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Eid-アイト-  作者: つよちー
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第一章「交差し始めた想い」

どうもつよちーです。毎日投稿する際は予約投稿をするので、前書きや後書きのネタがなくなるんですよね。というのも一つのネタなんですが、これはもうネタがないときに使う最終手段のネタなので次までネタを考えなければ。それでは第二話をどうぞ。

「えっと....いきなり何なの?」

唐突に名前を尋ねた亮太に彼女は不信感を抱いた。彼はそんな彼女の気持ちに気付かず、彼女の名前を知りたいという衝動に駆られ彼の胸は今までにないほど高鳴っていた。そんな彼に圧倒され、彼女は少し躊躇いながらも自分の名前を名乗った。

「....加藤奈美よ」

「君が加藤奈美なんだ....」

そう言って彼は彼女の肩に手を乗せた。

「君のことが気になってたんだ。俺と友達になってくれないか?」

彼女は少し驚きながらもすぐに冷静になり肩に乗せた彼の手を払った。

「私は誰とも関わりたくないの」

冷酷に言い放った彼女の言葉は亮太の心に重く響き渡った。彼女は固まった彼を放って保健室の中へ入っていく。何か言い返そうとしたがタイミング悪く先生が戻り言いそびれてしまった。傷の手当てをしてもらいながら彼はずっと奈美のことを見ていた。彼女は亮太と一切目を合わせようとしなかった。彼女には何か事情がある。人と関わりたくないという事情が。彼はそう思っていた。彼にも一時期、奈美のように誰とも関わりたくないという気持ちに陥ったことがある。事故によってバスケットボール選手になる夢を諦めてしまった彼に、周りの人間は同情してきた。その同情が自分のためではないということを彼にはわかっていた。実際に体験したこともないのに自己満足のために同情する。それが彼は嫌になって周りの人間との関係を絶とうとした。だからきっと彼女も自分のような何かが過去にあったと彼は考えていた。彼が保健室を出るときに、もう一度彼女と目を合わせようと顔を見たが、彼女はこちらを少しでも見るような素振りを見せずに窓の景色を眺めていた。扉を閉めてグラウンドに戻りながら、彼はどうすれば彼女のあの硬い鎖を解くことができるのかを考えていた。グラウンドに戻った頃には授業はもう終わろうとしていた。


「亮太、大丈夫だった?派手に転んだって聞いたんだけど....」

教室に戻った亮太に心配そうに香が駆け寄った。彼は笑いながら

「まあ大丈夫だ。転んで怪我するなんて小学生以来だな」

と言った。それを聞いた香は安心したように笑った。

「よかった」

「転んだくらいで心配しすぎなんだよ」

そう言った彼に香は目を逸らしながら

「それは....大事な友達が怪我したんだから、当たり前でしょ....」

と恥ずかしそうに言った。

「そうか、ありがとな」

彼は笑顔で香の肩をぽんと二回叩いた。その肩に彼女はそっと手を添えて名残惜しそうに眺めた。

「終礼始めるぞ。そこの二人席につけ」

いつの間にか周りの生徒は席についていた。謝りながら席に戻る。その際に香は後ろを向いて亮太のことを見た。彼は今まで見た事もない表情をしていた。そしてただじっと何かを見ていた。彼女はその視線を辿ると、一つの空席に行き着いた。加藤奈美の席。それを見た瞬間、香の中のある気持ちが痛んだ。席に座りそっと彼女は自分の胸に手を添え、悲しい表情をした。


終礼を終え、周りの生徒はぞろぞろと教室を出て行く。自分も帰ろうと席を立つ亮太に香はいつも通り駆け寄った。

「一緒に帰ろ」

無言で頷き亮太と香は一緒に教室を出た。いつも亮太と香、そして徹の三人で下校しているのだが隣のクラスに徹は居なかった。先に昇降口で待っているのかと思い二人は教室を後にしようとした瞬間、亮太の携帯が着信音を発した。携帯を取り出し画面を見ると徹からメールが届いていた。

