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1、出会いました

初投稿

始まりました！

1、出会いました

ごうごうと耳元でする音がうるさくてうーっと唸りながら目が覚めた。

音の正体を確かめようと目を開けると、視界一杯に広がる青。

「は？」

思わず声が漏れた。

どうやらここは空中で、私は何故か凄い高さから凄い勢いで落ちている途中らしい。

…って冷静に考えてる場合じゃない！

このままじゃ地面とごっつんこしてご臨終だよ！

ぐちゃっとなった自分を想像して、吐きそうになった。

「おえっ…じゃなくて！どうしよう！えーと、えーっと…取り敢えず地面！！」

地面に背を向けて空を見上げながら落ちているので、あとどのくらいの距離があるのか確かめるためにどうにかして下を向く。

「…え、ここどこ？」

下を向くとそこは明らかに私がいた場所とは違っていた。

辺り一面に広がる森、象よりも大きな角が生えた生き物、時々ゴゴゴッと鳴きながら通り過ぎる極彩色《カラフル》のクチバシの大きな鳥。

目に入ってくる全てが初めて見るものばかりだった。

「もしかしてこれって…異世界トリップってやつ…？」

ファンタジーではありがちなこと(王道)を自分が体験するとは…。

って今はこの状況をどうにかしないといけない。

私が周りを見て驚いている間にだいぶ地面が近づいてきていた。

「あ、人発見！ん？…ヤバいこのままだとあの人にぶつかる！！」

森の中を歩く大きな剣を持った人を見つけたけど、あのまま彼（仮）が歩くと、きっと私の落下地点にいいタイミングで来てしまう。

彼（仮）はまだ私に気付いていないらしい。

逃げてもらおうと、彼（仮）に向かって声を張り上げる。

「あのーー！そこのひとーー！私に気付いてくださーい！おーい！」

私の声が聞こえたのか、キョロキョロと周りを見る。

「上ですう・えー！！顔を上げてーー！」

そう言うと彼（仮）は顔を上げて、空から落ちてくる私を確認すると、目を見開いた…気がする。

地面までの距離はもう余りない。

「危ないので逃げてくださーい！」

私は死を覚悟し、せめて巻き込まないようにと逃げてもらおうと声を上げる。

しかし彼（仮）は逃げずに腕を前に出すと、私を見上げながら走り出す。

…まさか受け止める気ですかっ！？

流石にこの速さで落ちたら、受け止めても腕の骨粉砕ものだと思うんだけど！

「逃げて！」

そう叫んだ瞬間がくんと落ちるスピードが遅くなった。

あと50m、30m、10m

どんどん地面が近づいてくる。

どうしようと考えていると、一本の木から伸びる太めの枝が目に入ってきた。

あれなら、大丈夫そう。

木の枝が通り過ぎる瞬間、腕を伸ばして掴むとそのままの勢いで一回転してすたっと地面に降り立つ。

思わず着地のポーズを決めてしまった。

体操するときに鉄棒もやっててよかったー！過去の私ナイス！

過去の私を褒め続けていると、腕を伸ばしたまま固まっていた彼（仮）が、動き出した。

彼（仮）と呼んでいたけど、どうやら合っていたみたい。

目の前にいる人は身長が2m超えてるんじゃないかってくらい大きい。

165（自称）の私は見上げなければ、顔が見れない。首が痛いです。

いかにもファンタジーな服で、大きめの黒のブーツ、すこしダボついた黒のカーゴパンツのようなズボン、これまた黒の服の上から皮の胸あてを付けていて服の上には茶色のフード付きマントのようなものを着ていた。

彼の身長と同じぐらいの大きな大剣とその剣よりは小さいけど、普通の剣（がどうゆうものかわからないけど、一般的に知られていそうなもの）よりは大きな剣を背中に担いでいて、それでさっきは走っていたのかと思うとどんだけ〜とツッコミたくなる。

