涙殺
少年Dside
彼女の痛みも悲しみも苦しみもすべて代わってあげたいのです。
ただただ彼女が笑っていてくれたらそれで嬉しいのです。
その笑顔は僕に向けられることはないけれどただ笑っていてくれたら僕はそれだけでいいのです。
触れ合っている手のひらが熱くてまるで手に心臓が移動したみたいだった。
チラリと後ろを見ると困った様な顔をした彼女。
「ねぇ、」
「んー?」
「助けて、くれたの?」
「さーてね。」
助けたわけじゃない。ただの自己満足、だ。
もう彼のことでつらそうに笑う顔なんて見たくなかったから。
僕の隣でないにしろ笑っていてほしかったから。幸せでいてほしかったから。
「あり、がとっ。」
ふわりと彼女が笑う。泣きそうな顔で。
どうして僕じゃいけないんだろう。どうしてた僕には笑ってくれないんだろう。
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?
幾度、自問自答しても答えは出ない。ねぇ、どうして―――――、
「僕じゃあだめなの?」
「わ、たし、」
後ろを向いて彼女の耳に直接そそぎこむように囁く。もう君が傷つくのは見たくないんだよ。
だからねぇ―――――、
「僕にしときなよ。泣かせたり、しないから、僕を選んで?」
「わ、わた、し、は!!」
これ以上彼女からの拒絶の言葉を聴きたくなくて、彼女の唇をふさいだ。
僕を好きになってくれたら、僕を選んでくれたら、甘やかして甘やかして必ず幸せにしてあげるのに。
―――――愛してあげる、のに。




