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病床記  作者: 中川大存
5/11

入院2日目①――「それは忘れた刹那に襲い来る」



なにがって、空腹感がである。


絶食の所感としては、思った以上に平気、といったところだ。

「少しはしんどいけど……全然いける!」的なアレではない。しんどくもないのだ。

点滴というものがこれほど効果覿面だとは思わなかった。


点滴の内訳は、抗生剤が100ml×朝昼夕。それに加えて、維持液なるものがノンストップで僕の体に注入されつづけている。500mlバッグで、尽きたら看護師さんが来て新しいのに代えていく。

維持液の成分を見ると、塩化ナトリウム、塩化カリウム、L乳酸ナトリウム、ブドウ糖。ポカリみたいな中身である。というか作ってる会社は同じ大塚製薬だし、ポカリは手術終わりの医者が余った点滴飲んでたのをヒントに生まれたとかなんとか、カンブリア宮殿で見た気がするし、さもありなん。


まあつまり――僕は日がな一日ポタリポタリと垂れるポカリスエットを舐め続けることで長らえていると、そういうことになるわけである。

それでも腹は空きそうなものだが、そうでもないのだ。

ただ、まったくのゼロでもない。

タイトル通り、それは安心していると突然現れ、発作のように胃袋をきゅんきゅんさせて去っていく。


これが実に困る。

そうなってしまうと食べ物のことばかり考えてしまう。

とりあえず、邪念を払うがごとくに「退院したら食べるものリスト」を作ったりしている。

絶食、断食というと、極限の飢餓状態の果てに見える神秘体験、みたいのを想像していたのだが、なんでこんなケチな囚人のような真似をしているのか、僕にはまるでわからない。

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