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第七話 無自覚

「ルミー様、用意いたしました。昼です、起きてください。」


どこかで聞いたことがある声がする。


でも、言葉遣いが違うような・・・・



「んー、まだ眠い。」


私は寝返りを打つ。


「眠くても起きてください、」


また声がした。


私は毛布をかぶる。


「おい・・いい加減にしろよ。

人が敬語でさわやかに起こそうとしてるのに、わがまま言いやがって・・

おきろっ、ルミー!!」


怒鳴り声を上げられて毛布をはがされた。


「んー、あ、ゼン・・」


私は眠い目をこすって起きた。


「あ、ゼン・・じゃないっ。

一発で起きろよ。ルミー。

寝顔は無防備すぎて俺は我慢できん」


ゼンは、はぁーとため息をついて言う。


「我慢?」


私は眠たい目をこすりながら聞く。


「な、なんでもない。

とにかく、用意できたから、さっさと依頼行って来い。

お前の婚約者、来るぞ。」


「え?」


ゼンの言葉に私は目がさえた。


「お前を探してあちこちうろついてる警備隊がいる。

ルミー、見つかるぞ。」


ゼンはあきれたように言う。


「ヤバイね、それ。

ゼン、起こしてくれてありがと。

じゃあ、早速行くよ。」


私はそう言って立ち上がり、ドアのほうに向かうと、腕をつかまれた。


「おい・・飯も食わずに行くのか?

それは許さないからな」


ゼンは真剣な目つきで言う。


「あ、忘れてた。」


私は思い出したように言う。


「おいっ。忘れるな、そういうこと。

すぐ持ってきてやるからここで用意してろっ」


ゼンは私をにらみ、部屋から即座に飛び出していった。


私が用意し終わるとゼンが部屋に戻ってきた。


「ほら、食べろ。」


「おぉ、おいしそう。

いただきます。」


ゼンの言葉に早速いすに座って食べ始めた。


もぐもぐ、あ~、おいしぃ~。


「ルミー、お前、いつもバンダナつけてるのか?」


食事中にゼンが聞く。


「・・ゴクン。うん、つけてるよぉー」


私は食べ物を飲み込んで答える。


「混血の印も手袋で隠してるんだな。」


「うん^」


私はゼンの言葉に頷く。


「・・ごちそうさまでしたっと。

じゃあ、いってくるよ?」


私がそう言っていこうとすると、


「お前、急ぎすぎ」


と、言われ、腕をつかまれた。


「え?」


「自分の体調の悪さくらい、自覚しろよ?

病み上がりって顔してるぜ?


だ・か・ら・な?」


ゼンが顔を近づけて言う。


「ん?」


私は首をかしげる。


「依頼終わったら帰ってこいよ?

あっちの国より先に(・・)。」


ゼンは言う。


「先にこっちに帰ってくるのは当たり前だと思うけど?

報告、こっちだし。・・・?」


私は、何が言いたいんだ?と言う風な目でゼンを見る。


「はぁー」


ゼンは何故か大きくため息をする。


安堵したかのような・・いや、あきれてるような・・・


ともかくそんなため息である。


「あぁ、そうだな。報告はこっちだもんな。

はぁー。(再びため息)

ならいい。

じゃあ、いってこい。」


ゼンは自分に言い聞かすように頷き、あきれたようにため息をついて言った。


「?・・うん、いってくるね^^」


私は変に頷きため息をつくゼンを不思議に思いながら言った。


「あぁ」


ゼンは頷き、私を見送った。


ゼン、頷いたり、ため息ついたり・・・大変だなーー


と、思いながら私は依頼先へと走っていった。









自分が ゼンを大変にしてる ことも気づいていないルミーでした。


そして、そのことに気づいて欲しいゼンでした。








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