表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病床記  作者: 中川大存
9/11

入院5日目――「憧れの食事」


5日目朝、血液検査。

結果、それなりに症状が落ち着いてきたと認められ、点滴のみの絶食からの脱却が高らかに宣言された。

安倍首相の「戦後レジームからの脱却」よりも感動した。


昼。

ついに食事のレビューができるようになったわけである。ボールペンで描かれたお膳の内訳のスケッチでもあれば本格的に紀行文っぽくなるのだが、残念ながら紙がない。


本日の昼食――

重湯200g

お吸い物(具なし)

りんごか何かの果実系の味がついたとろみ状の液体

ヨーグルト(既製品、カップ)


全皿一色の、咀嚼感ゼロのメニューである。まあ腸に負担をかけないためなので仕方ない。

重湯はなんというか、お粥味のお湯、といったところ。

具なしお吸い物は、正直言ってすごく美味しかった。昆布だしが空っぽの胃に染み渡るのを感じた。

とろみ状の液体はよくわからない。

ヨーグルトは久々に給食気分を味わえた。


5日振りの食事は、冗談でなく感動してしまうほど充実感があった。

飲み込んだものが食道を滑り落ち、胃が暖かくなる感覚。

食事はやはり口から摂らねば、と再確認したことであった。

ただ、しばらく放置されていた胃と腸が今回の食事により本来の仕事を思い出したらしく、これ以降ことあるごとに「仕事を寄越せ!」のシュプレヒコールが鳴り止まなくなるのだが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