06.ジュリエッタの特訓
何十日?何週間?ぶりの食事だろうか・・・。
私は姿勢矯正を不眠不休で特訓しマスターした。
次は絢爛豪華なものがテーブルの上に並べられている。
食事作法とのこと。
この世界の食事は現代世界の洋食・・・といった感じでフォークとナイフ的なものを使って食事をする。
ジュリエッタから・・・・
「ゆきち様の世界では分かりませんが・・・・この世界では・・・」
といい、私の目の前に右手を出して指を1本立てる
「1:音を立てて食事をしない」
指を2本、3本と増やしながら
「2:左手にナイフ、右手はフォークとスプーン)」・・・・⇒前の世界と違う
「3:お皿には触らない」
「4:食事は侍女であるアリスが運んできますので順番に優雅に食事をしてください。」
私はジュリエッタの指をみながら
(へえ、2番は人差し指と中指の”Vサイン”ではなく、親指と人差し指なんだ・・・)
と思っていると・・・・
「聞いてますか!ゆきち様」
ジュリエッタが私の顔を覗き込んでいる。
説明が終わり、アリスによって食事が運ばれてくると・・・
いい匂いに、頭がフラフラして空腹に耐えられず・・・・。
前のめりになり、口に放り込む・・・
パン!パン!と手を叩く音。私の手が魔法で止められ動かなくなる。
「礼儀作法の練習です。」
とジュリエッタより冷たい視線。
「空腹感に耐えられませんでして・・・」
私はと肩をつぼめて小さくなる。
ジュリエッタは「パチン」と指を弾く・・・。
すると私の中にあった空腹感を通り越した飢餓感はなくなり・・・・手も自由になる。
「ジュリエッタ様、ありがとうございます!」
私は冷静さを取り戻し・・・作法に注意しながら落ち着いて食事ができる。
異世界でも味付けに問題無し!全てがおいしい!!。食が進みます!
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ジュリエッタより食事が運ばれてきた際等の注意点を聞きながら間違いがあるとやり直し・・・を繰り返すと・・・。
生まれながらの性分で食事を残すことできず食べてはいるが・・・・空腹の後は満腹地獄!
その後、何度ものやり直しで・・・流石にこれ以上は食べられない。
「ジュリエッタ様、満腹で・・・・」
とジュリエッタに訴える。
ジュリエッタは
「ふう」
とため息をつき指を弾く・・・。
「これで大丈夫です。最初から食事の作法の確認をしましょう。」
今度は満腹中枢を止めたのか満腹感がなくなったが・・・・
お腹がありえないほど膨らんでいる。これは消してくれないらしい・・・。
食べるさせられる状態!フォアグラのアヒルだ。
そんなヘロヘロな私と違い、ジュリエッタは落ち着いたもので、疲れた様子は一切ない。
「ジュリエッタ様も私と一緒に不眠不休で特訓に付き合っていただきましたが大丈夫でしたか?」
と隣で食事をとっているジュリエッタに話しかける。
「私は大丈夫です。」
アリスに入れてもらったカップを口につけながらさらっとジュリエッタは答えた
「ジュリエッタ様だって空腹や睡魔、疲労感などあると思うのですが・・・・」
「大丈夫です。私の空腹や睡魔、疲労感などはゆきち様に”下げ渡し”いや”譲渡”しましたので・・・」
「え・・・・譲渡?」
「はい、主従契約により、私の能力などをゆきち様に渡すことができるのです。」
「それでジュリエッタの睡魔や空腹感、疲労感を私に押し付けたと・・・・。」
「ゆきち様!”押しつけ”では無いです!”ゆきち様の特訓を効率よく行う為、仕方なく譲渡”です。」
とジュリエッタ。
「そのお話では・・・・私に礼儀作法などの能力を譲ってくれれば特訓などせずとも私がマスターできたのでは・・・・」
「まあそうですね」
と笑顔のジュリエッタ。
可愛い顔して恐ろしいことを”しれっと”答えてくれる。
「特訓は無意味だった?」
と私。
「違います。」
とジュリエッタ。
「特殊能力は譲渡できませんし、魂に色々と刻むこともできません!それでは意味がないのです。」
「意味?」
「はい、意味がありません!」
「ジュリエッタ様、意味とは・・・」
「我々の希望で憧れでもある勇者ゆきち様がこんな些細なことを気にされるとは・・・・大丈夫です!意味など知る必要もありません!大丈夫です!」
と断言するジュリエッタ。
大丈夫が2回続いたよ・・・・。
ですよね~その答えになると思っていました!
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「さあ、ゆきち様、食事がすんだら運動です。」
といい、ジュリエッタが立ち上がる。
「ジュリエッタ様、満腹になりまして・・・動きにくいですし、睡魔も・・・・」
と私。
ジュリエッタはめんどくせーといった感じで胸の高さまで手をあげ、「パチン」と指を弾く・・・・。。
まあ!なんということでしょう!少し前は満腹で膨らんだお腹はあっという間に引っ込み、今は空腹感を通り越した飢餓感に襲われる。
こんなビフォーアフターは要らない!
「さあ、次は走りましょうか?姿勢を意識しながら5日程走って次はダンスでもいかがでしょうか?」
「え・・・5日?」
「はい、5日では少なかったですか?では20日にしましょう!」
しれっとジュリエッタ
・・・・4倍かよ!逆らうとカウントが増えるようです。
ジュリエッタが最恐と言われることがわかってきました。(魂で・・・)
外見にとらわれてはいけない!
ぴろりーん
勇者ゆきちのレベルが3になった。
ヒットポイントが上がった。
礼儀作法を覚えた。
飢餓感・睡魔等苦しみへの耐性が上がった。
皆さんも契約終結の際はリスク等考えて良く内容を確認して契約してください