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後継者

 ある日龍子を通じて神主さんに呼ばれた。


「そろそろさ良いんじゃない?見習いも卒業して、私の後継者として皆に話しても」

「悩みますね」

「一つの区切りがあるんだよ。それが龍を倒すことなんだよね」

「じゃもうかなりの時間過ぎてるじゃないですか」

「龍子の事があったからね。私も初めてなので時間をかけて慎重にね。後彼女に様々な私の知ってる事を渡した。その期間もあったからね」

「じゃ龍子さんに聞いても良いの?」

「ええ良いですよ。すべてご主人様みたいにスムーズに話せるか?は分かりませんけど。ある程度頼ってください」

「分かりました。本来ならここまで至れり尽くせりじゃないという事なんですよね?」

「そうとも言えない。私が龍人の譲渡を経験して無いからその事が大きい。その経験の無い私から較べると祐一の言うとおりだと思う。じゃ皆に伝えておくから。いきなり皆に知れ渡るわけじゃない。昔から私が若い頃から付き合ってる連中にね。ただ見習いについては伝えておくから。その予定を祐一から話しておいてほしい」


 次の妖怪退治の後で

「洋介に伝えるのが一番良いと思う」

「なんだ?」

「いよいよ僕も見習い卒業の予定だと神主さんに言われたから」

「俺はそんなに意識してないけどな」

「いやー洋介には迷惑かけたよ。あんまりそのせいで頻繁に参加できないのを上手く言っておいてくれたんでしょ?」

「それ多分勘違いだぞ。皆何も思って無いから。変な事ばかりしてる奴だなと言うのはあったからそこだけは神主さんの指示だと話しておいたよ。それ以外は俺何も言って無いぞ?」

「じゃ勘違いだ。ずっと洋介が上手く言っておいてくれるから馬鹿なことばかりしてても文句言われないのかと」

「途中は馬鹿みたいだけど、いつも最後はそうじゃない。それを皆分かってるんじゃないか」

「そうかもしれないね」


「皆さん、以前からずっと大事に育ててきた私の後継者を紹介します。田所祐一です。気が付いていた人もいるんじゃないかとは思います。様々な事を私の次の役割が出来るように叩き込みました。それでも私がいる間は出来たら私の方にさまざまな事は回してください。どんな奴か知っておこうという人柄が知りたいならどんどん話しかけてやってください」

「どうも田所祐一です。皆さん今後ともよろしくお願いします」


 いろんな人と話す機会があって、突っ込まれたことで


「神主さん通じるけど、俺ら年代は違うんだよな。もしかして祐一、ずっと神主さんと呼んでるけど、名前知らないのか?」

「実は知りません」

「あの人も良く分からないな」

「僕もそのうち分かるだろうと思っていました。今までずっと皆さんが神主さんでしか話さないので分かりませんでした」

「あの人生きてた時一緒だった人間ってあんまり居ないからな。俺らが集まると違和感しか無いけどそうかもしれないな。柿沢治さん。俺らみたいな年代の人間には出来たらこっちで話してほしい。俺らの中じゃずっと柿沢さんだから」


 これな…。町の人が誰か知ってるだろうとずっと放置してきた。結局誰一人名前で言わなくてここまで来てしまった。


 ただこの後年配の人に話しかけられることが増えたけど、特に何も変わらなかった。心配しすぎたんじゃないか?と思えてきた。素性が言えない事でやっかいな事が多かった。洋介はそっかぐらい淡白だった。大体深いつながりなのは分かっていたと思うし、何より僕の桁外れの妖術だと思う。洋介は多分知らないんだろうな。余所者=外の世界の人間はこの町の人間と大きな妖術の差がない事を。転生者の事は僕と神主さんと龍人しか詳しいことは誰も知らない。僕もそれで良いと思う。


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