表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/24

第三話 プリンスの女嫌い

「聞きたいんだけど、何で私のような人を臣下たちは求めたの??」


私は使者に聞いた。


「王族は国の政治を動かす人です。

当然、後継者は必要でしょう?」


「それは・・そうだけど。

なんでまた、プリンスとやらに興味関心その他もろもろ知らない人を候補に入れたの?」


使者は私が真に聞きたい理由ではないほうを答える。


だから私は明確に聞けるよう、たずねた。


使者は・・


「プリンスは女嫌いなんです。」


と、残念そうに答えた。


「は?

それじゃあ、当然、わたしもだめでしょう?」


私は拍子抜けた声を出し問いかけた。


「プリンスは誰をも魅了する容姿をお持ちです。

ですから、誰もが惹きつけられ、誰もがプリンスの隣にいることを望みました。

私たちはそれを知ってて尚候補を探し出し、候補に仕立て上げ王子に会わせました。

候補の誰もが隣を望みました。

つまり皆、同じ考えをお持ちですからですからプリンスも嫌になったのだと思います。」


「それ・・自業自得」


私は使者の話を聞いてそう答えた。


だってそうでしょ。


臣下どもがそういう奴をほいほい候補に上げたから

プリンスは嫌気がさして拒んだんだし。


あ、そうかんがえると、私はその臣下を恨めばいいわけか。


私はそう納得して


「臣下のした行為がそうさせたんなら私は王を恨むより

あんたたち臣下を恨めばいいんだね?」


と、聞いた。


「ぇ・・・。

そ、それは困りますっ!

う、恨まれたりでもしたら・・どんな不幸がふりかかるか・・・」


使者はうろたえて困ったように言い出す。


ぷっ・・からかいがいがある。


いや、でも恨むのはほんとだよ。


こうなったのは全部こいつらのせいだし。


「不幸?

そんな優しいものじゃ私はおさまらないなぁ?

不幸にあってもらうより、地獄にあってもらわなきゃ・・ふふふふふ」


私は意味ありげな笑い声を出す。


「ひぃー”~~」


と、使者は悲鳴のような声を出して顔を真っ青にする。


「ふふふ、この際、呪っちゃおうかなぁ?」


私は止めをさすように言う。


「の、呪い!?」


使者は裏声を出し失神した。


「あ、この人、本気にした・・・」


私は思わず呟いた。


ぷっ、呪いなんてさすがにそこまではしないのに。・・そこまでは。


私は失神した人を見つめ・・・・


「うっ」


とうめき口元に手を当てた。


きもちわるいぃ・・・


吐き気がのどに襲った。


馬車に酔ったのかもしれない。




失神した使者が目を覚ましたのはナイトリシーア王国の王城に着いたときだった。


城はマジナシア王国(私の国)の城より、派手に装飾されており目がチカチカした。



着いてすぐに城の中を案内された。


外見もすごかったが、中もすごかった。


意外に広く、とても長い廊下が続いている。


いろいろなところを案内され、最後に自室に案内された。


自室の部屋隣は王子の自室だと言う。


部屋は以外に広く、寝室、リビング、個室、トイレ、風呂・・などがあった。


そして最後にこれを着ろと言って来た。


それは華やかな青いドレス。


いや、ここの城ではこれが正装なのだろう。


私はそのドレスをまじまじと見つめ、自分の服装も見た。


シャツにズボンにローブ。


ズボンのベルトには護符がついており、額には護符用バンダナをつけている。


そして耳につきをかたどったイヤリングに白い手袋、それに動きやすい靴。


長い自慢の青髪はポニーテールに結い上げている。


手袋で見えないが手の甲には魔方陣が描かれている。


これが魔道士の正装。


やっぱり、この姿はいけないんだぁ。


私は落ち込んだ。


今から華やかなドレス(そんなもの)を着なければならないなんて・・・。


「この服装が私の国の正装なんですが、このままではいけませんか?」


前者 ここまで強制するつもりか、この野郎っ、お前ら叩きのめすよ!?(本心)

後者 そこまでするんだったら、本気で呪うよ!?(本気で呪いたいと言う願い)


