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超短編

ストーカーの相談

作者: ミーケん

【Twitter企画38作目】

 あぁ、好きだ。大好きだ。

 助けてほしい。

 このままじゃ殺しちゃうよ。

 なんで、僕を見てくれないの?



 ある日の思い出を僕は回想する。

 ある少女の相談を僕は聞いていた。

 内容は誰にでも当てはまるような悩みだ。でも、その時の僕からしたらその悩みはどうすることもできなかった。

「ストーカーがいるの」

「ストーカー?」

 少女の話によれば後ろからの視線を常に感じるんだそうだ。学校でも帰り道でも。ときには部屋でくつろいでいるときにでも感じるんだそうだ。

「なにか心当たりはないの?」

「ある」

 それはクラスの男子らしかった。慣れないクラスに戸惑っていた少女に1番最初に話しかけてくれた男子だった。それから別の友達もできたが、1番話をするのは彼だったらしい。

 彼の話はとても面白く、常に少女の興味の中心を捉えていたそうだ。昨日みたテレビの話題や、最近読み始めた小説の話など。必ず彼は少女の興味を誘う話をし続けていたらしい。

「それで?」

「でも、視線を感じる前の日に」

 その日は学校で、いつものように他愛もない話を彼としていたんだという。しかし、その会話の最中に彼は言ったらしい。

『──あ、そうそう。あの虫机の下行っちゃってさ──』

 虫。そう彼は言ったらしい。そして、その虫は死んだのだと。

 その日の夜。少女の家ではある騒ぎがあった。キッチンに虫が侵入し、その日のごはんを荒らして、机の下で死んでいるの発見するというなんとも平和な騒ぎだ。あの時少女は思ったらしい。

『なぜ、机の下でしんだことを知っているのか』と。

 その時からだという。この部屋には何かがいるんじゃないか?あの机の下では何かがいまも自分を狙って目を光らせてるんじゃないか。

「机の下はみたの?」

「もちろんみたよ。でも」

 警戒を怠らずに慎重に机の下を覗いた少女の目に入ったのは紛れもなくなにもないただ埃が少したまっている床だけだった。

 それで、少女はだれもいなかった安心感に捕らわれ、それから数日間は視線なんてものは感じることもなく、ただただ平和な日常を過ごしたらしい。

「よかったじゃん」

「でも、そうじゃなかったの」

 数日後。少女のもとにある手紙が届いた。ポストの中に無造作に入れられた白い封筒。入っていたそれには消印はなく、小さく少女の本名が書いてあっただけだったらしい。

 それを朝早く見つけた少女の母は友達からの手紙とでも思ったのか中身を確認せず、少女に手渡したんだそうだ。『友達から手紙が届いてるわよー』と。

 少女は本当に手紙が届いているのだと思い、それは誰からだろうと想像をしながらその封筒を開いたそうだ。

 しかし、そこに入っていたのはこれまた白い便箋で、そこには何かのサイトのURLが書かれていたらしい。

「サイトは見たの?」

「怖かったけどね」

 そのサイトらしいURLに飛ぶとそれはサイトではなく、ネットのクラウドのひとつだったらしく、どうやら送り主のクラウドだったそうだ。

 少女はクラウドというものは聞いたことがあったが、使い方は知らなかったはだけにいろいろと送り主のクラウドを探っていったらしい。

「それで?なにか収穫はあったの?」

「最悪の収穫があったわ」

 しばらく探っているとクラウドに保存されている送り主の日記が出てきた。少女は他人の日記を覗くことは失礼だとはわかっていたが、それでも、その時の少女にはそんなことなど眼中に無かった。少女の興味はどんな日記なのか。ではなく、クラウドは日記も保存できるのか。になっていためであるのだそうだ。

 そして、その日記を開いた少女のみた日記は送り主の平和な日常を綴るものではなかった。

「へぇ?じゃあどんなことが書いてあったの?」

「それは」

『〇月〇日

 **ちゃんは今日も可愛い。後ろに縛ったポニーテールが元々可愛いその外見をより一層引き立てている。

 しかも今日はいつもより僕に話しかけてくれた。そして今日は**ちゃんがすきな食べ物を知ることができた。

 **ちゃんは帰るとすぐに本を読み始めてしまった。僕はもっと話したいのに用事があると言って帰ったのはこれだったのか。よし。あとであの本を買わないと。僕よりも優先するんだからとても面白いに違いない』

「これは」

「**ちゃんって私の名前が書いてあったのよ。しかも」

『お風呂に入る**ちゃんを見た。**ちゃんはなにも着てない姿も可愛い。真っ白な肌。傷ひとつない足や手。あぁ、大好きだよ**ちゃん。可愛いし美しい。僕の女神様』

「………」

「なんか私を過剰に信頼みたいな信仰みたいなことをしてて」

『もう、許せない。あんなやつとなんで話してるんだ。**ちゃんはずっと僕と話していればいいだけなのに。なんであんな人間の形をしただけのごみに僕が遅れをとらないといけないんだ。

 いや、そもそも**ちゃんが悪いんだ。**ちゃんを正してあげないと。きちんと僕とだけ話すような正しい**ちゃんにしないと僕の女神様が汚れちゃう』

「…………」

「こんなことを書いてあるのよ?」


 僕はそうやって女神様のことを思い出していた。

ども。ミーケんです。

今回はストーカーについての話でした。

みなさんはストーカー被害にあってしまったことはありますか?

ちなみに僕はありません。

ストーカーというのは卑劣で、許せるものではありません。

ストーカーの被害で外に出られなくなるといったこともあると聞きます。

不自然な手紙。不審な視線。

ひとりで抱え込んではいけません。

まずは相談から始めましょう。

相談は信用のできる人を選んでください。



解説について。

活動報告でしますので、よかったら見てください。



では、また次回の短編小説で。

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