不自由な人達
「神主さん僕無茶苦茶強いけどまだ見習いなんですよ。何故?」
「現場の上の人にいいなよ。もう組織の上限関係分かってきてるでしょ?」
「いや、僕らの間しか分からない事あるでしょ?」
「そういう事ね。あのさ祐一。ちゃんと体使ってる?妖術に頼りすぎてない?」
「だって危ないでしょ」
「実はこれ外行くための訓練なんだよね」
「嘘?」
「嘘」
「何それー」
「いや今考えた…。でもこれ経験者は語るだよ?私は外の世界知ってるからね。改の人々どう思う?」
「と言われても」
「気の毒とかは思ってない。たださ多少は外の事知りたいでしょ?それを私達が教えてあげるのはある意味義務じゃないかと思うんだよ」
「いや、それはちょっと違うでしょ?生き返らせた責任?普通生き返らせてもらって感謝しない人間居ないですよ。ただ彼らはそれが子孫にも影響が及ぶってのがね」
「これに関しては私がとやかくいう事じゃないと思う。いろいろ思う所はあるけど口は出さないようにしてる。昔どうだったか?はしらない。でも結局生き返った人が妖怪退治やる事になるんじゃないかな?町の中で一定の割合の人間それをやるなら一族としてそれをやっていくのは不自然じゃない。だってそうじゃない人もいるのしってるでしょ?その人達は万が一のときは生き返れるのが保険になってる。だから完全には改の人々には任せない。そういうのがずっともう定着してるんだよ。私が転生者にナル前からね。どう?」
「確かに神主さんも自分の特殊性は分かりますよね?」
「自覚してるよ」
「それでも歴史には中々並べないものですね」
「うん」
「私がいやな事をしてるならやめるよ。でも楽しそうに聞いてくれるよ。それとこれが葛藤したりするようなそんな単純なものじゃないんだよ。それが彼らが培ってきた歴史なんだよ。あのさ私達も所詮は神様?かなんだかしらないけど、転生システムをやってる何か?の遣い走りなんだよ。その点では彼らと何ら代わりが無いんだからね」
「そう考えると僕らは町の歯車ですか?」
「能力がある人がさ様々な事情からその力を発揮できないって多いじゃない?ここはそうった配置が適切にされるのよ。おそらく祐一はまだ自分の力を感じられないんだと思う。後さ前から思ってるけど祐一って異色だと思う。私はもっと楽しそうにやってた。多分ねそういう私じゃ駄目な事を祐一はやれるんだと思う。その点は私に聞いても意味が無いと思う。助けになる事は話すけど、これはどうなんだろうか?と思う。祐一の必要とされる能力って素直に楽しめないその姿勢そのものだと思うよ」
「何かこじつけっぽいすね」
「私の前任者もそういう人だったから祐一は何か異色なのじゃないか?と思える。そしてその事に逆に意味があるんだと思う。それだけは間違いないんだよ。何せ時間掛かってるからね。祐一悩んでるから言うけど、私この世界で言う40年は神主さんなのよ」
「ええー、だから洋介神主さんの現役知らないと言ってるのか」
「現役はもっと前にしりぞいてるけどね…。基本死んでも生き返るからって私ドライだよ」
「さっきと話が違う」
「いろいろ他の事で忙しいとどうでも良くなると言うかね…」
外に出る。それが気軽なものじゃない。僕は多分外に出てみたい。この自然な感情に対して改の人々はどう思ってるのか?僕達は見えない壁に囲まれてる気がしてきた。諦めるそんな感情とも違うと思う。でも僕ははっきり分かる。リスクを恐れている。あまりにも自分が強いからだ。それが一切無くなる。外でも襲われる。洋介は死んだ。僕も?死にたくないは普通だと思う。一度死んだじゃないか?そういうものじゃない。何か未練が合ってここに来たならそれを全うしたいじゃないか?まだそれが全然分かって無いのに無念の死とは。改の人達と根本的に違うのは、彼らは守られてるわけじゃない。これだと思う。だから壁を感じる。守られてる壁から外に出るのが怖い。その恐怖と向き合うしかない。
「何をやってるんだ?」
洋介にそう言われた。
「神主さんに言われたんだ。外で役に立つのは妖術じゃなくて体だと」
「外かそれは俺が口を挟むことじゃないな」