入院5日目――「憧れの食事」
5日目朝、血液検査。
結果、それなりに症状が落ち着いてきたと認められ、点滴のみの絶食からの脱却が高らかに宣言された。
安倍首相の「戦後レジームからの脱却」よりも感動した。
昼。
ついに食事のレビューができるようになったわけである。ボールペンで描かれたお膳の内訳のスケッチでもあれば本格的に紀行文っぽくなるのだが、残念ながら紙がない。
本日の昼食――
重湯200g
お吸い物(具なし)
りんごか何かの果実系の味がついたとろみ状の液体
ヨーグルト(既製品、カップ)
全皿一色の、咀嚼感ゼロのメニューである。まあ腸に負担をかけないためなので仕方ない。
重湯はなんというか、お粥味のお湯、といったところ。
具なしお吸い物は、正直言ってすごく美味しかった。昆布だしが空っぽの胃に染み渡るのを感じた。
とろみ状の液体はよくわからない。
ヨーグルトは久々に給食気分を味わえた。
5日振りの食事は、冗談でなく感動してしまうほど充実感があった。
飲み込んだものが食道を滑り落ち、胃が暖かくなる感覚。
食事はやはり口から摂らねば、と再確認したことであった。
ただ、しばらく放置されていた胃と腸が今回の食事により本来の仕事を思い出したらしく、これ以降ことあるごとに「仕事を寄越せ!」のシュプレヒコールが鳴り止まなくなるのだが。