かみさまといっしょ(仮題)
連載予定の小説の、序章になります。
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─ 3の月、第四の週、7日目。
魔力の溜まりやすい作りをした城の中でも特に魔力を溜めやすい素材を使って作られている召喚の塔。
最上階である広い天窓があるその部屋を埋め尽くさんばかりに、人が集まっていた。
そこにいるのは全てが全て、魔術師、もしくは高位魔術師である。
彼らは城に溜まる大いなる魔力と、己らが滅びないギリギリの魔力を使って、ある魔法を使おうとしていた。
『それでは…紅の月が雲間に隠れ次第、"召喚魔術"の発動を開始する。』
渋い老人の声が厳粛に響いた。
天窓からは、大きな紅い月と、それに寄り添う様に、黒い月が見えた。
老人の声を聞き、じっと上を、月を見上げていた魔術師らは、紅い月が隠れた瞬間に詠唱を開始する。
【界を渡りし我らが魔力よ、この世界を救い給う正と義の存在を今此処に現し給え。】
長い長い詠唱の末、最後の行を読み上げた。
瞬間部屋中に光が溢れ…
= = =
─ 所変わって、日本。
現在この国は冬真っ盛り。しんしんと降る真っ白な雪を見上げて、まだ幼児とも言える少年はつぶやく。
「きれいだなぁ…」
少年の名は神宮寺新。黒くてサラサラな髪を子供らしく短くカットした少年である。
まん丸の瞳を輝かせて上を見上げていた少年は、気づくと両親から離れていた。
「あれ、おかーさん?おとーさん?」
ふと顔を下げて周りを見て、両親の姿が無い事に気付く。
一頻り周囲を確認した後、少年は近くにあった縁石に腰掛ける。
迷子になってしまったのなら、動かない方が良いだろう、と自分で判断しての事だった。
はぁ、と白く染まる息を吐きだした後、再び上を見上げる。
「ゆのも、ちがうばしょからだろうけど、みてるのかなー」
幼く、たどたどしい口調で紡がれる言葉。
その言葉に答えるように、ざぁっと一仭の風が吹く。
「そっか、いっしょにみれてるなら、よかったー」
うすらと丸い頬を染めて喜ぶ少年は、じぃと遠くに輝く月を見つめる。
「はやく、ゆのにあいたいなぁ」
<わたしも会いたいな、ねぇあらた、その世界じゃない世界に、来てみない?>
月を見ながら、小さく、独り言のように呟いた言葉に、今度ははっきりと返事が帰ってくる。
ぱちり、と瞠目した少年は、小さく「ゆの?」と呟くと、どこからか聞こえた声の意味を飲み込んでから…
「ゆのにあえるなら、どこでもいいよ!」
元気に返事を返したのだった。
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