3、おはようございます
ここまでで書き溜めておいた話は終わりです。
これから更新スピード遅くなるかもしれません。
3、おはようございます
昨日あんなに疲れていたのにいつもの癖で夜明けと共に目が覚めた。
「…ここ、あぁ」
一瞬、見覚えのない部屋に固まるがすぐに宿だったと思い出すと体の力を抜いた。
部屋に着いたあたりからの記憶が曖昧だ。うーん、確かベッドに自分で入ったあたりまでは覚えてる。
起きたら夢でした、となるのを期待したけどそう簡単にはいかないらしい。
「臭う」
自分から漂う微かな汗の香りにくんくんと腕の匂いを嗅ぐ。
昨日お風呂に入らずに寝たんだった。
匂いを自覚すると気になって仕方ない。
隣のベッドで寝ているブライトに目をやるとぐっすり眠っているようだ。
そっとベッドから足を降ろすと、足音をたてないように歩きブライトの荷物から着替えを借りるとバスルームへと続く扉を開けた。
「服借ります」
聞こえて無いだろうけど一応伝えとく。
中は広かった。
「わー広い!ここ私の部屋ぐらいあるかも」
鍵を掛けると置いてあったカゴに着替えを入れて服を脱いだ。
洗濯機はなかったので畳んで床に置いておく。
あとで洗おう。
バスタブにお湯を溜めながらごしごしと体と頭を洗った。
「ふぅー」
溜まったお湯に浸かると気持ち良くて大きく息を吐いた。
こんな時はあれだ。
「ごくらくごくらく〜」
******
少し浸かりすぎたかもしれない。
軽くフラつく体をふんわりしたタオルで拭くとブライトの服を目の前に広げる。
大きいなぁ。
ズボンとシャツを借りてきたけどこれはシャツだけで十分だ。
シャツを着ると膝ぐらいまで丈があった。
ダボついた地味なワンピースに見えなくもない。
…無理かな?
「よし」
鏡で髪を整えてからズボンを抱えて扉を開けるとブライトが準備運動をしていた。
「ごめん、うるさかった?」
「いや、大丈夫だ」
「ならいいや、おはよう。あ、勝手に服借りたよ」
「あぁ」
使わなかったズボンをそのままブライトに渡すと、受け取ったブライトはバスルームの扉に消えて行った。
20分程で扉から出てきたブライトを振り返ってガチッと固まった。
じょ、上半身裸?!
生まれてこのかた男性の裸を見る機会などなかった私には刺激が強いです。
ブライトの体は昨日も思った通り無駄の一切ない筋肉が付いており、体毛は薄いらしくほとんどなかった。
よく見ると古いものから新しいものまで沢山の傷痕があった。
固まったままの私にブライトが近づいて来る。
来ないで欲しい!
思わず後退りしてしまった。
「ヒカル?」
「な、なに?」
「どうした?」
「別に何もないよ、とりあえず服を着ようか」
ブライトの体から目を逸らしながら、服を取り出し押し付ける。
「すまない」
ブライトがどんな顔をしているのかわからないけど、避けられたことを気にしているのか声が沈んでいる気がする。
ごめんなさい!でも恥ずかしいの!
そんないい体、目に毒です!
ブライトが服を着たのを確認する。
相変わらず様子がおかしい私にブライトは首を傾げると曖昧に笑って誤魔化す私に無駄だと思ったのか話を変えた。
「そろそろ食堂が開く時間だ。朝ご飯にしよう」
「あ、うん」
ぐーぎゅるるるー
「…」
朝ご飯と聞いた瞬間丸1日近く何も食べていなかった私のお腹は盛大に鳴り響いた。
はずっ!!
今の私の顔はきっとりんごのように真っ赤だろう。
ブライトはふっと笑うと頭をぽんぽんと撫でてきた。
「さっさと行くか」
ありがとうございました。
ではでは