第一章「異変」
どうもつよちーです。毎度お馴染みの挨拶です。結構前の話ですが初めてバレンタインチョコを貰いました。義理ですけど。まあそれでもすごく嬉しいですね。僕と同じ小説を書くのが好きな子ですね。まあその子は自己満足で書いているのでネットに投稿とかは一切してないのですけど、まあ面白い小説です。いろんな意味で....。それでは第七話、どうぞ。
胸が激しく脈打つ。奈美は胸に手を当て心を落ち着かせようとするがどれだけ手を当てても一向に落ち着く気配がない。横目で亮太のことを見つめる。蓮、そして春香と楽しそうに談話していた。
「奈美は友達って紹介してたけど、本当はもう付き合ってるんじゃないの?」
唐突に春香がそう言った。奈美は少し驚いて彼女の顔を伺った。意地悪な笑顔を浮かべてそれを奈美へ向けていた。彼女は自分をからかっているのだろうと瞬時に理解した。それに気付いていない亮太は顔を赤くして
「ま、まだ付き合ってないですよ!」
と焦りを声に乗せて叫んだ。墓穴を掘ったなと奈美は頭を抱えて呆れた。
「まだ?てことはこれから付き合うつもりかな?」
「それくらいにしてやれ春香。亮太くんが困ってるだろ」
奈美は亮太の顔を見た。耳まで顔を真っ赤にしていた。それを見て彼女も何故か顔が赤くなり咄嗟に俯いて顔を隠した。
「ごめんね、亮太くん。からかっちゃって」
「いえ....別に何ともないですよ」
亮太は照れ臭く笑った。その後、彼らは適当に駄弁りながら食事を終えた。
「ご飯ありがとうございます。すごく美味しかったです」
「じゃあね。改めて奈美をよろしく」
「こちらこそよろしくお願いします」
そう言って亮太は奈美に手を振り家を出て行った。しばらくした後、奈美も家を出て亮太を追いかけた。小走りで亮太の元へ行く。彼に追いついた頃には少し息が上がっていた。
「加藤さん?どうしたの?」
そんな彼女を心配して彼はそう質問した。
「....見送りに来たの」
「それなら最初に言ってくれよ」
「ごめんなさい....」
彼と一緒にいたい、という気持ちが彼女の中で芽生える。亮太は少し笑って
「ありがとう、俺ももう少し加藤さんと一緒にいたかったんだよね」
と言った。それを聞いて奈美は顔を上げて驚いた。自分と同じことを感じていたんだと彼に親近感を抱いた。
「私も佐々木くんと一緒にいたかった」
彼女がそう言った瞬間、亮太は顔を赤くして彼女から目を逸らした。会話が途切れ静寂が生まれる。二人の足音が五月蝿く感じるくらいに静かだった。
「今日はありがとう....」
ふと彼が彼女にそう言った。
「俺の家さ、両親が共働きだから家では普段一人なんだ。だから今日みたいに家族で食卓を囲んで一緒に食事することなんてなかったんだ」
奈美は亮太の家庭事情を切ない表情で聞いていた。彼は彼女の方を向いて満面の笑みを浮かべた。
「だから今日は本当にありがとう」
彼女も彼に笑顔を向けて
「いつでも食べに来ていいよ」
と言った。
「じゃあまたいつかお願いするよ」
互いに笑顔を浮かべる。そして互いにその笑顔に惹かれていった。
「ここまででいいよ。ありがとう、楽しかった」
「うん、私も」
彼は彼女に手を振って背中を向けた。彼のその大きな背中を奈美は見えなくなるまで見送った。
教室の扉を開けて奈美の席を見つめた。彼女はまだ来ていない。亮太は大人しく自分の席に荷物を置いて奈美が来るのを待った。
「おはよう」
挨拶をされ、亮太は笑みを浮かべて振り返った。そこにいたのは香だった。
「香か、おはよう」
無意識に浮かべた笑みが薄らぐ。それに気付いた香は少し悲しい気持ちになる。
「昨日は体調崩しちゃってさ....」
「やっぱりか。今はもう大丈夫なのか?」
