森の熊さん
木の爽やかな匂い、土の柔らかさ、風の心地良さ、日の優しい暖かさ………
目をつぶっていると小鳥のさえずりが聞こえてくる………
グルゥ〜ウゥゥゥウウウウ……ギャァギャァギャァァァ………ガァァアアアアァァァァ…………
「って、どんな小鳥だよ。」
びっくりして飛び起きるとそこは絵本の中にあるような森の中だった。
背の高い木々に囲まれた中、その場所は少し開けており日の光がちょうど差し込んでいた。
「あれっ、ここどこだ。」
こんな場所は見覚えがない。少し落ち着いて今までのことを思い出してみた。
俺の名前は春川京一郎17才、高校2年生だ。
ヒーローに憧れて毎日修行にあけくれていた。
そして………
「あぁ、思い出した。人質助けようとしたら何故か全く関係無い所で頭を打って大怪我して……」
頭を触って見るが血は着いておらず傷も無い。
「あれっ、おかしいな?あれだけ激しく血が出てたし、傷ぐらいあってもおかしくないのに…、てか死んでもおかしくないはず………
。」
その時、
グルゥゥゥゥウウウウ‼︎‼︎
3つ目に角があり真っ赤の熊のようなやつが飛び出してきた。
「俺も山籠りして色んな動物見てきたけどこんな動物見たことが………、ワァーメズラシイモノミレテウレシイナー…」
あまりの驚きに呟いていると熊?が胸を膨らまし……
ガァァアアアアァァァァ
「えぇっ、火!?」
火の塊が京一郎の方に飛んできた。
「………うぅぅ、やるしかない!!」
気持ちを一瞬で取り戻し京一郎は火の塊をしゃがんでよけ、そこから熊?の足元に入り込み局部への当身
膝の裏に蹴りを入れ、熊?の首を足で締め、両腕を掴み、そのまま熊?の頭を地面に叩きつける。
これが水影流背面落としである。
水影流は京一郎が学んでいた古武術で、水の流れのように相手の懐に入り、相手は自分の影がいきなり襲ってきたような感覚に陥った瞬間ブラックアウトする。
「あぁ、焦ったぁ。」
京一郎の前には頭が割れた熊?が倒れている。
ーーピコーン、レベルアップしました。ーー
「えっ、誰かいるの?」
周りを見渡しても誰もいない。
森の中にいるのかと見ようとすると5匹の熊?が出てきた。
グルゥゥゥゥウウウウ……
見事に敵意満載で先ほど火を吐いたような体制になっている。
「あぁ………群れだったのね…………………かかってこいやぁ〜〜!!!」