偽りなんかじゃねぇ、本当のお前の一部なんじゃなぇのか?」

「…どうだかな。ワシにも分からねぇ。」


答えは出ない。自分の何が本当の自分なのか。それを見失っている。



「でもよ、ヴァゴウ。いいじゃねぇか!分かんなくてもよ。」


ボルドーが言う。

ヴァゴウは「あ?」と首をかしげる。


「今は分かんねぇかもしれねぇ。けど、お前はそれを必死に探そうとしてる、悩んでる。考えてる。それが出来るだけ立派だぜ。」


「そうか?」

「おう、ヴァゴウよ。これから見つけていけばいいんだよ。お前の本当の自分ってやつをな。たくさん悩んでたくさん迷って考えて。そしたらきっと偽りと思っていたお前と、本来のお前が混ざり合って、新しいお前が生まれるさ。」

「それが今までのワシとは違っていても…お前は受け入れてくれんのか…?」

ヴァゴウがボルドーに言う。


「何度も言わせんなよ。俺様はどんなお前だろうとヴァゴウ・オーディルを諦めねぇ。それによ、お前はきっとそんなに変わらねぇよ。だから心配すんな!」

ボルドーは即答した。

絶対の自信を乗せたその言葉にヴァゴウは嬉しさを隠せずに笑う。


「ありがとな。お前も、ドラゴニアに居るゲキも。ホントお前らとダチになれてよかった。心の底からそう思うぜ。」

ヴァゴウはボルドーの顔を見て笑う。


「おう、一人で抱え込むなよ。」

「…おう。すまねぇ。」

「へへっ。」

しばらく2人は夜空を見上げたまま、他愛ない雑談をし、ボルドーは宿屋のメルシィとブランクの元へと戻って行った。


ヴァゴウはそれからもしばらく夜空を見ていた。

やがて芝生に身体を大の字にして寝転がる。


「…鉄くせぇ。」


芝生は少し鉄の臭いがする。

だが、武器職人であるヴァゴウにとっては普通の臭いだ。


「……ホント、揃いも揃ってお人よしばっかだよな。ま、ワシもだけどよ。」


ヴァゴウは目を瞑り、深呼吸した。


(いつか、これが本当のワシなんだと自信持てるような時が来ても、皆は何も気にせずに接してくれるんだろうな。アイツらはそういう奴らだ。)


自分は恵まれてる。こんな仲間たちに支えてもらって自分は生きている。

命を懸けて助けてくれ、ボルドーは全てを受け止めてやると胸を貸してくれた。


(卑屈になってるほうが無礼だよな。)