服の上からでもわかるぐらいにはムキムキで、りんごなんか片手で簡単に潰せそう。

…ぶら下がってみたい

髪は少し短めの綺麗な銀色。

整った眉で左眉の上あたりに斜めに走る小さな傷痕。

少し鋭い二重の銀灰色の目に、きゅっと結ばれた薄い唇。

あーうん、メチャクチャイケメンですね。

さすが異世界、こんな人初めて見たわ。

「…い、お…え、おい！…大丈夫か」

いけない、またどっか行きかけた。

「うひゃ！」

眉間に皺を寄せながら私の顔を覗き込まれて、その顔の近さにびっくりした。

変な声出た！恥ずかしいー！

でもしょうがない、前見たらイケメンが近距離にいるって誰でも驚くよ

再び現実逃避しかけた私の頭にポンと手を置き、彼はぐちゃぐちゃと髪を撫でてきた、というよりは掻き回してますよね！これ！首がもげそうです！

「やーめーてー！」

両手で彼の腕を掴みどけようとすると、あっさり手を離した。

あー、頭がグラグラするー

しばらくして私が復活したのを確認すると、彼はしゃがみ込み目線を私に合わせながら話しかけてきた。

「お前の名前は？」

ん？

「安藤光です」

「アンドウヒカル？」

どうやらどこで切るのかわからないらしい。

「安藤が姓で名が光です」

「ヒカルか、俺の名前はブライト・マハスール」

「ブライトさんですね」

「呼び捨てで構わない」

「わかりました、ブライト」

「敬語もいらない」

「わかり…わかった」

んん？

初対面の人を呼び捨てで、敬語なしというのは日本人として、なかなか難しいが本人が言うのなら仕方ない。

…とりあえず、この頭を撫でる手を退けてくれないだろうか。

「あの、ブライト…手を」

「ん？」

「手を退けてほしい…この年にもなって頭を撫で続けられるのは恥ずかしい…」

恥ずかしさで俯く。人に頭を撫でてもらったのは何年振りだろうか。

「すまない、つい。16歳にもなって頭は撫でられないか」

んー私の気のせい…じゃないよね？！

「ごめん、今なんて言った？」

「すまない、つい？」

「その次」

「16歳にもなって」

そこだ！

「そんなに子供に見える？」

「あぁ、…違うのか？」

「私は21歳だよ」

ブライトが固まった。

「…21！？」

嘘だろとかまさかとか言ってるけど知りません。事実です。

遠い目をしてぼーとしていたら、ブライトが戻ってきた。

「その…すまない」

申し訳なさそうに眉を下げて謝ってきた。

まぁアジア系の顔は若く見えるらしいし、私は特に友達にも童顔って言われてたから別に気にしない。うん、気にしてなんかいないよ。

「大丈夫特に気にしてないし、私童顔だから」

「そうか」

それよりも違和感を感じてることがもう一つあったんだけど、きっとそうだろうなぁと思うからあえて突っ込まないでおこう。

「ところで、ブライトは何歳なの？」

私の予想では30歳ぐらい。

「…何歳に見える？」

え、質問で返ってきた！

正直に答えとこう。人間素直が一番だ。

「30歳ぐらい？」

言った途端にブライトは俯いて地面にのの字を書き始めた。

「どうせ俺は老け顔だ…」

「え、もしかしてもっと若い？」

「あぁ、25歳だ」

「あー…」

まさかな年で返す言葉が見つからない。と言うかなんか可愛いなんて言えない。

私が何も言えないでいると、ブライトは顔を上げて苦笑いした。

「ごめん」

「別にいい。お互い様だ」

ブライトは立ち上がりなぜか私の頭を撫でてきた。

なぜに撫でるの？恥ずかしい！

「じきに暗くなる、野宿は嫌だろう街に向かうぞ」

どうやら面倒を見てくれるらしい。

いい人！！

「ちなみに、街まではどのくらい？」

「そんなにかからない」

「あ、そうなんだ」

「急いで歩けば、大体3時間ぐらいだな」

うそーん！それってそんなに軽く言える時間なんですか…

「…」

「どうした？」

そういえばここ異世界だったわ。

「ううんなんでもない、行こうか」

私はもうどうにでもなれーと覚悟を決めてブライトについて歩き出した。

最後までありがとうございました！

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ではでは