「部活だから先に帰れってさ」

メールの内容を香に伝えた。

「そっか....」

「行こうぜ」

携帯を鞄の中に入れ歩き出す。香は少し遅れて歩き出し亮太の隣まで少し足並みを早くした。昇降口で靴を履き替え校門を出るまで二人に会話はなかった。察しのいい香には彼に何があったか大体分かっていた。彼があんなに他人に興味を持つなんてこれまでになかったので、彼女は少し不安を抱いている。

「なあ香」

「えっ?なに?」

突然話しかけられたので彼女は少し驚いた。

「今日さ、加藤さんに会えたんだよ」

「そ、そうなんだ。どうだった....?」

彼女はドキドキしながら詳細を訊く。無意識に両手を握り胸の前に出していた。

「一目惚れした」

それを聞いた瞬間、彼女の歩みは止まった。しばらく歩いて立ち止まった彼女に気付いた亮太は振り返った。彼女の表情は酷く驚いていた。

「ど、どうした....?」

彼にそう言われ彼女は我に返り

「べ、別に何でもないよ。それにしても亮太が一目惚れするなんて、びっくりだよ」

と誤魔化した。素直に自分の気持ちを伝えられないでいる自分が少し嫌になる。

「友達になろうって言ったんだけど、誰とも関わりたくないって断られてさ」

「そうなんだ....」

「まるで昔の俺みたいで放って置けないんだよな....」

彼女は相槌を打たず黙って彼の話を聞いていた。彼女の心の中は複雑な感情になっていた。好きな人を応援する純粋な気持ち、そして自分勝手な卑怯な気持ち。彼女はふと空を見上げた。その空は雨が今にも降りそうな曇り空で、まるで今の彼女の心象のようだった。気が付けば電車に乗って最寄駅に着いていた。

「ねえ亮太」

「ん?」

「今度の土曜日さ....本当に駄目かな?」

咄嗟に出たその言葉。彼女はとても焦っていた。無意識に彼の袖を掴んでいる。彼はそれを少し意識して恥ずかしそうに彼女から目を逸らした。

「あぁ....出来るだけいけるようにしてみるよ」

「ありがとう」

そう言った彼女の顔は笑っていたがそれが心の底から出た笑顔ではないと亮太は一目で見抜いた。何かを焦っているように見えるが、彼女にそれを訊く権利は自分にはない。彼はそう思いあえて追求しなかった。

「じゃあ私こっちだから」

「おう、また明日な」

そう言って手を振り二人は別れた。


家に着いて部屋のベットに寝転ぶ。香はそっと机の上に置いてある写真立てを手に取った。そこには幼い頃の亮太と香が写った写真があった。

「....今伝えても駄目だよ....どうしたらいいのかな」

悲しげにそう呟く彼女の部屋は静寂に包まれていた。彼女は自分の携帯を取り出し徹に電話をかける。しばらくコールを繰り返して彼は電話に出た。

『お前が電話するなんて久し振りだな』

「ねえ徹」

『どうした?いつもそうだけど今回は飛び切り重要な用か?』

彼女の声を聞いただけで彼は状況を察してきた。彼女は少し間を開けて話を始めた。

「亮太が他の女の子のこと好きなった....」

返事はすぐに来ず、しばらく沈黙し電話のノイズ音が二人の耳に響いた。

あとがき


最後まで読んで頂きありがとうございます。

自分の好きな人が他の人を好きになってしまったことってありますか?少なくともこの小説を読んでる時点でそんな体験してる人なんていないでしょうね。僕なんか好きな人が恋愛に無関心な人しかいないことが大半です。

感想や指摘など頂くと嬉しいです。

続きを楽しみにしてくれると更に嬉しいです。


これらに登場する人物、地域、団体は全てフィクションです。

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