「うん....大丈夫だよ」
香の目の奥に映る寂しさに鈍感な亮太は気付かない。香は自分の席に荷物を置きに行き再び亮太の側まで行った。
「おはよう、佐々木くん」
奈美が亮太に挨拶すると彼はあどけない表情を浮かべ嬉しそうに笑った。
「おはよう、加藤さん」
香は奈美を冷めた表情で見つめる。奈美が香の方を向いた途端その表情を消した。
「えっと....」
「こいつは高嶺香、俺の幼馴染」
「高嶺さん....佐々木くんとすごく仲が良さそうだね」
香は笑みを浮かべて酷い嘘を吐いた。
「だって私たち付き合ってるんだもん」
それを聞いた亮太と奈美は二人して驚き唖然とした。沈黙が生まれ、三人に気不味い雰囲気が漂う。
「....なんて冗談だよ。本気にしないで」
香は笑って誤魔化した。二人は苦笑いを浮かべていた。奈美の存在を忌々しく感じる。そんなこと思うなんて最低だなと自分を罵りながらも彼女はそれをやめられなかった。
「加藤奈美さんだっけ?よろしくね」
「うん....よろしく」
奈美は少し戸惑いがちに彼女に手を差し伸べた。香はその手を掴んで握手した。奈美の手は細くて冷たかった。
「じゃあ私、自分の席に行くね」
そう言って奈美は二人に手を振って自分の席へ向かった。亮太は香の服の袖を掴み、彼女にしか聞こえないように小声で
「なんだあの嘘は、お前らしくないぞ」
と言った。香は袖を掴む腕を払い切ない表情で亮太を見つめた。
「私のこと何にも知らないくせに....」
彼女は寂しく席へ戻っていた。亮太はその背中をただじっと見送った。最近香の様子がいつもと違うと、彼はようやく気付いた。香は席に着き、机に顔を伏せた。そして小さな声で
「この朴念仁....」
と呟いた。香の心はズタボロに傷ついていた。何年も抱いた恋が実らない辛さを彼女は背負っている。瞳から涙が溢れそうになるのを彼女は必死に堪えた。それを見ていた奈美は、香が亮太に抱いている想いに気付いた。
晴れていた空は、正午を過ぎると暗く曇り出しやがて雨を降らした。淀んだ湿気が広がった昼休み、亮太は香と奈美と一緒に昼食を食べようと誘おうとしたら、香は颯爽とどこかへ行ってしまった。仕方なく奈美とだけ食べようと彼女の席へ行き近くの席の椅子を寄せて座った。彼女は彼に優しく微笑んだ。
「今日も手作り?」
「うん、そうだよ」
そう言って奈美は弁当箱を包む布を解き蓋を開いた。
「ねえ佐々木くん」
「なに?」
彼女の顔は真剣な表情だった。それを見て亮太も世間話のような軽い話ではないというのを察した。
「高嶺さんと....本当に仲が良いの?」
それを訊かれ、彼は咄嗟に返答できなかった。
「....最近あいつの様子がおかしいんだ」
「そうね、相当病んでるんじゃないかな」
「病んでる....?」
「高嶺さんの気持ちに、しっかり向き合いなさいよ」
言葉の意味を真まで理解は出来なかったが亮太は頷いた。
「じゃあ、今日は香と一緒に帰ってみるよ」
「そうしたほうがいいよ」
香の気持ちに向き合う。彼はその言葉を何度も頭で復唱した。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
リアルで鈍感な人っているんですかね。まあ僕も、根拠がないことにはあまり自信を持ってそうだとは言えませんが。好きな人が朴念仁だったときの気持ちってどんな感じなんですかね。いくらアプローチしても相手には気持ちに気付いてくれないときの辛さ。憶測に過ぎませんが結構痛いものでしょうね。
感想や指摘など頂くと嬉しいです。
続きを楽しみにしてくれると更に嬉しいです。
これらに登場する人物、地域、団体は全てフィクションです。




