レベルアップ
「何か萎縮してない?」
「そりゃ意識しますよ」
「じゃさ気軽になれるように話すけど、代替わりでリセットされるからそう気負わない方が良いよ」
「あれ歴代の重荷が詰まってるんじゃ無いですか?」
「だから初代が原因だと言ったでしょ?これ発展だけが残るからどっちかと言えば得」
「じゃ僕の萎縮って感情論ですか?」
「そうなるよ。何か私良い人って見られてみたいだけど、ある程度利他的な部分が強い人間って冷たい部分もあるよ。利己的な人間って個人的気持を大切にしすぎる。これが行き過ぎると人間を家畜化するような流れになるけど。ある程度私そういうドライさもってて今の祐一じゃ相容れないと思う」
「確かに合理性ですよね」
「その化物にならないようにって気をつけてはいるけどね。行き過ぎると全体主義になるからね。ただ全体主義の上の人間って大体ろくでなしだよね。そこは上手くやってるつもりではいるんだけどね」
神主さんみたいには割り切れなかったけど、妖術を極めていくのは悪いことじゃないのはなんとなく納得できた。そもそも落ちてたモチベーションにトドメ刺されたようなもので、精神的枷が取られたからってモリモリってわけじゃなかった。
一度きりではいさいならってわけじゃなくて僕と改の娘達との関係は続いていた。
「本当にこれで良いのかな?」
「私気に入りませんか?」
「そういう事じゃないよ。皆知ってるし」
(しまった)
「気にしてませんよ。私ね子供の頃は自分の生まれ怒ってましたよ」
「やっぱりそうなんじゃない」
「生まれたときから心まで改の人間じゃないですからね。でも一度生き返るとそうでもないです。生き返るのは嬉しいですよ。それは町の外に出ないことを引き換えにも欲しいんじゃないでしょうか?」
「何故僕に聞く?」
「いや分からないで良いんですよ」
彼女も元々はメンバーだった。基本的に男女に区別は無い。しかし、次世代の事だけは別だった。子供が出来てから現場に復帰する事はあまり無い。もしかしたら運命を受け入れるために戦闘に参加させてるのではないか?とさえ思えてきた。一族には長い歴史があるから。ただ名字はばらばらだ。親戚が多くても。血の繋がりが多分何代前なら良くあるがそれでも元は別の人達が繋がって出来た一族だった。それは多分すごく意味がある事なんだろうな。
自分が役目を終えたら関係は終了なんだと思う。恋愛感情とか無いのか?と言うと不思議と僕は無かった。知ってる子ばかりだし嫌いじゃない。僕より彼女達が良いのかな?ってそれを思ってしまう。前世のすべての関係が恋愛感情だったか?と言うとそうじゃなかった。意外とそこはドライだった。だからこそ相手の方に気遣いが合ったが、正直彼女達の気持ちは分からない。自分が受け入れた事を子供も受け入れて繋がって行くという事だろう。最初の頃の人かなりこれ悩んだろうな。女心とか乙女心とかそういうのは全く考えてなかった。すぐに彼女達と話してると分かる。彼女達の根底にはそんなものより重要な事がある。ただ自由恋愛の禁止じゃなかった。どこかで外に出られる人達に対して引いてるんだろうな。本音を話すと僕は彼女達の気持ち少し分かる。彼女達と決定的に違うのは僕は連続した生じゃないから。意外とこれ適任なのかもしれないな。考えてみると間に神主さんが入ってる事が理解できる。僕は死生観から目を背けているから。本当は僕も死んでるのに。彼女達の事をわざと分かろうとしてないんだろうな。
後で僕が転生者だと知ったら共感できない僕についてどう思うんだろうな?嘘つき?違うんだよな。それを受け入れて生きる事は前世の未練を断ち切ることが出来ないと思ってる。それは僕の2度目の人生じゃないから。嘘つき?違うと思う。僕は彼女達と違う。同じ場所で同じ体で続きの時間を生きるわけじゃない。入ってきて欲しくないし、入りたくも無い。ただそれでも彼女達とは繋がってるんだと思う。ああそっか僕好きにならないように多分してる。そんなものコントロールできるのか?と言うと強い感情じゃないとならないようには出来る。前世の僕どんな奴だったんだ?明確な記憶の連続性が無い。ただ生き返った感覚は多分彼女達と共有できる程度には覚えている。そうか僕微妙に偽善的なんだろうな。分からないでしょ?って一般的な視点を利用して拒絶してしまった。考えたく無いから。僕は彼女が何故ああ言ったか実は分かってる。怒ってた自分と変わったと話してる。僕はまだ前の人生から目覚めた眠っていただけの感覚でいたいんだろうな。なるほど僕は彼女達とのはっきりした違いがあった。彼女達妖怪に殺されてるな。
そうかなんとなく分かってしまったな。すべての娘がこうなるわけじゃないんだ。生死を体験したものか見たものだけだと思う。僕も神主さんに似てきたのかもしれない。僕には死んだときの記憶が無いんだ。僕は嘘をついてないのかもしれない。僕はこの転生で死生観を揺さぶられた事が実は無い。むしろ改の一族の死を見たショックの方が自分より大きい。わざわざ事情を説明するのも無粋だな。彼女を見てると分かるけど、僕は生前と変化する事を求められてないんだろうな。
モチベーションが低いのに真摯に取り組むなんて僕らしくないんだ。それでもコツコツやっていた。動いて解決するしかないから。僕は自分のレベルを上げて改の一族の負担になるのを懸念してた。良いんだ僕は偽善者なんだ…。実はそれは言い訳だった。根本のやる気が落ちてるのを言い訳してた。矛盾に気が付いたのは、僕のやる気の落ちた手抜きで死ぬほうが多分確率高いから。それでも無理だった。どーせ良いじゃん生き返るからってそこまで思ってなかったけど、気合が入らなかった。それがもちろんばれない。だって僕彼らと次元が違うから。




