第一章「届かぬ想い」
どうも、友達に僕の小説を読ませたら「すごくピュアだね」と言われました。自分でも納得しました。友達の小説はハードな内容ばっかりなので「確かに自分はピュアだな」って思いましたね。エッチな描写とか恥ずかしくて無理です。書くとしても確実に控えめな表現になるでしょうね(笑)それでは第四話、どうぞ。
体を揺さぶられ目を覚ます。顔を上げると隣で先生が立っていた。
「もう夕方よ」
亮太はいつの間にか眠りについていた。先生に謝りベットの方を見ると奈美がいなかった。
「加藤さんなら帰ったよ」
先生にそう伝えられ亮太は少し寂しそうな表情をした。
「あ、それと佐々木くんに渡してって」
そう言って先生は紙を取り出し彼に渡した。折り畳まれた紙を広げると、奈美から亮太へ宛てた手紙が書かれていた。
『今まで冷たく接してごめんなさい。でも、貴方に友達になってくださいって言われたときはすごく嬉しかった。毎日学校には来れないけど、来週からよろしくね』
内容を読み、亮太は喜びと嬉しさが心の中に溢れてきた。不意に笑みがこぼれる。
「ありがとうございます、先生。じゃあ僕はもう帰りますね」
「はい、気をつけてね」
先生に礼を言い彼は保健室を出た。昇降口に着くと見覚えのある姿があった。香が蹲っていた。
「香?」
名前を呼んでも反応がない。彼は彼女の体を揺さぶった。彼女はゆっくりと顔を上げ亮太に気付くと嬉しそうに笑った。
「亮太....」
「ずっと待ってたのか」
彼女は頷き立ち上がった。そしてじっと亮太を見つめる。その目は愛おしいものを見る目だった。亮太はそっとそれから目を逸らし
「待たせて悪いな....早く帰ろうぜ」
と言った。彼女はそっと彼の横に並んだ。ふと彼は空を見上げた。太陽は沈み地平線から漏れた光が暗い藍色の空を仄かに照らす。街はすっかり暗くなり街灯が二人を照らした。
「ねえ亮太....」
ボソッと彼女が彼の名を呼んだ。
「ん?」
「明日、やっぱり駄目かな?」
そう言われ彼は思い出した。明日は土曜日、彼女から一緒に遊びたいと言われていたのだ。
「大丈夫、特に予定ないから」
そう言うと彼女は驚き彼を見つめた。
「本当に?」
「本当だよ」
それを聞き彼女は嬉しそうに笑った。
「よかったぁ....」
「そんなに嬉しいのか?」
「うん」
「そうか....」
二人の間に静寂が生まれる。聞こえてくるのは風の音と彼らの足音だけ。その静寂がもどかしくなり香は亮太に話しかけた。
「明日の予定、どうする?」
唐突だったので彼は少し戸惑う。
「あぁ、そうだな....まあ帰ってからメールとかで決めればいいんじゃないか?」
「そうだね」
彼女は嬉しそうに前を向いて歩く。好きな曲を鼻歌で歌いながら彼に微笑んだ。亮太も微笑み返し真っ暗になった夜の街を歩き続けた。
目覚ましの音が耳に五月蝿く鳴り響く。目を擦りながら体を起こして亮太は目を覚ました。今日は香と遊ぶ日。彼は部屋を出て洗面所で歯磨きをし朝食を食べた。部屋に戻り服を着替え、時計に目をやる。香と会うのはまだまだ先だったが、他にやることもないので彼は家を出て待ち合わせ場所へ向かった。朝の寒さが肌に伝わる。空には太陽が顔を出していたが、それほど高くないので地面は住宅街の影に隠れている。しばらく歩くと待ち合わせ場所に到着した。時間が経つに連れて暖かくなり風を涼しく感じるようになった。
「お待たせ!」
亮太の背後から元気の良い声が聞こえてきた。彼が振り向くとそこには香がいた。
「おはよう、香」
「まだ待ち合わせ時間じゃないのに早いね」
「他にやることもないしな」
「そうだね」
愛想笑いをして返事する香、亮太が彼女から目を離すと彼女は切ない表情で彼を見つめた。彼女の心は深く傷ついている。それが誰のせいなのか彼女は分かっているが、相手には自覚がない。だから彼女は仕方のないことだと我慢した。
「これからどうしよっか」
彼らは待ち合わせ場所や時間等しか決めていないのでこれから何をするのかはお互いに悩んでいた。
