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病床記  作者: 中川大存
10/11

入院6~10日目――「無責任療養」



病床記、と銘打っておきながら更新が滞ると、ごく普通の印象として「……死んだのか?」と思われていそうで困るのだが。

どっこい、すこぶる暢気に生きている。


更新が滞った理由としては、単純に書くことがなかったのである。

思いっきり事前に予測できたことであって、そこを突破する心算あってこそ書くのに踏み切れよ、と思わなくもないのだが、なにしろ刹那的に生きているものだから仕方がない。


今日、ようやく退院の予定が立った。

やっとか、という開放感の裏側に、この連載というもはや不良債権と化した存在を想起せざるを得ず、若干のテンション降下は否めなかった。


まあそんなわけで、夏休みの日記を後追いで書くがごとく未記載分を振り返ってみる。


一言でいうと、俗世と隔離された、というところだろうか。

食事以外は特にするべきこともなく、ひたすらブリョウを慰めるばかりの日々であった。

ポケモン リーフグリーンはリーグ優勝し、嫁ポケのハピナスたんはレベル70を越えた。

さぞかし小説執筆も捗ったことだろうと思われそうだが、残念ながらまったく進んでいない。

執筆用のノートPCも家族に持ってきてもらっていたが、定期的に巡回してくる看護師さんやら同室患者の人やらに気兼ねで広げることすら数度しかなかった。

せめて構想だけでも、と思ったが、僕は書く態勢に入らないとアイデアが出てこないタイプの人間なのでこれもうまくいかない。

ま、仕方ない仕方ない――とさっさと無責任に諦め、一日の最大のイベントである夕方のゲゲゲの鬼太郎再放送を観る僕であった。

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