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息を引き取る

作者: 結城 祐




考えてみてよ。


『息を引き取る』ってどういう事か。






人は息絶えるその瞬間、息を引き取る。


例外無くどの様な人も、最後に息を静かに吸い込む。






人が最後にする行動『息を引き取る』






病室で息をするのも苦しそうだったのに、最後だけは静かに息を引き取る。






引き取る。





何を引き取ってゆくのだろう。



この世の未練か。

この世の思い出か。




それを息に乗せて一気に吸い込むのかな。




心の臓が止まろうと言うのに、何で最後の最後に頑張って引き取ろうとするのかな。








目は閉じて、臭いもわからない。


でも耳は生きている。








私達が声をかける。








その声を耳で聞いて、最後に私達が吐き出した息を引き取ってくれるのかなぁ。






でも最近は意味も無く引き取る人が大勢いるんだ。





勝手に死のうと思っちゃいけないんだよ。





一生懸命に、頑張って生きて。

辛くても歯を食いしばって生きて。






そうすれば、引き取る息を与えてくれる人が回りに沢山出来るんだよ。

笑顔で息を引き取れるんだ。










一人で悩んで勝手に死のうとするな。

あの世で一人何も無いまま、いなきゃいけないから。



それって死んでも結構苦しいと思うよね。





さぁ、いない人は探そうか。

いる人は増やそうか。

増やした人はもっと増やそうか。





息を与えてくれる人を。









あらすじに書きましたが、これは私の祖父が病室で息を引き取った際に感じた事です。


私は彼にとっての初孫と言う事で、子供の頃は旅行に連れていってもらったり、

昔の事ながらとても良く面倒を見て下さった覚えがあります。


成績優秀かつ陸上で県内入賞を果たす等と文武両道と聞いた事があるので、

人としても尊敬できる人物でありました。


精一杯生きたであろう彼の病室には、私も含め7人。

最後の最後も頑張って呼吸をしている彼を見て、

この世で命を無駄にしている人々がいると言う事が、頭を過ぎりました。


意味も無く毎日町をぶらつく若者、部屋の中に引きこもりっきりの若者、

頑張ろうともしないで直ぐに自殺を選んでしまう若者。



死に際でも息を吸う為に、頑張っている人がここにいる。

そういう人が意味ある『息の引き取り』を出来るのだ。


そう考えて下さい。



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