「適当にどっかの喫茶店で駄弁りながら時間潰そうぜ」
「そうしよっか」
彼女は笑みを浮かべながら彼の横に並び歩き始めた。少し背の高い亮太を彼女はほんの少し首を上げて見上げた。彼と手を繋ぎたいと思い彼の手に目をやったが、その手はポケットの中に隠れていた。
「ね、ねえ亮太....」
「ん?」
彼女は少し戸惑い、顔を赤く染めながら恥ずかしそうにこう言った。
「手....繋いでもいいかな....?」
彼は一瞬驚いた表情をしたがすぐに笑って
「ああ、別にいいよ」
と言ってポケットから手を出して彼女の手を握った。彼女も内心驚きながらも嬉しい感情に包まれた。喫茶店に着くと彼は彼女の手を離した。それに香は少しだけ寂しさを感じたが、今はこれで十分だと自分に言い聞かせ堪えた。テーブルに座り適当に注文を済ませ香は亮太に質問を投げかけた。
「加藤さんとは、どうなったの?」
彼はその質問に嬉しそうに即答した。
「打ち解けたよ。やっぱり俺と似てたよ」
奈美のことを話す亮太はどんなことよりも楽しいそうな表情をしていた。香は相槌を打ちながら心の中にある悔しさを表に出ないように必死に堪えた。
「週が明けたら加藤さんに連絡先聞くつもりなんだ」
「そっか、仲良くなれるといいね」
「ああ、そうだな」
あの手紙を読んだ時の喜びを思い出したかのように彼は嬉しそうに笑った。注文した飲み物が届くと彼はすぐにグラスを手に取り一口飲んだ。香はそのグラスを渋々眺めていた。
「どうした?」
「え?」
寂しい表情をする彼女を彼は少し心配した。彼女はすぐに笑顔を作って誤魔化した。
「別になんでもないよ。それよりも今日は亮太と遊べてすっごく嬉しいよ」
「そうか、ありがとな」
彼女はグラスを手に取り一気に喉に流し込んだ。悔しい気持ちがどんどん心に募る。誰よりも、奈美よりも彼の側にいるはずなのに彼は彼女のことを恋愛対象として見ていない。辛い恋愛だけど、彼女は絶対に諦めないと強い決意を抱いたが、心は既にボロボロだった。
彼らは喫茶店で駄弁り続け、気付いた頃にはもう夕方になっていた。彼は時計に目をやり立ち上がった。
「そろそろ帰ろうか」
「うん....」
会計を済ませ二人は喫茶店を出る。亮太は香に手を差し出した。その行動に彼女は意図が掴めず首を傾げた。
「手繋ぐんじゃないのか?」
彼女はその手を掴もうとしたが寸前でやめた。
「別にいいよ。恥ずかしいし」
「そうか」
彼は手をポケットの中に入れて歩き出した。彼女はポケットに隠れたその手を寂しそうに見つめていた。
「また昔みたいに徹も誘って三人で遊びたいな。出来れば加藤さんも一緒にしたいけど」
「そうだね、絶対楽しいよ」
「だよな」
彼は無邪気な子供のように笑った。彼女はそこで彼が自分のことをどう思っているのか理解した。亮太は香のことを女の子として見ていない。ただの一人の幼馴染として見ている。だから、彼は彼女に特別な感情を抱かない。友達として大事に思っているがそれを超える感情を彼女には抱かない。
「じゃあ俺はこっちだから」
「うん、またね」
「おう、じゃあな」
そう言って彼は彼女に手を振り彼女と別れた。彼女も彼が見えなくなるまで手を振っていた。そして彼が見えなくなると、そっと涙を流して静かに泣き出した。嗚咽しながら街灯に照らされた夜道を一人寂しく歩いた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
香の叶わぬ恋。亮太が奈美に向ける感情に彼女は酷く嫉妬をしています。皆さんは嫉妬をしたことがありますか?僕は勿論あります(笑)それで自分はあの子が好きなんだなと自覚することもあるので。好きな子が自分以外の異性と喋っているところを見ると何とも言い難い感情を抱きますよね。
感想や指摘など頂くと嬉しいです。
続きを楽しみにしてくれると更に嬉しいです。
これらに登場する人物、地域、団体は全てフィクションです。




