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病床記  作者: 中川大存
3/11

入院1日目②――「いざ入院」



点滴を二本ばかり打ってもらうと、ずいぶんと気分が落ち着いた。

一本目は生理食塩水、二本目は抗生剤である。二本目が効いたのだろう、ぎりぎりと差し込むような脇腹の痛みが和らぎ、それも間をおくようになってくれた。

一息ついていると、看護師さんが入院のしおり的なものを持ってきて、入る部屋が決まったと告げた。

まだ入院しますと明確に意思表示をしたわけではないのだが、入院しないなどという選択肢はハナからないほどに切迫した状況なのだろうか。


できれば病室は個室が良かったのだが、そういうのは選べないシステムらしい。

連れていかれた部屋は四人部屋で、入居者は一人。痩せたお爺さんだ。

そのお爺さんと逆サイド、窓際のベッドが僕にあてがわれた場所らしい。

物憂げに窓の外を眺め、「あの最後の一葉が落ちたとき、私も死ぬの……」と一発カマしてやろうかと思ったが、残念ながら窓の外は住宅街。見えるのはコンクリートの建造物ばかりで、木など一本も見えないのであった。

おのれ、文明。


さて、ここで病室の個人スペースの様子を簡単に紹介する。

ベッドがあり、右手側にはテレビの置かれたサイドボード的な棚がある。

テレビは専用のカードを別途買わないと見られないタイプらしい。ケチくさいことだ。

携帯で動画は見られるし、おそらく利用しないだろうと思う。先のことはわからんが。

棚の最下段にはちょっとした冷蔵庫がついている。

ベッドには照明とナースコールのスイッチがついていて、頭とかの高さを上下できるタイプのやつだ。

そして、大方のイメージ通り、個人スペースはカーテンで区切られている。薄緑のイメージがあったが、ここはピンクだった。


早速携帯の充電を準備したり、マイペースに居場所を整えていると、両親が着替え等を持ってきてくれた。

病状を説明する。発症してから今まで僕の様子が大して平素と変わらなかったらしく、驚いていた。

そんなに平気そうに見えたのか、それとも普段から病人のような立ち居振舞いなのか……?

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