ヴァゴウは目を開け、立ち上がる。


「今はゆっくり自分を見つめ直しながら進んでいくか…そしていつか…本当のワシを見つけよう。」


ヴァゴウ・オーディル41歳。

背負った重血という定め、特別であるという定め。

自分の背負うものに潰されないために偽ってきた自分。

そして、改めて事件を経て交錯する本来と偽りの自分。


それを全てを抱えながらも、多くの人、仲間、そして国に支えられてヴァゴウは前にゆっくりと歩き出す。


もう自分が特別であることに負い目を感じない。

誰かの優しさも、愛も。全て素直に受け止めて感謝して、それをお返しできるような努力をし、本当の自分を見つけ出す。


様々な課題は山積みだが、ヴァゴウの人生は変わっていく。

きっとまた迷うだろう。きっとまた悩むだろう。だがもう怖くない。臆病にもならない。

何故ならば、自分には…家族が、仲間が、ダチが居る。


「ワシは、1人じゃない。」



1人の夜。それは決意の夜。ヴァゴウ・オーディルの人生はこれからも続いていく。

特別だが特別でない自分になる。

また悩むこともあるだろう。でも、今自分の周りにはそれを振り払ってくれる仲間が。家族が居る。


だから何度転んでも、何度歩けなくなっても。何度でもやり直そう。本当の自分を見つけられるその時まで。



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ボルドーの5日目【家族団欒】








ヴァゴウとの会話を終え、宿に戻ってきたボルドーはメルシィとブランクの待つ部屋へと足を運ぶ。




「あら、おかえりなさい。」

「おう。」

メルシィはブランクを抱いて寝かしつけているところだった。


「ヴァゴウさん、どうでした?」

「アイツも色々悩んでてな。だが、俺様が全部受け止めてやるって改めて伝えといた!」

「フフッ、あなたらしいですわ。」


「あうー」

ブランクはボルドーに気づき手を伸ばす。

「あらあら、目が覚めてしまいました。」

眠ろうとしていたブランクだったが、ボルドーを見て眠気が覚めてしまったようだ。


「おうおう、ブランク~パパが帰って来たぞ~」

ボルドーはメルシィからブランクを受け取り、そっと抱いた。

「ぱっぱ、ぱっぱ。」


「へへ、俺様も慣れたもんだろ。」

「そうですわね。初めてブランクを抱いたときのあなたったら…フフッ、思い出しますわ。」


ブランクが生まれ、ボルドーは初めて抱っこした時、勝手が分からなくてついついもみくちゃにしてしまった。

少しばかり怖い思いをさせてしまい、メルシィにもこっぴどく叱られたようだ。


「あんときはホントに分かんなくてよ…しばらくはブランクを抱くのが怖かったなァ。」


「私も、あなたに抱かせるのが少し怖かったですわよ?」

「ハハ、お前はホント手厳しいなァ。」

「フフッ、冗談ですわよ。最初はそんなものです。」

冗談を言い合いながら、メルシィとボルドーは笑うブランクを見て、微笑んだ。



「ブランクは“空白”を意味します。何もない、空っぽから始まって、これからブランクは新しいことをたくさん知って育っていきます。」


「おう、俺様とお前の子だ。きっと立派な子になる。」


「ええ、そうですわね。あなたに似たらきっととても元気で、真っすぐで素直な優しい子になりますわ。」

「そこまで言われると恥ずかしいからやめてくれよ…」

「そういう変にウブなところも似てしまうかもしれませんね。」

「メルシィ~…」

「キャッ、キャッ!」


家族団欒の夜。


明日は大切な決戦を見守る日。


今日1日の休息を皆それぞれ色々な思いを抱えて過ごした。

ボルドーは久しぶりにこの身を落ち着かせ、メルシィとブランクと共に時間を過ごした。


この時間を大切に、いつまでも永遠に。




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ビライトの5日目【矛盾の記憶】











“ビライト”


“ビライト。”







“お前、生きたいか?”






“…死にたくない…!”







声が聞こえる。

俺の声も聞こえる。


高い声だ。子供の時の俺?



熱い。炎が燃え盛っている。

ここは何処だ。


この光景はなんだ。

夢だとは思う。

だが、この夢は妙にリアルに感じた。経験したことの無い記憶なのに何故こうもそれを起こった現実だと受け止めかけているのかが分からない。

後ろにいるのはドラゴンか。

死んでいる。

周囲にも多くの人が倒れ、炎に巻かれて死んでいる。



“ボクが君を生き延びさせてあげよう”


“誰?”




“ボクは……――――――――――――”















「!!!!」


「シンセライズッ!!貴様ァ!!!また邪魔をするかァッ!!!いつか、いつか貴様すら飲み込んでやるッ!!それまで精々!宿主の中で寝ているがいいッ!!!」







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「…ン…」


ビライトが起きたころにはもう昼を過ぎていた。


「おはよう、お兄ちゃん。でももうこんにちはかな。」

キッカが声をかけてくれて、ビライトはゆっくりと起き上がり、大きく背伸びした。



「おはよう、キッカ。俺…もしかしてあれからずっと寝てて?」

「うん、もうお昼過ぎてる。」


「そっか……思った以上にエンハンスの負担がすごかったみたいだ。」

ビライトはとても長い時間眠っていた。


エンハンスによる負荷がかなりのしかかっていたようだが、今は何処にも異常が無いため、元気な状態だ。

明日の決戦には良い状態で臨むことが出来るだろう。




「…大丈夫?」

だが、少しだけボーッとする気もする。


「…ん、あぁ、何かさ、夢を見てたみたいでさ。」

「夢…?」


「あぁ、見たことない光景だった…と、思う。」

「思うって…どういうこと?」

「うーん、なんかリアルっぽく感じてしまったんだ。それに内容もなんだかうっすらでさ。」


「そっか…お兄ちゃん、疲れてたもん。深く眠ってた。」

「疲れてた…か。そうかもな。」

「そうだよ。」


キッカの前ではそう振舞ったが、ビライトは少しだけ気になっていた。


あの炎の中の光景。

あそこで炎に包まれていたのは間違いなくドラゴンであった。

そしてその周りには大勢の大人たちが炎に焼かれ、死んでいた。


それは、自分の両親が亡くなった光景と似ていた。

ビライトがその光景を見たわけではない。

だが、のちにヴァゴウから聞いた話とそっくりだった。


その聞いた光景を夢で描き、それを見たということなのだろうか。


ビライトとキッカはあの事故の時、コルバレーに居た。

だからこれは現実ではない。

それに何故こんな夢をみたのかも分からない。


只の夢だと流せばいいだけのことかもしれないが、どうにもこの矛盾した記憶の夢はビライトをざわつかせた。



(考えても仕方ないか…明日はヴォロッドさんとの決戦だ。今はそこに集中しなきゃ。)


ビライトは今はとりあえず考えないようにした。

だが、ビライトには前にも眠っている時に誰かに語りかけられるようなことが何度かあった。


ビライトの中には何か眠っているのかもしれない。

キッカにも何かがある。イビルライズがキッカの身体を奪った。そしてキッカはシンセライズとも何か関わりがある。

ビライトとキッカは、アトメントの言うように世界にとって、何か重大な役割を抱えているのかもしれない…




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次回のDelighing World!!!



ボルドーだ。


突然ワービルト兵から知らされたドラゴニアの危機。

ヒューシュタットがドラゴニアに迫っている。

あと数日のうちにドラゴニアが襲われちまうかもしれねぇ…!

ヴォロッドの手配により高速ドラゴン便でアルーラと共にドラゴニアに向かうことになった俺様とビライトたち。


しかし辿り着いた時には既にドラゴニアの町は炎に包まれていた…!

許せねぇ…よくも俺様の国を…俺様の家族を…!


そしてドラゴニアの上空に飛ぶのは死んだはずのアイツだった。

ヒューシュタットは死者を呼び起こす技術までもってやがったのか…!


だが、俺様は絶対にこの国をこれ以上やらせねぇ…!




今、ドラゴニアの未来を守る戦いが始まる。

次回、第8章。ドラゴニア防衛戦編~其の命懸け、竜は舞う~。



みんな、力を貸してくれ。この国の未来を。家族を。愛する者を守るため。

俺様は今こそ、王として戦場に立つ。

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