出逢い。
※書いている本人にはそのつもりはございませんが、BLのように見えてしまう節があるかもしれません。その手のものが少しでも苦手、という方は注意してくださると嬉しいです。
初めて彼らのお話を書いてから、もう何年も経ってしまいました。今の自分なりに、書きなおしてみようと思い、今度は小説という形で挑戦するとこにしました。
小説を書くのは得意ではないので、読みにくい節が多々あると思います。申し訳ありません。
読んでくださった方の暇つぶし程度になればと思います。
頭の上を、鉄の塊が飛び交う。
海の上を、鉄の塊が流れる。
それが、もう日常となってしまった今の世。世界では毎日のように戦闘が繰り返されている。
といっても、地上で暮らす人々にとっては、あまり身近に感じるものではない。
数十年前まで、地上でも戦闘が行われていたらしいが、その結果、そのまま続けていれば、人の住めるような環境ではなくなるとかなんとかで、地上での戦闘を禁止する条例が出た。そんな条例を出すくらいなら、戦闘自体を禁止すればいいと思うが、そんなことを口にすればその後の人生真っ暗闇だ。
それだけ、戦争というのは、人の発展に大切なものらしい。故に、今でも戦争に出てより良い戦績を残すのは男の努め、と言った風潮がある。全くもって嫌な風潮だ。兵士でない者は馬鹿にされ、罵られる。医者であれば何も言われないだろうが、とにかく戦争の役に立たない人は生きづらい世の中だ。
戦地に出向けば死ぬことの方が多いだろう。戦争の役に立つ人間が死に、役に立たない人間がのうのうと息をする。あぁ、本当に、俺のような戦争の役に立たない人間が今日も朝を迎えてしまった。
「…なんで俺は生きてんのかな」
毎朝目が覚めるたびに思う。
毎朝目が覚めるたびに口にする。
ガタッ。
周りには誰も住んでいないのに、どこからか物音がした。思わず身構え、窓の外を覗く。
と、茶色とも金色とも言えないような髪をした少年がそこにいた。
「…誰?」
「うわ!?人がいた!!」
彼はぐるんっと首を回しこちらを振り向いた。…失礼なやつ。これは声をかけるべきではなかったかもしれない。
「すみませんっ!道に迷ってしまって…」
へらっと笑いながら、一言目とは裏腹に丁寧な口調で返した少年は、セーラー服を纏っていた。この時代、そんな格好をしているのは、
「…水兵か?」
海軍に属する人間だけだろう。
「あっはいっ!!」
やっぱり。
…軍人さんは立派に死ねていいな。
「…死にたいんですか?」
「え?」
突然のことに目の前の少年が何を言ったのかわからなかった。
「あなたは、死にたいんですか?」
どうやら俺は口に出してしまっていたらしい。
「…あぁ。」
正確には何かの役に立って死にたい、かな?と心の中で付け足す。
自分が役立たずだと毎日のように思わされるこんな世界では、ただ息をするのも苦しくなる。
「こんな世界で、のうのうと生きることに意味があると思うか?」
こんな戦争ばかりの世界で、誰の役にも立たずに生きることに価値なんてないじゃないか。そんなこと、彼にはわからないだろうけど。
「…あなた…たぶん、病人なんですよね?」
軍人さんは、なんて言い方をするってことは。彼はそう言いながら俺を睨んだ。
「あぁ」
なぜ彼が急にそんなことを言い出したのか、全くわからなかった。
「病人でも、少しくらい外出できますよね?」
「…は??」
…いやいやほんと…は??全くもって目の前の少年の意図がわからない。
「行けるんですね!?」
「行けるけど!?」
反射的に答えてしまった。別にそこまで重い病でもないし、出かけられるのは出かけられる。
困惑している俺に気づかないのか、気づかないふりをしているだけなのかはわからないが、彼は声を大きくし、
「はい、じゃあ行きますよ!!」
「は!?どこに!?」
「いいから!!はい、窓枠乗り越える!!」
わけがわからない!!
俺が固まっていると、彼はこちらに手を伸ばし、俺の腕をぐいぐい引っ張った。
「ほらぁいーきーまーすーよー」
「わかった!!わかったから腕引っ張るな!!落ちる!!」
出会って5分と経っていない謎の少年に急かされ、生まれて初めて窓枠から外に出るなんてことをした。案外地面は近く、すんなり飛び降りることができた。
水兵の少年の意図もわからず、ただ無言で歩き続ける彼に着いて歩くこと5分ほど。俺の住む島は、中心部以外は何メートルかに1軒家がある程度の、所謂田舎なもんだから、ただひたすらに草むらを歩き続けていた。一生の殆どを、自宅で過ごす俺には、この距離は疲れてきた。
(なんか…勢いでついてきたけど、どこに連れて行かれんだ??)
心の中で聞いてももちろん返事は来ない。
(つか、誰だこいつ!?なんで水兵のガキがこんなところにいるんだよ!!)
と思った途端、
「着きましたよ」
と前から声がした。
「…は?着いたって…どこに…」
そう言おうとしたが、最後まで言葉にできなかった。
そこには色とりどりの花が咲き誇っていた。
そういえば昔、姉さんが島の外れに綺麗なお花畑があるって言ってたっけ、なんてことを思いながらただその光景に目を奪われた。
「とても綺麗でしょう?」
青い空の下で、太陽に照らされて髪がキラキラと光っていた。
ただ見惚れた。
そんな美しい景色の中の一部だと言わんばかりに、綺麗に輝く彼の髪に。
「世界はこんなに美しいんですよ!」
太陽のようにきらきらと輝くように、
「こんな素敵な世界、生きなくっちゃ損ですよ!!」
笑いながら言った彼に。
「こんな素敵な世界でも、あなたにとって生きる価値はないんですか?」
という彼の声で、意識を元に戻す。
「そ…そういう問題じゃねぇよ…」
取り繕うように、そう返した。思わず見とれていたのだということに、気づかれないように。
まぁ、事実、世界が美しいとか、そういうことはあまり俺には関係なく、ただ、この世界では生きにくいだけだ。
「そうでしたか…」
的はずれなことを言って落ち込む、というより、何か考え耽っているような間をあけたと思えば、はっと顔を上げ、俺の顔を覗きこむように見ながら、笑顔で彼はこういった。
「では、オレがあなたに教えます!」
は?という俺の声は聞こえないかのように。
「この世界が、どれほど素晴らしいかを!!」
これが、俺とあいつとの出会いで、俺の人生が変わった瞬間だった。
小説というのはとても難しいですね。
書くのはとても遅いので、続きをいつあげられるかはわかりませんが、少しづつ書いていければと思います。
よろしくお願いいたします。
ここまで閲覧ありがとうございました。