私は後者のほうを付け加えて言った。


そういうと、付け加えた言葉がよかったのか使者は顔を真っ青にして


「呪われたくないですからそのままでいいです。」


と、素直に言ってくれた。


効いてる効いてる。


私はうれしくも心の中で呟いた。


「では、対面を。・・プリンス、姫をお呼びしました。」


使者はそう言って王子の自室をノックした。


「側近、プリンスと呼ぶなら二度と入れない。」


王子?の声が聞こえた。


側近・・。へぇ、やはり、ただの使者じゃないんだ。


「すみません、王子。」


使者=側近は言い直す。


「それもやめろ。」


王子は怒ったような口調で言った声が聞こえた。


「つい、言ってしまいました。

すみません、シン様。

姫が来ました。

対面を願います。」


「・・・」


王子の声は聞こえない。


「・・私は別にしなくてもいいけど」


私はそう呟いた。


「!?ルミー様!いくらつれてこられたからといっても限度があります!!

撤回してくださいっ!」


使者は顔を真っ青にして怒鳴る。


「撤回なんてする必要はないよね?

私は早く帰りたいんだし。」


私はすました口調で言う。


「帰りたくても撤回してくださいっ。

何のために私があなた様をつれてきたと思ってるんですか!?

その努力が無駄になりますっ!!」


使者は逆に顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。


あぁー、頭が痛い。

頭痛までしてきたらこの人はどう対処してくれるだろうか。

酔いがまださめていないのに。


「無駄になってもいいんじゃない?

私の知ったことではないし。

第一、あなたの主は嫌がってるじゃん。

主のために何とかするのが側近の仕事でしょう?」


私は責めるような口調で言う。


「そ、それはっ!?」


使者が言葉を詰まらせたとき、王子の部屋の扉は開いた。


「お前か、30番目の候補者は」


王子は私に目を向けて言った。


使者の言うとおり、すばらしい?容姿の持ち主だと思う。


私にはこの人のどこに皆が惹きつけられたのかが分からない。


「・・・。

お初にお目にかかります、ルミーといいます。」


一応、挨拶した。


「はい、30番目です、シン様」


使者は青ざめて言う。


「俺はシンだ。」


シンは私を見て言う。


シンの瞳は紫色だった。

髪色も紫。


「・・・・」


「・・・・」


私もシンも何も話さないから会話?が続かない。


「シン様、

あなた様と接してこられた女性とは一味違う女性を連れてきたのですが・・

ご感想は?」


使者は沈黙の重い空気に嫌気が差したのかシンにたずねる。


「めずらしい」


シンは一言、言葉をつむいだ。


「あなたからみれば、珍しいですね、確かに。

私は魔道士ですから」


私はシンの瞳を見て言う。


「・・・・」


シンは何も言わずに私を見る。


「でも、私もあなたを珍しいと思う。」


私は言った。


本来なら言わなくてもいいことだけど言いたくなった。


早く帰りたい一身で。


「?」


シンは眉をひそめた。


「私はあなたのどこをみて皆が惹き付けられる事が

すごく私は不思議で思えてならない。」


私はそう言った。


「ルミー様!!」


使者が叱咤した。


「!」


シンは目を見開いた。


「・・俺もわからない」


シンは言った。


自分も分からないんだ。


私も容姿に惹かれる人の気持ちが理解できないな。


「・・・」


「・・・」


「・・・」


またもや会話がなくなり再び沈黙が訪れる。


カチカチカチカチ・・・・・・・


時計の針が動く音だけが響いていた。


カチカチカチカチ・・・・・カチン・・・・・・カチカチカチカチ・・・


すると、時計の秒針が動く音から分針が動く音に変わった。

そして再び秒針が動く音がし始めた。


「シン様、ルミー様、夕食のお時間です。

シン様、食事の間に足をお運びください」


使者がそう言ってシンを促した。


「側近さん、あれにきがえなきゃだめですか?」


私は聞いた。


「はい。王も来られますから。」


側近は頷いた。


「はぁ・・。仕方ないですから着替えますよ。

先に行っててください。着替えたら行くので」


私は深いため息をして声のトーンを落としながら自室に戻った。


それをシンは眉をひそめながらルミーの後姿を見ていた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